2泊4日オランダ版「エリザベート」観劇記
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その1 〜計画と実行、そしてLEIDEN到着まで〜 |
それは2000年春、中学時代よりの友人Dと1○年ぶりに宝塚へ行った帰りにふとした会話がきっかけでした。
D「あ〜あ、あとの楽しみは7月の『エリザベート』東京公演かあ」
(ミュージカル『エリザベート』は世界各国で上演されていて、2000年の6月〜8月は一路真輝さん主演で東京の帝劇にて 上演されたのです。私たちは半年以上前からチケットを押さえまして、それはそれは楽しみにしていたのでございます♪)
私「でもさ〜、今確かオランダで上演してるんだよねえ。オランダ版『エリザベート』が」
D「え〜?本当??観たいなあ。でも(お互い)お休みは取れないし‥‥」
私「‥‥ミュージカル観て帰って来るだけなら、最短で1泊3日あれば行けるかも」
私&D「行っちゃう?オランダまで!!」
という、フザケたノリで持ち上がった企画なのでございました(^-^;)。そこからが大変! 行く日を決めて劇場のチケットを押さえないといけません。でも便利な世の中になったものです。
Tickets.comというサイトがあって、そこでは世界中でやっているイベント・スポーツの チケットがオンラインで予約出来るんです(もちろん英語でですが^^;)。
‥‥しかし、オンラインで繋がっている為、またたく間にチケットは無くなっていきます。夜中にお互いPCの前に 座りながら、電話で「あ、この日なら2枚ある!」「この日なら休めるかも」「あ、なくなってる〜(泣)」 とやりとりしつつ、やっと観劇する日が6/20・6/21の二晩に決定しました。 だってせっかくオランダくんだりまで行くんですもん。2回は見ないと後悔する!!(この判断は大正解でした)
で、チケットが押さえられたんで安心して6月まではのんびりと過ごしていたんですが、すっかりと忘れておりました。
いつものペースで出発2週間前にのそのそとH.○.Sへ行ったんですが、飛行機はすぐ取れたものの、 (それでも最初は「2泊4日だとお売り出来ません」と言われたんで、「はあ?」と呆れ顔で「どうしてですか?」 って聞いたら「やっぱり行けます」と言われた。出張だったらどうすんのよ?)宿が取れない。
実は劇場近くにある「クールハウス」というリゾートホテルに目を付けていたんですが、どこの予約代理店へ尋ねても 満室。泣く泣く諦めました(現地で実物を見たら諦めきれませんでしたがT_T)。
どうもオランダ側もEURO2000で混乱しているらしく、いつもなら即日回答で予約の可・不可が来るんですが 1週間近くたって「満室です」という返事が来る。おそるべし、サッカー熱。 結局宿は劇場があるデン・ハーグ(DEN HAAG)ではなく、そこの近隣の町レイデン(LEIDEN)で押さえる事が出来ました。 よかった‥‥取りあえず野宿は免れたわ‥‥。
6/20(火)当日朝、私は関空でちょいとアセっていた。なぜならば約束の時間を1時間も過ぎているのに、Dが来ない。 携帯も留守電だし、自宅へ電話すると「7時半の関空行きバスへ乗るって出掛けましたよ」とのこと。 「もしやバスジャック!?だったら私一人で行っちゃうよ〜ん(←やりかねない)」 と思っている所へDが到着。「ごめ〜ん。バス乗り場までタクシー乗って行ったら混んでてバスに乗れへんかってん」 私「携帯も家に忘れたでしょ」 D「そう、あせったわ〜、J○の関空快速って電話もないねんな〜」 ‥‥まあ間に合ってよかった。慌ててKLMのチェックインカウンターへ!!(毎度おなじみの飛行機♪) そして搭乗口へ急ぎましたわよ。
気が付けばKLMの機内。こんなに実感が湧かないフライトも初めてでした。行きの機内映画はケビン・コスナーの 野球の映画(題名忘れた)と、CGのネズミが主人公の映画(これも題名忘れた)。どっちも興味なしだったんで ひたすら私のガイドブックを読むD(彼女は今回の旅行、全く現地の予備知識なし!と宣言されたので^^;) ちなみにDは某薬局の主任をしている薬剤師さんなので、薬は一杯持って来てくれて安心しました。 「これは鼻カゼに効く抗生物質」とか色々説明してくれたんだけど真面目に聞いてなかった(^-^;)。 あとは体力温存の為、クラシック音楽を聴きながらひたすら寝る!寝る!!
