東明寺・矢田寺参道

 当サイトは生駒について紹介するサイトであります。いくつか自分でも画期的と思える発見をしまして、何度もアクセスして下さる方もいらっしゃるようです。しかし、「生駒の古道」や「生駒市石造遺物調査報告書」について、紹介が一段落すると、種切れというか、息切れして参りました。そこで、生駒市周辺まで紹介範囲を広げて、糊口をしのぐことにしました。生駒周辺の道標をお楽しみ下さい。

 生駒周辺の最初は道標・丁石の宝庫、東明寺・矢田寺参道です。近畿自然歩道のコースにもなっていますが、紹介ページも少ないようで、道標・丁石の宝庫であることはあまり知られていません。あきれるほど並んでいます。
出発地は暗越街道からとしましょう。「生駒の古道」P.32に書かれている矢田山遊びの森への三差路そばにある2基並んだ道標からスタートします。道標1、道標2と名づけます。

 道標1、道標2

左の小さい方(道標1)は「南矢田山」でしょうか。これだと、設置後向きを変えられても問題は起こりません。しかし、太陽が出ていないときは方角はわかりにくいような気もします。右の道標2の方は梵字に指さしマークを付け、さらにご丁寧に「右・・・」としてあります。右の下は2行刻まれていて、左行は「やた」のようですが、右行は判読できませんでした。
道標に従って、右または南へ進みましょう。少し坂を上り、遊びの森休憩所の脇に出ます。休憩所に降りないで左に少し進むと2基の道標があります。道標3(大きい方)、4とします。

 道標4(?)、道標3。右手後方の建物は休憩所です。

道標3の正面は「六町」となっています。左面には「右・・・」とありますが、その次が判読できませんでした。道標4に至っては何も読めない。本当に道標かどうかも怪しいのですが、まあ、道標としておきます。
さらにすすんで、2つ池が並んだ間の堤防を通ります。池の間を過ぎると上り坂となり石畳道です。

石畳を過ぎしばらく進むと、車両進入禁止と書いた車止めがあります。その先に道標5があります。

 道標5

「すぐとうみやうじ」とあります。左面の「右・・・、左・・・」は判読できていません。
次の道標6は倒れています。形が面白い。

 道標6

仮名の道標がほとんどの中で「右東明寺 本堂迄一丁右」と漢字です。この形は擬宝珠形とか塔婆形とかいうのでしょうか。宝山寺境内に似た形のものがありますが、珍しい形です。
さて、すぐ先にも次の道標があります。道標7です。

 道標7

「一丁」とあります。道標6のすぐ南ですから同じ距離で問題は無さそうです。ここを過ぎると東明寺です。
東明寺は舎人親王勅願寺だそうで日本書紀に思いをはせたりします。立派な七重層塔があります。東の崖際で倒れている六字名号碑が今にも落ちそうなのが気がかりです。

   本堂と層塔と、今にも落ちそうな六字名号碑

山門の石段を降り、南へ向かうとすぐに道標8があります。

 道標8

「壹丁」とありますが、後の石垣は東明寺の石垣ですから少し近すぎます。移動してきたのでしょう。それにしても難しい字を使っています。
少し進んで上り坂になります。コンクリートで固められていますが、最初の方は石畳道であった痕跡がわずかに残っています。小峠に墓地があり、いくつか値打ち物がありそうですが、鑑識眼がありません。降ると近畿自然歩道道標脇に道標9があり、「右東明寺三丁」と刻まれています。

 道標9

さらに下るとすぐに、水路脇に道標10があります。

 道標10

「左とうみやうじ」ですから向きが変わっているようです。
下って開けた所に出たらたくさんの道の交点で大きく右折しますが、角に近畿自然歩道道標があり、側に道標11です。地蔵菩薩もいます。「矢田山二丁」のようですが、まだ、600mもあります。

 道標11

道はたくさん分岐していますが、近畿自然歩道の案内に従って進むと、右手に地蔵堂があり、その裏手に墓地があります。左手の露座の地蔵様には破損を修復した跡があります。地蔵堂裏手の墓地には六字名号碑などもあります。

 

さらに300mばかり進むと右手に道標らしき石柱があります。読めないので本当に道標かどうかわかりません。一応道標12とします。側にお地蔵さんもあります。

 地蔵と道標12(?)

さて次は道標13、指マーク下は「矢田」でその下は埋まっています。

 道標13

まもなく矢田峠への分岐です。近畿自然歩道道標の側に道標14、15があります。

  道標14、15

道標14は「矢田山」と簡単です。道標15は「右さい大じ/左とうみやうじ」のようで、突然西大寺が現れました。ここを過ぎると程なく矢田寺で、矢田寺料金徴収所に出会います。アジサイの季節以外は無人です。その向かいに道標16があります。

 道標16

「左」の下はよくわかりません。
進めばすぐ矢田寺ですが、郡山方面からの参道に出る角に2基の道標が並んでいます。

 道標17、18

写真では道標17の文字がかくれてよくわかりませんが、「是ヨリ東明寺八丁」、「ヨリ」は横書きです。道標18は「右 郡山停車場三十丁/左 冨雄停留所四十三丁」でしょうか。停車場と停留所を区別してあるのが面白いですね。鉄道関係の本で読んだ記憶では、確か停車場の方が本格的な駅だったと思います。
これで終わりかというと、ちょっと気付きにくい所にもう1基見つけました。参道を本堂方面に進むと右手に鎌倉時代の地蔵様(味噌なめ地蔵)がいらっしゃいますが、その左手のアジサイの中に道標がかくれていました。道標19です。アジサイの季節でなければ刈り込まれてよく見えるのですが・・・

 道標19

写真ではアジサイにかくれて見えませんが、「左」の下に2行あります。右行は「矢田山」ですが左行がよくわかりません。矢田寺そのものの紹介は他のWEBサイトでされていますので省略です。

追記:矢田寺へ矢田丘陵から降る遍路道をYAMAPで紹介しています。

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