95年の8月にアメリカはカリフォルニア州の最南でメキシコとの国境に近い都市サンディエゴに赴任した。
赴任当初は、アメリカでバンドを組めたらいいなと考えていたが、なかなかそう簡単には行かなかった。大体言葉が
だめな状態で、どうコミュニケーションとればいいのかという問題があった。
サンディエゴは、アメリカの中でも人口の面から見れば、ベスト10に入るそれなりに大きな都市である。そういう事で、
有名無名に関わずいろんなアーチストがやってくる。コンサートも一部の大物を除けばかなり値段が安いのでいろい
ろと見に行った。(詳しくは「コンサートに行ったぞ」を参照)またFMはジャンル別になってるので1日中好きなジャン
ルの音楽を聴ける。TVもケーブルなので、MTVやVH1といった音楽チャンネルもあるので最新のヒットをチェックす
ることが出来る。
アメリカに来るまでは、アメリカ、特にカリフォルニアのロックはそれほど目をみはるものは無いと思っていたが、実際
は違った。シアトルを中心に発生したグランジの波が確実にアメリカのロックを変えていた。オルタナ系のバンドが確
実に市民権を得ており、ヒットチャートの上位に上っている。更にラップとオルタナの融合も起りかなり多彩になって
きている。当然マドンナ(正式には「マダーナ」という発音が近い)や、マライア・キャリーなどのポップスやメタリカなど
のメタル・ハードロックも支持を得ておりアメリカの音楽の市場は多彩である。
日本では、洋楽ロックはどちらかというとイギリスよりのようだが、それもラジオなどでは殆どかからないので雑誌に
よる情報が主体で音に触れる機会が少ない。そういったロック環境という意味では、日本よりアメリカの方が面白い。
(アメリカでも、オエイシス、レディオ・ヘッド、ブラー、ブッシュなどのUKバンドも人気ある)
日本のロックといえば、ビジュアル系で括られる連中がメインのようだが、どれもそのバンドの音に個性があるとは
思えない。歌謡曲の一ジャンルって感じだ。ロックの持つ骨太感や危ない雰囲気が無い。そういう意味で見かけはビ
ジュアル系のKISSやマリリン・マンソンといったバンドは音もその見かけに似合ったロックをしているし、人気も高い。
骨太ロックをやってるバンドも日本にはあるがそれもアメリカ、イギリスのバンドに影響されたものであり、多くはメジ
ャーには成りきれずアングラの領域から抜け出せない。
日本とアメリカのロック環境をそのまま比較するにはそれぞれの文化の違いもありちょっと無理があるかもしれない
が、日本はもっとロックを露出させ市民権を与えるべきである。コンサートの値段も高いし。でなければいつまでたっ
ても日本のロックはアングラ的なものか子供のための音楽で終わってしまうし、世界に通用するロックバンドは日本
オリジナルなバンドは出てこないだろう。
アメリカのバンドはタフである。メジャーでデビューしてもチケットが1000円しない小さな小屋やFM局をどさ回りし、
それから有名なバンドの前座を務めてやっとメジャーになれるのだ。メジャーになればなったらで、ワールドツアーを
こなさなければならない。その辺ロックがビジネスとして成り立っているからには、プロとしてそのくらいこなさなけれ
ばならないが、ロックバンドとしてのアイデンティティーを保っているのは凄いことだと思う。その反面そういった重圧
に押しつぶされているバンドも少なくないのも事実だ。
さて、アメリカに来てから3年半がたったが、その間何やってたかというと、特にこれといった音楽活動はしていない。
最初のうちは、曲を作ってデモテープを作ってたりはしてたが、ここ1年以上楽器を触っていない。やはり、バンドでラ
イブをするという目的があってこそ楽器を触る気がしてたのだろうし、曲を作っていたのだろう。曲を作っても発表の
場が必要なのだ。たとえそれがたった一人のためだとしても。今はそれが無い...
と、まあ、おいらのロック/バンド遍歴を綴って来たわけだが、次回からは何について書こう?
(ロックそっくりさんを探せ!グリーンデイのビリー・ジョーとレオナルド・デカプリオは似てるとか?!)
(つづく) 1/1/99
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