そして、オランダ・スキポール空港へ到着。「………暑っっ!!」何なのでしょう?この暑さは。 まるで香港やプーケットの空港へ降り立ったような暑さ。思わず持って来た服を考えてしまった私‥‥。 空港のデコレーションはEURO2000一色でした♪どこもかしこもチームカラーであるオレンジ色!! 巨大なサッカーボールも天井から吊ってあって見ているだけでワクワクします。でも今回の目的は『エリザベート』。 取りあえずホテルへ急がなければ。欧州最大級のスキポール空港は機能的に出来ていて荷物用カートごと地下の鉄道駅へ 降りれるようになっているんです。往復併せると10回近くこの空港を利用したことがあるんですが、いつも乗り継ぎだけで 利用していたので、実は入国するのは初めて(^-^;)。ちょっと勝手が分からず苦労しました。 鉄道の自動券売機があったんですが、全てオランダ語で表記されているのでサッパリ‥‥。 呆然としているとKLMのスッチーさんが(遅刻しそうなのか)大急ぎで自動券売機でチケットを買ったので訊ねると、 「あそこに(人がやってる)切符売場があるわよ」 みたいなことを英語で言ってくれたので、助かりました。(すいません、お急ぎだったのに‥‥)
無事に宿泊先のLEIDENまで乗車券を買い、今度はプラットホームが分からず取り合えず地下のプラットホームへ。 Dが車掌さんを捕まえて(笑)「LEIDENへ行きたい」と英語で訊ねると「○時○○分に5番線から出るよ」と 教えてくれましたので、再び地上へ戻り5番線へ。‥‥この時点で今回の旅の主導権はDへ移行しました(^-^;)。 いつもは一人旅なんで自分の貧弱な旅行英語で乗り切っていたんですが、今回は私よりクレーバーなDがいる(笑)。 オランダ語の時刻表解読などの考え事は全てお任せしちゃいました。楽だったわ〜♪
何だかんだいいながらLEIDEN行きの列車に乗る日本人二人。車内に冷房なんてものはなく、蒸し風呂状態(泣)。 車窓の風景は北海道の夏そのもので(行ったことないケド)、じゃがいも畑・牧場・牛・馬・羊‥‥‥と続き 「私たちは12時間もかけて、ひょっとして北海道へ来てしまったのでは?」っていう位、実感がありませんでした。 でもたくさんの運河や風車が現われるにつれ「やっぱりオランダかも」と思い直し、地面すれすれの運河を見つめながら 「オランダは海抜0メートルの地域が殆どなので水害に遭いやすい」という中学地理の授業を思い出しました。 そして突然「あああ!」と叫び出す私。Dが驚いて「なに?」って訊ねると 私「オランダまで来てなぜかモー娘の『ハッピーサマーウエディング』が頭の中でぐるぐるしてる‥‥」 D「なんなんよ、それ。○○○(私がハマってるアーティスト^^;)のアルバム5回聴いて来たんじゃなかったの?」 私「うん、そんなんだけど‥‥あああ、頭の中でパラッパラ〜♪パラッパラ〜♪って‥‥おぼえてろよ、つんく〜」 この時Dは「とうとうこいつオランダの暑さにやられたか」と思ったに違いない‥‥。それ程暑かったのです。
列車は20分程してLEIDENへ到着しました。でかい駅です。LEIDEN大学っていうオランダで一番古い大学があるだけ あって学生が多いです(学生数は1万5千人ですって)。でも皆ノースリーブに短パン‥‥。 う〜んこんなに暑いとは計算外。
