遊牧民と大草原が広がるチベット・イスラム文化など

多民族で成り立つ青海省現地レポート!!

ニーハオ!今回はチベット自治区、甘粛省、四川省と並び、未だ明らかにされていない未開拓地が非常に多いと思われる青海省(チンハイ省)へ行ってきました。青海省といえば大草原で放牧をするチベット族をイメージする人が多いと思いますが首都西寧(シーニン)は青海高原に位置し、標高2200mで古くはシルクロードの南ルートでアムド地方や、ゴルムド経由でラサを目指す際の交通の起点であります。多民族で2100年の歴史を持つ、ここ西寧は約8割を漢民族で占めていますが、去年アメリカテロ事件で何かと話題になったイスラム教徒(注、彼らは事件とは何ら関係ありません)の回族が多く、町中には白い帽子をかぶった男性や、黒い布で頭を隠した女性などがいたるところで見る事ができ(本当なら写真をとる機会はいくらでもあったのですが、あの事件の事で変な先入観があり撮る事ができませんでした。すみません)非常にイスラム色が強く何だか別の国に来たような錯覚になります。まずアクセスとしては大阪からはもちろん西宇までの直行便が無く北京、上海、広州などに一度入り、そこから乗り換え2日かけて西宇に入ります。目指すポイントは同仁県麦秀林場(トンレン県マイシュウ林場)で西寧から約200kmに位置します。たかが200kmといっても皆さんが思っているほど簡単ではなく、一応アスファルトで舗装らしき事はしていますが、ほとんどがでこぼこで山沿いをカーブばかりの道で約5時間ほどかけていきます。今回3月の中頃私の中国の友人から青海省でホーペイが採集(材割り)できたと連絡が入り、一瞬ある方のホームページの掲示板に青海省は標高が高いので生見しないと書き込みがあり少し不安になりましたが、見てもいないのに想像で判断するのはやめようと思い"百聞は一見にしかず"ととりあえず現地へ行こうと調査団を送ることにしました(・・・といっても私一人ですが・・・)

