神定松はいずこ

「生駒の古道」P.46に、古堤街道の見所として、「神定松」があげられています。
【この付近は俵口町の中心地で、周辺の古刹、長福寺や俵口城跡、「神定松」跡などは見逃せません。】
それから長福寺、俵口城、「神定松」の説明と続き、段落を変えて、【県道交差点と生駒川(竜田川)を東に渡り、生駒台付近に沿って東南へ曲折した道を行くと稻蔵神社参道碑、・・・】と続きます。

「見逃せません」とは聞き捨てならぬ。是非見たいものですが、さてどこにあるのだろう。説明文を読むと、県道交差点を渡る前のようです。もしかすると、長福寺・俵口城跡近辺かもしれない。

というわけで、県道の西側地域をかなり広い範囲にわたって「カンジョウマツ、フーライマツ、クウネルトコロニスムトコロ」とつぶやきながら歩き回りました。頼りはP.47の写真のみ。「これと同じ風景を見つければいいのだ。なあに、たがが俵口地区・・・」
ところが見つかりません。GoogleEarthでさがしてみても、それらしい道路沿いの木がない。
このような時は文献資料に頼ろうと、辻の図書会館で「生駒市誌」をひっくり返しますと、ありました。

生駒市誌(通史・地誌編)X (昭和60年3月1日発行)
【カンジョの松と俵口城跡
俵口の南の入口小字神定の地、大阪街道(古堤街道)の路傍にカンジョの松という古木が一本立っていた。・・・(中略)
カンジョ松後は生駒台丘陵になるが、小字名稲葉であって、此地は現在、稲葉住宅地として開発が進められている。】

稲葉住宅というのをGoogle検索してみたが見つからない。稲葉台公園というのが生駒台丘陵の南・・・阪奈道路よりも南に見つかった。ここか・・・県道の東じゃないか。

此の付近の道をストリートビューで片っ端から探ってみると、なんと古堤街道沿いに簡単に見つかってしまいました。下がストリートビューの画像です。P.47の写真と同じでしょう。地図が神定松の位置です。しょっちゅう通っていたのに見逃していたのですね。

 

神定松跡のモチノキのところに行ってみても、何の掲示もありません。通行人も何も気づきませんね。根元にコンクリート製の龕があり、中に神棚が祀られていて何かの由緒があると分かる程度です。お花もきれいですので、お世話をする人があるのですね。

ところで、神定松というのは何なのでしょう。生駒市誌には次のように記述されています。
【毎年正月前に、榊の若木の幹でスダレの様なものを一垂れ編んで此の松にかける。榊は長さ1m許り、モトと木とをたがいちがいにして縄で編み、それを長弓寺で祈祷を受けてきて松にかけた。今は松は枯れ、赤モチが植えられているが、この民俗行事は姿を消した。】

追記:苦労して神定松を探索して後に「生駒の古道」の他のページを読み返していると、神定松のありかを示す記事がありました。P.145の「大ふじ池決壊」の項に「合流地(モチ川と生駒川)東側には・・・」とあり、これに気づいていれば、簡単に分かったのに・・・・・・後の祭りです。

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