ホテルは駅前にどど〜んとあったので捜す間もなく見つかりました。チェックインもスムーズに済みいざお部屋へ。 私は一人旅に慣れている(?)ので、人と旅行へ行く時は我が儘言ってツインのシングルUSEのお部屋を2部屋取るんです。 一応4ツ星のお部屋なんで大丈夫だと思っていたら‥‥‥ク、クーラーがない!!巨大な扇風機が天井で回っておりましたわ。 しかもバス付きってリクエストしたのに、シャワーオンリーだったし(2泊だからいいと言えばいいんだけど)。 湯沸かしポット(暑いから使わないっちゅうに)となぜか小さなキッチンはちゃんとあったんですけどねえ。 冷蔵庫は二つもあるし。Dの部屋へ電話して、 「ウ〜ン、ごめんね。取りあえず帰ったらH.○.Sに報告しとくわ。」って詫びを入れておきました。
さ、ボ〜っとしてられません。これからデン・ハーグって街へ行って『エリザベート』を観ないと!! ちょっとだけこ綺麗な格好へ着替えていざ出発です。しかし、暑い。着替えるのも体力使うわ・・・。
(例によってつづく‥‥‥さて何回で終わるのでしょうか‥‥)
その2 〜ス、スケベニンゲンへ行きたいんですケド‥‥〜 |
‥‥とオランダにツッコミを入れたくなる位暑い部屋の中で着替え終わり、小さなバッグにデジカメ&デジカム (何か撮らないと!という使命感だけで毎回持って来てる。ハッキリ言って重いT_T)をぎゅうぎゅう押し込みいざ出発!! あ、でも貴重品を何とかしなきゃと思い出し、一度フロントへ行って「セーフティBOXの鍵をおくれ!」とお姉さんに交渉。 そのお姉さんの足元には扇風機がブンブン廻っておりました‥‥やっぱり暑いんやないかい!!(^-^;)
でも一歩外に出ると、心地よい爽やかな風が・・・「ああ、暑いのはホテルの中だけだったのね〜」 「そうね、そうね!!やっぱり北ヨーロッパよねえ♪これなら耐えられるわ〜〜」‥‥ お互いちょっと腑に落ちないながらも無理矢理自分を納得させ(?)て、LEIDEN駅へ歩き出しました。 駅前は再開発中なのか砂利道が多く、取り壊し前のビルのガラスは全部破られ、荒んだ感じがしてちょっとコワかったです。 空き地には恐ろしいくらいの量の自転車が並べてあって、しかもギュウギュウ。 この中から自分の自転車を捜し当てるのは至難の技だと思うのですが、どうなんでしょう?? 坂が少ないオランダが自転車王国なのは知っていましたが、実際に目の当たりにすると圧巻です。 (近所が坂だらけでふだん自転車に慣れていない私はオランダ滞在中、何度もオランダ人に轢かれそうになる/涙)
ここでLEIDENについて少し説明。オランダ最古の大学があるとは既に言いましたが、そのおかげで研究施設や出版社も多く 全体的にアカデミックな雰囲気がする街です。シーボルトが晩年を過ごした場所としても有名で、 「出島通り」や「シーボルト通り」など、日本に関わる地名も何ケ所か残っています‥‥‥‥ が!!今回の滞在では駅とホテルの往復で精一杯、全くと言っていい程LEIDEN観光が出来なかったのです。 見たかったんですけどねえ、穏やかに流れる運河やライン川にかかる「はね橋」や風車‥‥ 穏やかな旅をするには余りにも時間が無かった(くうう)。 いつかまた来れたらいいなあ‥‥‥『のんびりと運河を下る旅』というのにも憧れます。
さて再びLEIDEN駅に着いた私たち。ここでも空港で惨敗せざるを得なかったアノ自動券売機を発見! またもや果敢に挑むD(笑)。 全てオランダ語で書いてあるので確信はないのですが、どうもシステム上はこうなっていたみたいです(うろ覚え)。
