徹底合評イエローサブマリン(CD & Video)
"YELLOW SUBMARINE"
THE BEATLES
多霧山 今回のリミックスされたイエローサブマリンを聞いて、ビートルズの偉大さを再確 認した。

30年以上昔の録音素材ながら、最新録音スタジオ技術で、見事に最新録音のように よみがえった。これは、当時のビートルズの斬新な録音技術の開発の取り組みがあ ったからだろう。現在では、当たり前になっている録音の原型ともなっていると思う。 今ではアマチュアバンドでもデモテープ作りに手軽に使っている4chのマルチトラッ カーだが、当時は、それが最高の録音装置であった。
当然あれだけの音をつめ込むにはトラックが足りない、と言うので、4chのトラック 全部埋めたらそれをミックスして別の4chMTRの1chにダビングして、残りの3chにさ らに別な音を重ねて行くピンポン録音と言った手法を取っていたようだ。このプロ セスを繰り返し、16ch以上のMTRを使ったのと同様なあれだけのクオリティーの作品 を作ったようだ。
ただし、最終ミックスする時にもトラックは4chしかないので、ダビングを繰り返し たベーシックな部分はモノラルになるし他の音にしても音の定位や、ミックス時の エフェクトは限定される。それで、ボーカルやリズムセクションが片側のスピーカ ーに定位したあのビートルズ独特なミックスになったのである。
ビートルズだから、ミックスするダビングする前のベーシックトラックのテープも 保存されていたということも凄い。ある意味、ビートルズのそういったアルバム作 りに関わった録音テープ自体、人類の文化財と言えるのではないか。

今回数台のMTRをシンクロ運転させることにより、現在の32ch(?)のMTRにダビング 前のベーシックトラックを、それぞれ別々のトラックにダビングし、つまり、それ ぞれの音を分離させ、そこから、もう一度今風にミックスしなおした。さすがにド ラムなど最初のテイクから1chにまとめてあるような音源はステレオに分離し広げる ことは出来ないが。
それから、今回使われた音源には、新たな音のダビングもなくオリジナルのOKテイ クに使われた音源のみで再構成されてるのも嬉しい。
全般的にコーラスに顕著なように音場が明確に広がり、音のダイナミックレンジも 広がり、それぞれの音の明瞭化した。ボーカルはセンターに定位し前面に押し出さ れている。
エリナーリグビーや、愛こそすべての弦や、管はクリアになり広がりを持った。 ヘイブルドッグや、サージェントペパーズはドライブ感やライブ感がより出てロッ クンロールしている。
演奏、アレンジに関しては、30年以上も前のものとはまったく変わっていないのに ミックスだけでこんなに最新のものに蘇っている。
これは、サウンドレコーディングマガジンにも書いてあったが、オリジナルバージ ョンではダビングの際にかなりきつくコンプリミッターをかけていた為らしい。そ れが、それぞれの音を分離したことで、リミッターのかかりが少なくなったため、 音のダイナミックレンジが広がり、それぞれの音が見えてくるようになったのだろう。 しかし、リミッター効果によって出されていたポールのベースの独特の音が普通の ベースの音になって、逆に低音成分が増え、明瞭度が悪くなった感じがする。

ビートルズのCDの中でイエローサブマリンだけは持っていなかった。それは、ビー トルズが正規に作ったアルバムと言う感じではなかったからで、実際ビートルズも この映画には直接関与しておらずこの映画用に用意した新曲もたのアルバムで、没 になったような曲だと言う話をなにかで読んだからだ。そもそもイエローサブマリ ン自身リボルバーの収録曲だ。そういう意味で、映画用にまわされた曲にはお蔵入 りの作品の多かったジョージのものが結構多い。
今回リミックスされた15曲のなかで映画専用に作られた曲以外は、リボルバーから サージェントまでの曲から選曲されていて、ある意味中期の頃のベスト盤とも言わ れているが、ちょっとそれは言い過ぎだと思う。が、ビートルズ初心者にはお勧め である。
アンソロジーで初めてビートルズと出会った人達の中には、ビートルズってこの程 度のものなんだと思って失望した人達もいるだろうが、今回は、そういった事はな いと思う。

