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(某作品のさわり)   風鴇能太 Kazetoki Nouta No.3
2010/11/11 (木) 18:48  

『ウルフパック(群狼)』 改訂版に寄せて



 夫の熱心な勧めと励ましで、わたしが赤裸々な告白を発表したのは、戦後十年の節目でした。その頃には(夫が約束してくれたとおり)わたしは肉体に加えられた暴力の傷跡に直面できるまでに回復していたのです。

 わたしの告白への評価は、まっぷたつに分かれました。いわく、第二次大戦でもっとも価値のあるノンフィクション。いわく、史上最悪にして最低の破廉恥きわまるポルノ。

 わたしのもとには数多くの執筆依頼が舞い込みました。それがどんなものであったか、読者にも想像がつくと思います。戦記ポルノ。そうあからさまに言ってのけた編集者さえいました。

 タイプライターとは縁を切ったわたしが改訂版に着手した理由は、ただひとつです。初版ではほとんどの人物が仮名でした。しかし、この本が二十以上の国語に翻訳されて、有名な図書館にも収蔵されている現実を考えると、歴史の評価を待つためにも、すべて実名にすべきではないかと思いました。

 誤解のないようにお断わりしておきますが、実名を出すことによって特定の人物を貶めたり賞賛しようという意図は、まったくありません。特定個人への痛罵は、そのときのわたしが十七歳の虐げられた少女として感じた事柄であり、客観的な評価でもなく、読者の共感を得ようとさえも思っていません。名前そのものも、わたしの記憶にあるとおりに表記しています。公刊された戦史などは調べていません。誤りがありましたら、その責はわたし個人が負うものです。



 本書で莫大な印税をいただいたことは、出版社には申し訳ないのですが、人生で嬉しかったことのベスト5にもはいりません。

 わたしがもっとも人生で嬉しかったことは、わたしの命を救ってくれた男性と熱烈な恋愛におちいり、なんの障碍もなく結婚できて、一男二女に恵まれたことです。

 そして二番目は。世界でただひとりのUボートを沈めた女性として、民間人には異例のシルバースター勲章を海軍から授かったことです。



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