次は時刻表との闘いです。例によってオランダ語でしか表示されていません。地名と数字が謎の配列(?)で記載されてます。 「‥‥で何番線に行けばいいんだろうねえ」「う〜ん、ちょっと待ってね・・・え〜っと・・・あ!分かった〜!!!」 浮力の法則を発見して「エウレカ!!」と叫ぶアルキメデスさながらに(ちょっと理数系っぽく言ってみました^^;)喜ぶD。
「この1315とかいう数字が時刻なのよ。で、今が18時05分だから 次にデン・ハーグ方面へ行く列車はこの1810‥‥」 「あ、じゃあこのAっていうホームへ行けばいいのね、急げ〜〜!!」‥‥調べるだけ調べさせて走り出す私(はは^^;)。 あ〜とにかく理数系の友人と一緒でよかったですわ。しかしあれだけ説明されたのにBのホームに来た列車に乗ろうとした ワタシ。今までどうやってヨーロッパ一人旅を乗り切って来たのでしょう?自分でも謎です(-.-)
間違って一つ前の駅で降りてしまうというアクシデントがありながらも(何やってんだこの二人^^;)無事にデン・ハーグに 着いた私たち。ちなみにデン・ハーグにはハーグ中央駅(Central Station)とハーグH.S駅(Holland Spoor)の 二つの駅があります。どちらに着いても劇場には行けると聞いていたので、そんなに気にしませんでした。 この時はCS駅の方に到着しましたので、トラムの1番か9番を捜して劇場へ行くことにしました (さすがにこの辺は下調べをしてきましたの^^;)。
この満員御礼絶賛上演中のオランダ版『エリザベート』、デン・ハーグの中心にある劇場でやっているとお思いでしょう? Non, Non(だから誰?^^;)違うのです。ハーグ中央駅からトラムに乗って北西へ約20分(もっとかかったかな?) 北海(North Sea)海岸近くのリゾート地、Scheveningenという街にあるVSBサーカス劇場って所で上演されているのです。 Scheveningenはスフェヘニンヘンと読むそうなのですが、英語っぽく「スケベニンゲン!」って発音する方が通じやすいよ! と聞いたので、滞在中私たちはずっと「スケベニンゲン?」「スケベニンゲ〜ン♪」って言っていました(^^)
難無くトラムの乗り場を発見した私たち、どうせ明日以降もトラムやバスに乗るだろうと回数券を買おうと思ったのですが、 ハンガリーやウィーンと違い、行き先によって使う枚数も違うらしく何より回数券を使い切るほど滞在しないでしょう(泣)。 ということで切符はそのつど車掌さんから購入することにしました。トラム乗り場には結構人が並んでいて、 資料片手にあーでもないこーでもないと騒いでいる日本人二人(アタシたちのことよ!)を物珍しそうに眺めていました。
そうこうしている内にトラムが到着。狭い車内に結構な量の人数がなだれ込んだ為、小さい日本人二人は奥へ奥へ‥‥(T_T) (オランダの成人女性の平均身長は174cmと聞いたのだが、本当だろうか・・・) 結果から申しますとね、トラムの料金を払うチャンスがなかったのですよ。 他の乗客も皆払わずに車内になだれ込んで来たし‥‥‥‥‥ ハンガリーで検察官に激しく怒られていた外国人カップルを見て以来「絶対に払わなきゃ」と思っていたのですが (詳しくは欧州洋行記の「ハンガリー・ウィーン紀行 その20」を読んでね‥‥って宣伝してどーする/笑) 「このトラムはスケベニンゲンに行きますか〜?(爆)」って英語で聞くのが精一杯で、 後は運ちゃん激しい交通量の中の運転で大変そうだったし‥‥‥ D曰く、最近オランダ国鉄は人件費削減の為にトラムやバスをワンマンにしていってるんですって。 でも運転手一人じゃ切符売りや検札まで面倒見切れず、無賃乗車客を見逃してしまい、結果赤字がどんどん増えて行く‥‥。 う〜ん、どこかの国で聞いたような悪循環な経営状態ですなあ、ひとごとと思えない(^-^;)。 以降はちゃんと予め4.5ギルダー(約190円)を握りしめてトラムへ乗り、すぐに運ちゃんに渡すようにしましたわ。