今回映画のほうも、音と、絵を再処理しなおして上映され、DVD、LD、ビデオでリリ ースされたので、ビデオを買った。
話の筋としては、ま、お子様も楽しめるような内容だが、映像的には今も充分通用 するようなサイケで新鮮である。キャラも非常に可愛いし流行りそうである。 途中、ビートルズのメンバーが歳を取って白髪になるシーンがあるが、その時ジョ ージはハゲている。しかし実際今の彼は、ハゲてなくふさふさである。
ところで、映画の中で、エンディング部分だけしか使われていないが A day in the life がなぜこのリミックスの中に入れられなかったのだろう?CD収録曲は15曲で46分程 度なのに。

ともあれ、オリジナルミックスと今回のりミックス聞き比べると、レコードからダ ビングしたカセット音または、海賊盤の音と、正規のCDの音のような明らかな音質 の差がある。やはり、ミックスだけで時代の流れと言うものを感じる。 今回のこの試みは成功を収めるだろう。そして、2000年には他のアルバムの現代版 リミックスアルバムが出てくると思う(出てきて欲しい)。ビートルズの場合、ミッ クス自体も作品の一部であると思うが、オリジナルミックスと同じ音源での現代版 のリミックスするだけでそれはビートルズの新作と言えるくらいのパワーを持って いると思う。 ただし、リミックスをしてオリジナルミックスと大きな差が出て面白みが出るのは 、4chでダビングしていたホワイトアルバムの頃までだと思う。というのは、アビー ロードを録音する時にはEMIで初めての16chが導入されている。とは、言っても、ピ ンポンはやっているだろうから、それなりに音質の向上は見られるだろう。 ビートルズのアンソロジーのリリースで往年のビッグネームなバンドでアンソロジ ーをリリースするブームが起きた。今度は、リミックスが流行るのか?

2000年、ビートルズは、リミックスの新作を出していくことによってバーチャルに 蘇り、新化していってほしい。

Sadie 例に漏れず唯一買ってなかったCD、Yellow Submarineがリニューアル。 テクニカルな詳細は多霧山レビューに任せるとして....
Making of Sgt. Pepper's を観たときはジョージマーティンの上げ下げする4トラッ クのフェダーで裸になったジョンのボーカルに感動したけれども、あの4トラックか ら音を分離してミックスし直すという最新機器を使った根気のいる作業によって蘇っ た今回のリミックスの結果は、さすがはビートルズ!と唸らせるものがあった。ジョー ジマーティンは加わらないということで、正直いってどんな仕上がりになるか期待し つつも少しばかり不安があったけれども、それは一聴して払拭された。Dレンジ、か まぼこ型のF特がすべての楽器、声で改善された結果、音の拡がりが向上し、声にリ アルさが加わった。ストリングス、ブラスも同様。多霧山の言うように独特のポール のベース音変わったね。何ちうか箱みたいな音がふつうの音に近づいた。やむなくあ あいう音になってたってな面もあったのだろうね。
 売り切れ続出のビデオの方はTsutayaでようやくゲット。家族3人で観る。20年ぶ りくらいということもあってすごく新鮮。全く色あせない絵のセンス。あの時分、ブ ルーミーニーやジェレミーの絵をよくコピーしてたもんだ。結構影響受けてます。こ のアーティスト、ちょっと前のMacExpoで彼オリジナルのカラーペインティングを施 したiMacを発表(結構いい値段)してた。雑誌で当たった日本版の映画のポスター、 パネルにして実家の部屋に飾ってあったんだけどどこか行ってしまった。お母ちゃん、 どこやったんだよー。ビデオでかかるYellow Submarine、SEの部分はCDより少しスピー カの外側に広がって聞こえたな。ビートルズの歌はキャッチーなんで子供もすぐに覚 えるね。
リミックス第2弾として個人的にはOldiesを希望。CD化されてないし、初期ヒット曲 てんこ盛り。特にBad BoyのJohnのボーカルをさらにエッジを効かせたのを聴きたい ね。その次くらいにRock&Roll Musicも頼もう。
やすいさん ビートルズはレコードで持ってたり、カセットテープだったりで、ここ10年ほど ちゃんと聞いてませんでした。CDでは PAST MASTERS Vol1&2 しか持ってなくて、 やっぱアルバムも揃えないかんなぁ、と思い立って PLEASE PLEASE ME からチマチマ 買って HELP! まで来たところ。イエローサブマリンは買うべきかどうか、と迷っていたら オーケストラ抜きのが出てきて良かった良かったって感じ。 リミックスはどうでもいいっちやどうでもいい。ってな私は当然アンソロジーにも手を 出さずにおります。(映像の方はそのうち見ようと思ってるけど)

