海外採集レポート 第9弾!!
クワガタムシの宝庫!
中国最南端南国海南島編

これが正真正銘の海南島アンタエウスです

採集レポートは昨年9月のアリゾナ州のグラントシロカブト編を最終にそれ以後非常に忙しく海外へは買い付けが中心になり満足なレポートを報告できなかった事をこの場を借りてお詫びします。

今回は現在中国で人気上昇中の海南島へ行ってきました。この島は何かと問題になる産地で今まで採集例や標本が日本になく他国産の偽者ではないかと言われる方もおられますが、詳しい説明は後にして結論から言えば私自身の目で確認した所絶対に棲息しないと言われているアンタエウスをはじめ、ヒラタ、オドントラビス3種、ノコギリ4種、カブト2種、不明種♀1、合計12種類確認できました。

まず初めに海南島(三亜)を簡単に説明しますと、三亜は海南島の南部に位置する海浜の街です。人口は約20万人で住民は40%をリ族、その他ミャオ族、回族など10余りの少数民族で占めています。年間の平均気温が25℃、冬でも20℃以下になることはほとんどなく熱帯性気候でビーチリゾートとして有名です。
一般的なルートは日本からは直行便がなく、1度広州(大阪から約3時間)まで行きそこから国内線に乗り換え海南島(三亜)まで約1時間で着きます。そのほかのルートでは香港回りで入る方法もあります。
今回は2年前にマレーシアのキャメロンH、ゲンティンH、1人旅の失敗を教訓に通訳1人を同行させて生息地の高峰をはじめ、抱密、南東、六夛、通什市五指山に4日間行ってきました。結果的に通訳を同行させた事で行動範囲が広がり満足できる内容のレポートが出来ました。
三亜空港に着くとアロハシャツを着た観光課の人間が多数出迎え、まるでハワイに来たような気分になります。空港ではまずタクシードライバーと交渉して(1日500圓、約7500円少し高いと思いますが通什までの距離を考えるとこんなもんでしょう)初日のホテルまで行きました。道幅は非常に広く、町並みも美しく南国そのものです。海南島はリゾート地で中国人にも人気スポットとして有名で宿泊代がシーズンインとオフでは半額以下になり※シーズンインが11月〜4月、オフが5月〜10月、今回は私が泊まったホテルで1泊300圓(約4500円)でシーズンインになれば700圓(約11000円)になってしまいます。もちろん安宿も多くあります。
初日は長旅で疲れており今夜はホテルで休息する事に決め、明日からの予定や本当に一部の方から言われるように虫なんて棲息していないのか?と期待と不安でいろいろ考えて寝る事にしました。
次の日の朝、朝食も簡単に済ませ、今日の目的地、高峰を目指して行くことにします。
以前当センターのホームページの掲示板に高峰には木々がなく虫なんか絶対に生息しないと断言されていた方がおられましたがまったく間違いです。高峰、抱密、南東、六夛は森だらけ、1目見れば虫が生息しているのが分かります。途中出会う人や村などででクワガタの写真を見せると全員が見たことあると非常に期待のもてる返事が返ってきて、そしてある村で今家に虫がたくさんいるよ、という青年が現われ彼の家まで連れてもらうことにしました。途中までは獣道でも車が通れる幅はありますが最後の方は車も通れない細い道でそこからはバイクに乗り換え通訳と3人乗りで約5分で彼の家に着きました。まず1番に驚いたことは同じ地球上で未だにこんな生活している人があるのか?と私もいろんな東南アジアの国々の生活を見てきましたが家は粘土で固めた物や自分で森から木を切って作ったもの、そして水道、電気は勿論、風呂、便所もなくまるで3年前にボルネオでのジャングル生活をしたところのようでした。