トラムは慌ただしい街の喧噪を抜けて「スケベニンゲンの森(笑)」の中へ。見渡す限り濃い〜緑の世界‥‥。 たまにジョギングをする人や、犬を散歩している人達とすれ違います。どこかで見た風景だな‥‥と、思い出しました ! ベルリンの旧東側と西側の間にある広大な森、ティーアガルテン(Tier Garten)・・・あそこに似ているんです。 Tier Gartenは王家の狩猟場だったそうですから、きっとこの森もオランダ王家の狩り場だったに違いない(と勝手に想像)。
ようやく景色を楽しむ余裕が出て来た所で、トラムは再び街なかへ。どうやらこれがスケベニンゲンの街みたいです。 一つ一つの家が大きく作ってあって「日本にあるヨーロッパの大使館」って感じ。 庭にはバラが咲いているし(笑)。 ヨーロッパって街なかじゃアパルトマンが殆どじゃないですか。 だからこういう「大邸宅」を見るのは結構珍しかったりします。 街といっても、ここがリゾート地だからでしょうね。実はこれ全部、外国人の別荘だったりして(^-^;)
そろそろ劇場に着くかな?と気を付けていたら斜め前に座っていた親子が立ち上がりました。 実はこの御婦人が『エリザベート』のチケットを持っていたので、Dと「あの人達の後について降りよう!」 と言っていたのです(^^;)。トラムから降り立った私たちを待っていたのは‥‥ 夢のように惨然と輝くVSBシアターでした!!!
(つづく‥‥‥やっと劇場に着きました‥‥)
その3 〜お兄さま、涙が‥‥止まりませんッ(第一幕)〜 |
っていう位、VSBシアターは大きくて貫禄があってゴージャス(?)でした。看板には電飾が回っていたし。 これで降りる場所を間違えたら・・・かなり恥ずかしかったでしょうね(^^;)‥‥‥ 予め劇場の写真は見ていたので、ある程度の想像はついていたのですが、まさかこんなに立派できれいな建物とは 思っていなかったのです。感激もひとしお‥‥Dと「すごいね〜、立派よね〜〜♪」大喜びしてしまいました。
しかしそう喜んでいるヒマもありません。開演の30分前までにチケットを引き換えないとダメなのです。 (それを過ぎるとキャンセル扱いになってしまいます^^;)取急ぎチケット窓口へ。 幸いにもそんなに並んでいなかったので、すぐに順番がまわってきました。ちょっと緊張‥‥まずは オンラインで予約した番号のコピーを窓口のお姉さんに渡しました。するとお姉さん、手慣れた手つきで番号を入力。 そして私へ向かって早口の英語で何か言いました。「?」って感じで何度か尋ね返していると、横からDが 「明日の分のチケットも今引き換えるかどうか聞いてるんじゃない??」 「あ、な〜るほど」と私(^-^;)。「い、Yes Please.」って言うのがやっとでした。ありがと〜〜Dよ(T-T)。 その後座席を確認してようやくチケットを発券してもらい、カードにて精算。その時もびっくりしたのですが、 カードで支払う場合、どこのお店でもそこの店員がお客さんのカードを機械にシュッと通すじゃないですか。 でもこの劇場では支払う本人(つまり私)が窓口脇にある機械にカードを通さないとダメなんです。 生まれて初めての経験で「ちゃんと機械に通るかしら〜〜?」と、ドキドキしましたわ。 確かにそのシステムの方がお客としては信用出来るのですけどね‥‥。