確かに音は良くなった。というより聞き易くなった。 なにしろ古い記憶なんで確かではないが、 例えば Nowhere Man のギターソロってもっとギラギラしてなかったっけ? When I'm Sixty Four のボーカルってもっとテープを早回ししたような ケロケロした声じゃなかったっけ? ドラムはこんなうるさかたっけ? ...なんかさびしい気もする。

そうそう、Only A Northern Song と It's All Too Much は新鮮でした。 ほとんど聞いたことがなかったので私にとっては新曲も同じ。 この雰囲気はほんとに好きです。リボルバー〜サージェント期のサイケがかった ダルい系の曲。そういや2曲ともジョージの曲だな。 ソロになってもこの2曲ぐらいハデにアレンジすればおもしろかったかも。 そういや、このCDには4曲もジョージの曲が入ってるな。 あ、リンゴが歌うのも2曲入ってる。

いやぁしかしイントロ短い間奏ほとんどない何がなんでも歌がメイン、 いくら実験的な音でも曲としては十分ポップ、というのを再確認。 やっぱ曲だよ歌だよ。いいものはどういじろうがいいっす。

さて、映像の方。これも20年近く前にTVでやってるのを一回見ただけだったから凄く新鮮。 (当時はビデオなんかなかったからストーリーを追うので精一杯だったもんね。)
いやぁ開いた口がふさがりませんでした。 よくもまぁこれだけのものを作ったもんだなぁと。

仲の決して良くない芸術家達を一致協力させたのはさすがビートルズなんて記事を その昔読んだことがあるけど、言われてみれば、ペパーランド、ロンドン(写真を撮り込んだ画像)、 ビートルズの住んでる家(ドアがいっぱい並んでる)、ルーシー・イン・ザ・スカイ...の場面、 怪獣の海、などは各アニメハウス(?)が担当して作ったような感じだ。 日本でいえば虫プロとスタジオジブリと藤子不二雄と大友克洋が一緒に作ったようなもの?

ところで脚本を書いたうちのひとり、エリック・シーガルってあのエリック・シーガル?




イエローサブマリン試写会 by レディング帰りの若者
金曜の3時の休みに劇場へ電話したら、土曜日に見るのは絶望的! みたいなニュアンスの事を言われたので、急遽、金曜日に行くことに したんです。

劇場では既に当日券待ちの列が出来ていて、「入れるか分かりませんが 取り敢えず並んで下さい」と係りに言われました。 でも何とかギリギリでチケットをゲットできました! (満員の為、最前列スクリーン真横で体育座りで観戦・・・見にくい、音がヘン、体が痛い)

でも見てみると、僕はビックリ!しました! あれが30年も前の作品なのかって! ストーリー的には30年前っぽいのかも知れないけど(LOVE&PEACE色が強かったけど、 それもまたヨシ!)あの映像(アイデアやデザインなど全て)には度肝を抜かれました♪ (ジョンの登場シーンはインパクト有り! リンゴのキャラもよかったし、全てが斬新でした)

音楽に置いては、「やっぱりビートルズは一生もんだぁ!」ということを再確認して しまいました。良い週末でした。

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