4月10日西寧空港は到着して思ったより暖かく、15℃はあったと思います。そこで出迎えの中国人と一緒にタクシーをチャーターして目指す同仁までの長い道程が始まります。空港を出るとすぐに白い帽子をかぶったイスラム教徒の人々が目に入り、礼拝所(ムスク)が建っています。土やレンガで固めた家や、なかには山の斜面を彫った洞穴の家など、まるでテレビでしか絶対に見ることがないと思っていた別世界に来ているようです。それから約30分ほど市内を同じような風景を見ながら走り、やがて山道へ入っていきます。まずここからは標高の高いところへと行く事になり、見渡す限りの大草原地帯、牛や羊が放牧されており、とにかく空気が綺麗で非常に和な風景が延々と続きます。途中ダライ.ラマ14世の生家がある平安県に入り、ココは開放地区ですが(注、ラマ14世のタクツエル村だけはパーミットが必要)この辺になると標高が3000mに達し雪が積っており、昨夜も少し雪が降ったそうです。ここからは標高が低くなっていき化隆県(ホアロン県)(回族自治県)えは2000mまで下り、急に気温も上昇し、1000mも下がるとさすがに体感温度もはっきりわかるほど気温が違ってきます。ここからも同じような風景が続き、やがて循化県(シュンホア県)(サマール族自治県)に入り、ここはイスラム教徒であるが、回族と違ってトルコ語系の独自の言葉、サマール語を話し、チベット全体に散らばっています。ちょうどこの辺りに黄河が流れており、非常に澄みきったブルーのあざやかな川が流れています。(青海省には西寧の西200kmに琵琶湖の6倍以上の大きさを持つ中国最大の塩湖があり、湖の中心に海心山という島があり寺院も建っています)そしてそこから約2時間で今回私が採集人と待ち合わせている同仁県に入ります。ここで1番驚かされたとこは、ここは中国なのにほとんど中国語が通じません。そしてチベット語の文字が突然現れてきます。ここまで来るまでチベット語で書かれているところなど全くなかったのに、急に違う国に来たようで、仕事を忘れ観光気分になってしまいます。さすが多民族国家です。気温の方も20度近くで少し暑いですが、湿度が低い分全く暑さを感じません。このあたりで標高は1800mです。待ち合わせの場所にはすでに採集人が来ており少し町中を案内してもらいました。(300mほどの道の両側に店が数軒あるだけです。)チベット族のお寺(コンウォ・ゴンパ寺)では毎日僧が金箔でできた円柱のような物を回しながら1時間ほどお祈りをしているそうです。チベット族は非常に温厚な性格でのんびりしており、いつも怒ったような口調の中国人と全く性格が違うように感じます。時間の方も昼をかなり過ぎており、この辺りで食事を取ることにして、生まれて初めて本場のチベット料理を食べる事にしました。期待と不安が交差して全く想像もつかず、もしかして全く食べれない料理が出てきたらどうしようと思っていたら予想に反して簡単にいえば日本の少し辛いラーメンのようできしめんをもっと大きく伸ばして2cm角にちぎった麺で思ったより美味しかったです。そろそろ本題のホーペイの話に戻しますが、生息地の麦秀林場まではここから約60kmで今回採集のため40名の村人が協力して材割りにて採集してくれました。麦秀林場は外国人の侵入が禁止されており、私はこれ以上奥地へはいけません。今日私が西寧から同仁まで来るまでも3回の検問があり、不審者の侵入を防いでるようで非常にチェックが厳しいです。麦秀林場は標高1500mで青海省の木材の約90%をここから伐採しています。発生木で最も多いのは中国名で核桃樹と言いやはり日本のクヌギナラによく似ており、次に柿樹、青岡樹(ブナ)の順です。材割りの為個体は越冬個体は少なくほとんどが新成虫で非常に綺麗です。特徴は今回最大が69mmの為、はっきりは分かりませんがやや大アゴが太短いように思います。日が暮れて暗くなると道が非常に危険で時間が余計にかかってしまうので早めに西寧へ帰ることにしました。往復約10時間も山道を揺られタクシーで移動するというのは今までにも経験なく、想像以上に苦痛でいやになります。もう二度と行きたくないです。今回のタクシー代は800元(約12000円)で、日本で10時間もタクシーに乗ればいくらかかると思えば非常に安いです。今回私が泊まったのは西寧で一番大きなホテルで青海飯店といい、非常に設備の整ったホテルですが、ただこれぐらいのクラスになると大体日本料理店があるものですが、ここのホテルにはなく、やはり青海省という土地からあまり日本人が訪れる事が少ないからでしょう。日本での情報は青海省はいろんな民族がおり、非常に治安が悪く危険であるといわれていたので、いつもながら時間があれば市内を歩いて回るのですが、さすがに今回だけはホテルから一歩も外出しませんでした。次の朝、北京で乗り継いで大阪に帰る予定ですが、あいにくその次の日に帰る便が無く北京で一泊する事にしました。北京ではこれといった用事も無いので天安門やもっとも有名なストリート王府井(ワンフーチン)を見に行き、天安門の前の広場は一度に50万人を収容できる世界最大の広場として有名で行ってみて本当にそのスケールの大きさが分かります。中国の交通マナーは非常に悪く、これは東南アジアではどこの国でも共通する事ですが、特に中国が一番悪いようです。車線変更をする場合でも日本なら優先順位はある程度守って走行するものですが、中国ではクラクションを鳴らし先に進入した物勝ちといったことが当たり前のように行われています。日本でこのようなことをしたらあちこちで口論やけんかをしているでしょう。その中を信号などを無視した自転車や人が堂々と渡っています。国によってこんなにも習慣が違うのかと改めて感心します。

今回私は青海省を訪れ、森林生態の研究者の方にも話を聞き、クワガタムシが生息可能である地域を調べてもらった結果、同仁県麦秀林場から甘粛省夏河県にわたり120kmの範囲と四川省との境いの久治という場所から南へ200kmほど下った場所が標高1500〜2000mの広葉樹の雑木林があるそうです。青海省は中国でも4、5番目に広い面積を持った省です。日本の国土全体が入ってしまうほど広いです。当然気候地域によって全く違います。今回私はわずか150kmほどを移動しただけでも一度に夏と冬を経験したほどです。標高が高いから青海省には生息しないと言われるのはどこの地域を指して言われているのでしょうか?皆が頑張って新産地を発見しようと努力しています。近年中国でも日本国内でオオクワをはじめクワガタブームである事を良く知っています。それによって採集方法や発生木などだんだん知れ渡り、これからももっと新産地を発見してくれる事でしょう。

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今後も可能な限り自分で目で見たことや体で感じた事をそのまま皆様にお伝えできるよう頑張っていきます。

ドルクスブリーディングセンター  岡崎