チケットも無事に引き換える事が出来、足取りも軽く劇場入り口へ♪ かっこいいお兄さん達がチケットをもぎって(?)くれて気分よく入ると、毎度おなじみ「エリザベートグッズ」が ズラ〜っと売っていました。3年前ウィーンで観た時にもグッズが売っていましたが、あの時は扇子とCDくらいだったの では‥‥?何だか回を増すごとにグッズの種類も増えていっているようです。 (その後東京で東宝エリザベートを観たのですが、この時はワインまで売っていてびっくりしました/笑) 「グッズは後でいいよね〜。明日も観にくることだし(笑)」ということで、ここは素通り。 パンフレット(2種類あって、私たちは写真がたくさん入っている方にしました^^)だけを購入してカフェへ。 よく考えたら私たち、機内食以来、飲まず食わずだったのでした。でも食事する時間もなかったのでジュースのみ(^-^;) ようやく落ち着いてから、自分達の席を捜しに向かいました。しかし夜の8時前というのに何なのでしょう?この明るさ。
会場内に入ると‥‥ものすごく冷やっとしています。舞台を中心に半円形に座席が並べてあり、シートは上品な赤色。 とてもモダンな作りになっていて、どの席からも舞台がよく見えるのではないでしょうか? (昔のオペラハウスだと全く舞台が見えない席もありますものね^^;) 座席数はそんなに多くありません。そりゃ瞬く間に席がなくなっていくハズだわ。そして私たちの席ですが‥‥
《ミュージカル『エリザベート』の簡単すぎる説明》
時は19世紀末、オーストリア・ハンガリー二重帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の妃・エリザベートの生涯に、
架空の死の帝王・トート(オランダ版ではDood)が絡んでいき、不吉な影を落とします。
嫁と姑の確執、夫の激務による孤独。さらに長女をハンガリーで亡くし、長男ルドルフは反政府に走り自殺。
その度に死の帝王はエリザベートを死の世界へ導こうとしますが、彼女は「私はわたし」と拒みます。
さらに度重なる不幸が訪れ、最期はエリザベートが無政府主義者ルキーニに暗殺されることによって、
見事(?)死の帝王と黄泉の国で結ばれるというストーリーです。(あれ?よく分からない??)
【ここからは印象に残ったシーンのみ挙げさせて頂きますね。いくら何でも全ては記憶出来なかったのよ(T-T)】
♪プロローグ
黄泉の国のシーン。
墓から死者達が蘇っていき合唱。墓石がリアル(?)。そして皆さんすごく歌が上手い!
当たり前だけど、安心して聴いていられるのってすごく嬉しいです。そして跳ね橋に乗ってDood閣下が登場!!
この「跳ね橋」と「床が持ち上がる」のが『エリザベート』の演出家の特徴なんですよね〜。
去年ウィーンで観たミュージカル『モーツアルト』でもこの演出が多用されてました(^-^)。
このDoodさん、最初見た時は「な、なんて頭が大きくて足が短いの〜〜(ひどい^^;)」って思ったのですが、
(だってウィーン版では長髪の銀髪でかっこいいおじさまだったんですもの。。。)
歌い出した途端、その迫力に圧倒されました!!すごい存在感。ささやく様に歌うのですが、もう不吉で不吉で(笑)
死の匂いがプンプン!!息を吸い込む音まで迫力があって(ホントよ!)まさに「死の帝王」役にピッタリ。すごい!!
