私は空を見るのが好きです。














朝も。
昼も。
夜も。











晴れの日も。
曇りの日も。
雨の日も。
雪の日も。














天候や時間に関係なく
どんな日でも空を見ています。
空を見ていると楽しいの。
いろんなことがわかるから。

















私には付き合っている人がいます。
でも、彼は遠くの地に住んでいます。
なかなか会うことができません。
電話やメールでお話することが多いんです。


















会いたいときに会えない。
慰めてほしいときにそばにいない。
電話の受話器の向こうでどんな表情をしているのかわからない。
ディスプレイの向こうでどんな表情をしているのかわからない。























とっても辛くて。
とっても悔しくて。
とっても寂しくて。
とっても悲しくて。






















何度も泣いた事があります。
電話で泣いて彼を困らせたことがあります。
困らせちゃだめだってわかっているのに。
彼も私と同じ気持ちだとわかっているのに。























声を聞けば聞くほど。
話をすればするほど。
彼を思えば思うほど。
感情を抑えれば抑えるほど。
涙が溢れて止まりませんでした。



















だって会いたいから。
一緒に過ごした時間を共有したいから。
一緒に体験することを共有したいから。
大好きな彼に甘えたいから。
大好きな彼に愛されたいから。























そんなときに彼が教えてくれました。
そんな辛いときは空を見ればいいよって。






















同じ空の下で生きている。
同じ空の下でがんばっている。



















住んでいる場所は違うけれど
空を見ることで
同じ時間を共有できる。
空を見ることで
想いを伝えることができる。




















彼はそう教えてくれました。



















それから私は空を見るようになりました。
そして、空にもいろんな表情があるんだなと知りました。
その表情を彼に例えていつも楽しんでいます。






















時には昇る朝日を見つめたり。
時には流れる雲の形を見つめたり。
時には光る雷を見つめたり。
時には沈む夕日を見つめたり。
時には夜空に浮かぶ天体を見つめたり。























毎日違う表情を見ては
それをいつも彼と話しています。
彼は私の話をいつも楽しそうに聞いてくれます。
それがとても嬉しかった。
気が付くと電話で泣くことが少なくなっていました。
いつも励まされている彼に感謝しています。



























私は今日も空を見ます。
空の表情を知るために。
彼の表情を知るために。























私は今日も空を見ます。
私の想いを彼に届けるために。
彼の想いを私が受けるために。






小説へ戻る         トップページへ戻る