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1988年に世界文化遺産に登録された奈良市の元興寺は平城遷都により飛鳥から移された寺で、本堂と禅室の屋根の一部に載せられた素朴な色合いの瓦は、創建当時のもので行基葺きといわれる日本最古の瓦です。
元興寺に隣接するこの町家は、通り庭と4室1列を基本に、奥店に6帖の和室、中庭を挟んで4帖の踏込みと8帖の座敷が加えられた表屋造の様式としては、数少ないタイプであったと言われています。明治時代に麻を商う商家として建てられたものですが、その後医院として使われるなど住み手が替わるたびに何度も改造を受けていました。
1961年に防災計画の一環として寺がこの町家を譲り受け、今度は通り庭をつぶし、和室、洗面、トイレ、そして厨房を設けて宿坊に改造されました。今回、庫裏として再生するにあたり構造体の補強や新材への取替えから始まりました。
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