このプロローグ終わりで私とD、「すごいね〜〜!来てよかったねえ」って顔を見合わせましたもの。
♪『パパみたいに生きたいの』
【少女時代のシシィ&自由に生きる彼女の父のシーン】
Piaさん(エリザベート役の方)‥‥さすがに少女時代を演じるのはちょっとキツいですね(特に前の席だったので^^;)
でも声は本当によく伸びる方で、高い声も低い声も自由自在(『自由自在』っていう小学生用の参考書があったな)。
なんだか本当に‥‥すごいミュージカルを観に来てしまったようです。
♪『考えたようになどいったためしがない』
【姉の見合いに付いていくエリザベート。しかし皇帝が選んだのは彼女だった!】
場所はバート・イシュルの館のハズなのですが、セットの宮殿は鉄冊をあしらった温室風に作ってあって、
まるでシェーンブルン宮殿やポツダムのサン・スーシー(無憂)宮殿のようです。背景の庭園は遠近法が使われていて
「本当に舞台なの?」っていう位よく出来ています。お見合いで姉を選ぶハズが妹のエリザベートに一目惚れする皇帝。
その後舞台が暗転して二人だけの夜のシーンになるのですが、夜の宮殿がまたロマンチック(笑)。優しく愛を語る皇帝に
私は惚れてしまいましたよ(爆)。オランダ版フランツ・ヨーゼフ皇帝は影が薄いなんて言われてましたが、とんでもない!!
とっても優しそうで歌も上手くって「エリザベートに惚れてます」っていうのがヒシヒシと伝わって来ました(^-^)。
そして最後のキスシーンに思わず照れてしまった私(爆)。
♪『あらゆる問いがたてられた』
【ウィーンのアウグスティーナ教会での挙式。エリザベートの誓いの後、不吉な鐘が・・・】
もう〜、ゴージャスなのですよ!!列席者一人一人が大きいし(やはり女性の平均身長が174cmってホントウ?)。
どんな端役の人も歌が上手くて(当たり前ですが^^;)左右に蝋燭をイメージした教会のセットも見事!ため息をつきながら観ていると、舞台の両側から結婚衣装を着たフランツ・ヨーゼフ&エリザベートが登場!!シシィのウエディングドレスが綺麗でね〜♪もう余りの神々しさにクラクラ(笑)。本当に当時の結婚式に参加している気分になりました。初めからこんなに豪華で大丈夫?
♪『彼女はふさわしくない』〜『最後のダンス』
【シェーンブルン宮殿の舞踏会場で「彼女は王妃にふさわしい」「ふさわしくない」と噂話をする貴族の招待客達。その中で幸せそうにダンスをする新郎新婦。しかしだんだん不吉な音楽に変わってゆき招待客達の時が止まる。そこへ突然例の「跳ね橋」に乗って死の帝王Doodが登場!動きの止まったフランツ・ヨーゼフからエリザベートを奪い取り、「最後のダンスは私のもの〜♪」と無理矢理(?)彼女とダンスを踊りまくる】←説明長すぎ(^^;)
死の帝王もね、彼女の事が好きで好きで堪らないんだな〜って感じました。そして何よりの見モノはDoodの後ろに従って踊る6人のダンサーズ!!真っ黒な衣装を着て片方だけ羽が付いています。男3:女3に見えたのですが、本当はどうなんでしょ?
