八丁門峠越

八丁門峠越の宝山寺参道は現在山麓公園Bコースとしてきれいに整備されています。この途中に近道がありますが、整備されているとは言い難い。「生駒の古道」P.115の注2にも「付図A点からB点に通じる近道がありますが、廃道状態。」と書かれています。ところで、明治41年測量の帝国陸地測量部の地形図では次のように表記されています。

 

 道路の種別はAB間の近道(尾根越え)の方が里道のうち、聯(連)路、現行ハイキング道(水平道)の方が間路とされており、尾根越え道の方が格が上なのです。どうやらこちらが本道だったと思われます。しかし、たいした問題ではありません。

 上図は最新の国土地理院の2万5千分の1地形図です。実態と少しずれていて、赤線が現実に存在する道です。この程度のずれは山道ではざらにあることですが、明治の地図の方が実態に近いような気がします。明治の測量の正確さには驚くべきものがあります。すべて歩いて描き込んでいるんですね。
 朝日地蔵への道途中にある道標の位置から考えてごく古い時代には国土地理院地形図の道だったと考えられるのですが、最新地図が実態とずれたままなのは少々困ります。まあ、これもそれほどの問題ではない。普通の登山者はこんな細かいことは気にしません。私も普段は気にしません。
 問題は朝日地蔵さんへお参りしようとして道に迷ってしまうことです。「生駒の古道」P.115の注2に「・・・・迷いやすい。」と書かれています。「わかりにくい」ではなく、「迷いやすい」です。迷っては困ります。現地調査に出かけました。その結果次のことが分かりました。

 国土地理院地図が少し狂っている。(既述のとおり上図の赤線が正しい道です。)
 最高地点を過ぎて少し下ったところに、立派な倒木があり、通れそうに見えない。

その結果、地図読みに長けた人は最高地点付近で朝日地蔵参道が分岐すると読み取ってしまいます。A地点から倒木の下をくぐり、(A地点にも倒木がありますがくぐれます。)最高点に達しますと、右手(南西方向)に石組みがあり、道の痕跡に見えたりして登ってしまいます。ここを登らず、もう少し進むと、通れそうにない倒木に遮られて引き返す。結局最高点から尾根を進む。ここまではわかりにくいだけで迷ったりしません。問題は帰路で起こります。
 朝日地蔵、中倉さんへお参りして下りにかかります。来た道を通れば迷うことはないのですが、石道標から最高地点までは道無きところを藪こぎ(たいしたことはありませんが)をして登ってきました。ところが赤線の通りやすい道が存在しているのです。お参りできて機嫌良く下ってきますと、歩きやすい道を通り、倒木の東へ出てしまいます。最高地点より少し東です。ここで、登った時の道と違うので、混乱します。しかし、たいしたことでないと西へ向かうと、倒木にぶつかります。この倒木が、まるで忍者の隠し砦入口のように、ただの藪にしか見えないという絶妙な状態だったのです。道があるようには見えませんでした。
 そこで、東へ進んでB地点を目指しますが、あと、40mばかりでB地点というところで道が無くなります。かくて迷ってしまいます。
 これを防ぐ方法は簡単です。道を修復すればよい。道を隠していた最高地点東の倒木は取り除きました。お参りする方は最高点から道無き道を登ったりしないで、道なりに歩いて登りやすそうなところを見つけて登ってください。一応登り口に赤テープを付け、立木に「朝日地蔵」と書いておきました。
 問題はB地点へ下った時または、B地点からの進入です。B地点への道は谷沿いに下って、ハイキング道と合流するのですが、最後ほんの40mですが、道が谷に削られて消えてしまい、藪になってしまっています。ちょっと復元できそうもありません。一応、谷道が尽きたところから、右手(南)の尾根へ登る踏み跡があります。ここも赤テープを付けておきました。少し右手に登って尾根に出たら下ってください。
 B地点から進入する際は少しやっかいです。尾根を登り始めるのですが、途中で谷に移らないといけない。ところが、尾根がどこまでも通れてしまいますから、谷に下るタイミングが分からない。結局どんどん登って迷ってしまいます。B地点からの進入時にはすぐ右手(北)の谷に下ることに気をつけてください。ここも谷へ下りやすい箇所に赤テープが巻いてあります。

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