私が感心していると家の奥から虫の死骸や酒につけた虫を持って来てくれその中に何と!アンタエウスの死骸があるではないか?”やっぱりアンタエウスは棲息しているんだ”初日から本命のアンタエウスを目の前にして喜びと感動を覚えました。これで俺が日本で最初に標本を手にした第一号だ!!・・・・・・これは何物にも代えられない私の財産になるでしょう。他にクベラツヤ?シバオニツヤ?フォルフィクラノコ?カブトetcがあり、彼にどうして酒に虫を漬けているのかと尋ねると、これは中国人が買いに来るので置いてあるのだと返事か返ってきて彼はたぶん虫を生かしておくということが分からないようです。
アンタエウスは非常に少なくほとんど採集できなく採れても9月からで今は無理でオドントラビスやノコビリ、ヒラタが採集できるようです。
アンタエウスは金剛樹という木に生息しているらしいです。他の種類は採集できないともう1度写真を見せるとグランディス、ホーペを指差し以前に少しは採集したことがあると返事があり、本当は生虫が欲しいので何とか帰国するまでに採集して欲しいと宿泊しているホテルの名前を告げて帰ることにしました。※高峰の気温は22℃です。その日のうちに次の採集地通什市五指山(1867m)☆三亜から約80km、を目指し途中バタフライファームに寄ったりして、道は一部砂利道もありますが、ほとんど舗装されており快適に予定通り約1時間半で到着しました。通什市ではホテルを予約しておらず、まず宿泊するホテルから始まり、これが予想外で最初に行った1番大きそうなホテルは満室で断わられ、2番目も同じく、3番目に行ったホテルでやっと空室があり確保できました。こんな田舎のホテルでも満室になるときがあるのですね。そこは1泊80圓(約1200円)です。
通什市内はタクシーが1台もなくバイクタクシーや3輪バイクがあるだけで長距離を移動する時は必ず三亜でタクシーをチャーターしてください。通什市も何処を見ても見渡すかぎり森だらけ。木々が全くないと言われた方この事実をどう説明されるのでしょうか?
5指山までは川沿いを北上し約50分の道程です。約10分程度走ると何と人民解放軍がライフルを持って検問している場合があり、”ここが以前聞いた事がある、日本人が入れない場所なのか?”と一瞬緊張しましたが何事もなく通過する事ができ(たぶん写真を撮っても何も言われないと思います、もしものことを考え撮るのを止めました)ここも採集ポイントまでに2ヶ所小さな村があり、どちらの村でも写真を見せるとすぐにでも採集してくるよ!と好返事が返ってきてまた寄るから集めてもらうように指示し、そこから約20分程で五指山に到着しましたが、そこには2軒のホテルがあるだけで回りに村など全くなく少し期待外れでした。たぶん採集できるのは途中寄った村など五指山周辺のかなり広い範囲であると思います。それから帰りにもう1度村に寄ってみるとほんの2時間の間でツヤクワガタを数頭集めてきてくれて、ここでも明日もう1度寄るからどんな種類でもいいから集めるように指示して帰ることにしました。
まったく余談ですが私は海外へ行けば疲れを癒す為よくマッサージに行きます。ここに各国の価格を書いていますので日本がいかに高いか、いや他国が安いのか参考にして下さい。
☆すべて1時間の料金です
※日本              (約6000円)
※タイ   100〜200バーツ(約300〜600円)
※ラオス 2ドル        (約250円 米ドルで通用します)
※台湾  800〜1000元  (約3200〜4000円)
※中国  20〜50圓     (約300〜750円)
その他東南アジアでは高くても1000円までだと思います。