私達は親愛を込めて「トートの6羽カラス」と呼んでおりました(^-^)。
その場面が終わってシシィがぐったりしていると、正気に戻ったフランツ・ヨーゼフが彼女をだき抱えてベッドに寝かせるんですよね。く〜〜〜!!!優しいねえ。「フランツにしときなよ〜」って私はシシィに言いたかったわ(←言ってどうする・・・^^;)。
♪『私は私だけのもの』
【新婚早々夫は激務で留守、姑ゾフィーには生活態度を細かくチェックされ、侍女にも見張られる毎日。絶望の中、彼女は光を見い出し「私は誰の物でもない、鳥のように自由に生きる」と高らかに歌うこのミュージカルのテーマです】
舞台上には余計な装飾はなく(背後の岩山がマイヤーリンクへ向かう山道で見た風景に似ていて驚きました^^;)、シシィの独壇場!しかしその歌を聴けばそのシンプルな舞台も納得がいきます。間奏もドラマティックでね〜。会場も「これを聴きに来ました!」っていう緊張感がみなぎっていて(笑)。最後の1オクターブ高い音も余裕!!Piaさんの勝利ですね。
完全にエリザベートは彼女のものって感じです。文句なしで。会場は割れんばかりの拍手!!私は素直に涙を流しました‥‥。
その次の場面、ハンガリーで長女を亡くした事を知るシーンはいつも怖くて(ウィーン版のが一番残酷でした)悲しくて‥‥ 毎回やりきれない切ない気持ちで観てしまいます。
♪『楽しい黙示録』
【ウィーンのカフェで学生や新聞記者達が国家を憂いながら「彼女はハンガリー贔屓だ」などとシシィの噂話をしている。その間をウエイターの格好をしたルキーニがほくそ笑みながら忙しそうに注文を取って料理を運んで立ち回る】
よく出来てました、このカフェ(^-^)。回転扉が中心になっていて、それが結構重厚な作りで本当に19世紀末のカフェの雰囲気。舞台も円形にくるくる廻っていくのですが、ルキーニとお客の立ち回りが見事!かなりややこしい動きだと思うのですが・・・。そしてカフェのお客さん、かっこいい男性が多かったですよ♪やっぱりオランダ人は背が高いから舞台映えもするのでしょうね〜♪♪
♪『ママはどこにいるの?』
【シシィの幼い皇太子ルドルフがベッドの上で「ママはどこ?どうして僕を放っておくの?」と孤独に震えていると死の帝王Doodが登場。「私は君の友達だ。君が私を必要とすればすぐにやってくるよ」と近づいていく】
「いくら何でもそないにデカいベッドはないやろ!」とツッコみたくなる位巨大なベッド。殆どジャングル・ジム(笑)。でも造りはやっぱり重厚でした。そこへちょこんとネグリジェのような服を着たチビルドルフが膝を抱えて一生懸命歌うんですもの!!観客の顔も緩む緩む(^-^;)。ルドルフの歌をDoodは微笑みながら見守るのですが、「その優しい笑みはナニッ!?」って感じです。めっちゃいい人になってるやん、死の帝王さま。いやその微笑みこそが曲者なんでしょうねえ(と勝手に納得^^;)。
♪『私の天使よ、ドアを開けておくれ』
【姑に取られていたルドルフの教育権を取り戻すため夫フランツ・ヨーゼフを拒絶するシシィ。ドアの向こうで懇願するフランツ・ヨーゼフ(^^;)。シシィは彼に「私を失いたくないのなら要求を飲んでちょうだい!子供の教育は自分でしたいの。お母さまを選ぶか私を選ぶか決心して!!」 と、最後通牒を突きつける】←夫婦110番かいな(^^;)
フランツ贔屓の私(笑)は「何もここまで冷たくしなくても〜」って感じだったのですが。煮え切れない皇帝が可哀想でした。巨大なドア(またこれも重厚な造り/笑)の前でガウン姿で「開けてくれ‥‥」と懇願するフランツ・ヨーゼフ。
「御近所の目もあるから早く入れてやって」と心の中で呟きました(T-T)。
♪『これだけは言っておきたい』
【「手紙の内容はよく分かった。あなたに愛されないことはもう耐えられない」と、フランツ・ヨーゼフがシシィに折れます。そこへミルク風呂を終え身だしなみを整えたシシィが登場。♪『私は私だけのもの』を歌いながらヴィンターハルターの肖像画(一番有名なシシィの肖像画)と同じポーズを取る第一幕の終わりにふさわしいシーンです】
ウィーン版では出てこなかった(と思う^^;)Doodもなぜかこのシーンで登場。そしてウィーン版では最後の「私だ〜け〜に〜♪」で
バッと扇を開けてフランツ・ヨーゼフを拒否するように顔を隠したのですが、このオランダ版では胸元の前で開けたので「あれれ?」って感じでした(それを期待していたのに〜)。とにかく三人三様一体この先どうなる?・・・という終わり方でした。
(つづく‥‥やっと一幕が終わりました。次回はいよいよルドルフが大活躍です(^-^;)