余談はさておき本題に戻ります

3日目の朝、昨日寄った村に行ってみると予想通り大量の虫が集っていましたが悲しいことに採集してまた虫の保管方法を説明するのを忘れてしまい、100頭以上のも同じ容器に入れており約8割が手足のない状態で仕方なく良い物だけを選びましたが、村人は少し怒っている様子で、初めは通訳に説明してもらっても意味が分かっていないようでしたが次回必ず来るからという約束で何とか解ってもらえたようです。
それから三亜のホテルに夕方の5時頃到着したので高峰の採集人がホテルに虫を持ってくる約束の8時まで少しの時間があるので最後の夜ぐらい現地人の庶民的な料理を食べようと通訳なしで歩いて回り、道端で3輪車やリヤカーを引いた移動式の焼肉屋をよく見かけ、勇気を出して食べてみるとこれが思った以上に美味しくタレは日本のように何種類のスパイスを使ったものではなく、ただ醤油にニンニクを入れただけの非常にシンプルな味で一度海南島へ行かれたら食べてみてはいかがでしょうか?
そろそろ約束の時間も迫りホテルに帰ってみるとすでに採集人が両手に大きなリュックサックを2つ持って待っており、すぐに大量の虫があるのかわかりましたが、しかし、ここでも残念な事に彼も1つの容器に大量の虫を一緒に入れており結果は朝立ち寄った村と同じく虫の状態は散々でした。でも彼は通訳の説明にすぐ理解してくれて快く、次回の約束を取り付けて帰っていきました。
今回の成果はアンタエウス、ヒラタ、クベラツヤ、シバオニツヤ、プラティノータツヤ、オーエンノコ、ブッダノコ、コンフキウスノコ、デンティクラトッスノコ、メンガタカブト、ヒメカブト、不明種♀1 合計12種類です
それと今回自分の目で確認できなかったホーペイ、グランディスに関しては今は何人もの村人が採集したことがあるという言葉を信じるしかなく、ただ私が思うには彼らはたぶんホーペイグランを同定することはまず不可能であり、生息しているとしても非常に少なく、ぜったいに大量に採集できるような普通種ではありません。今後私達がもっといろんなことを教えて採集できるようになれば今回4日間と短い期間で12種類も確認できたという事はまだまだ多くの種類が棲息している可能性のある島だと思います。
販売する側としてお客様に安心して買っていただけるよう出来るかぎり自分自身で現地まで行き真実を説明するのが一番大事なことではないでしょうか?
まだまだ海南島に限らず採集記録や標本がない場所はいくらでも世界中に存在すると思います。今後このような新産地が見つかっていく事がクワガタを愛する物によって非常に喜ばしい事です。
最後にこのレポートを読まれた方にお願いがあります。
よく業者同志で自分の虫だけが本物で他店はすべて偽物だと中傷し合っている方がおられますが決して推測だけで断言するのはどうか?と思います。今回初めて私が海南アンテの標本を入手した事でこれを期に便乗して他国産を海南産として売るような事はしないでください。
本当に信じて購入されるお客様の気持ちを考えればそんなことはできないはずです。これは現地まで直接行き苦労して入手した物しかわからない喜びを無にしないで下さい。
今まで海南島に木々はなくクワガタなど棲息していないと違った情報を信じておられた方御安心下さい。海南島にはアンタエウスをはじめ数多くの種類が棲息しています。
今回採集ポイントまで教えています、もし行かれる方がおられましたら遠慮なく問い合わせください。私でわかる事は全て教えます。

―――― 店長 ――――

ようこそ海南島へ 三亜市内のホテルからの風景です。見渡すかぎり森です。
高峰の採集人の家 私が持っているのが正真正銘のアンタエウス
私の横がアンタエウスを採集した本人です。 これがアンタエウスが棲息する金剛樹です。
高峰の採集人が持っていたアンタエウスや酒に漬けた標本 高峰台の山頂です。
ここが五指山の採集ポイントです。 奥に見えるのが五指山です。
通訳とタクシードライバーです。ここから奥はバイクしか行けません。 手前がヒラタで奥がクベラツヤです。
通什市内のホテルから写った風景です。見渡すかぎり森です。 ここから奥は採集禁止区域です。
通什市内のホテル 三亜の海岸
 
三亜市内のホテル