小手先プロジェクト

(33) 宿題を安楽死させる方法


夏休みも終盤。
やり残された宿題を目の前に、呆然とする光景が目に浮かぶようです。
この場合、呆然とするのは親の方であり、子供は何とかなるとばかりにいたってのんきなので、余計に腹が立ちます。

さて、ここは慌てて宿題を一気に片づさせるべきなのでしょうか?
いいえ、一概にそうとも言えません。

どうせ新学期が始まれば、たくさん宿題をやらなければならないのです。
夏休みの宿題は、いわば思い出のようなもの。

思い出は過ぎ去った過去であるほど美しい。
宿題を永遠のモニュメントとするために、静かに安楽死していただきましょう。


とは言っても、宿題をやらなければ学校で先生に怒られます
これは嫌です。
では、どうすれば良いのでしょうか?

まず、中途半端に手をつけてはいけません

まっさらのまま幸せそうな表情で息を引き取った宿題の亡骸を先生に見せましょう。

もちろん、手厚くしわを伸ばし、これまで決して忘れることなく大事にしていたことをアピールするとともに、手をつけなかったことが宿題にとってどんなに幸せであったかがわかるような証拠があれば完璧です。

旅行に行きましたか?
それなら、記念品を準備しましょう。

宿題に挟むためのしおりも手軽で良いのですが、強く印象付けるためにはサイズをあわせたオーダーメイドのブックカバーが最適です。

素材は旅行に行った先の包装紙で良いでしょう。
さりげなくオーダーメイドであることを主張するために、採寸表を準備しておくと効果的です。

あとは、宿題と共有した思い出があると良いですね。

そのために、宿題と一緒に撮った記念写真なんてどうでしょうか?

旅行先で一緒に取れればよいのですが、できないときには、日付の入るカメラで、時には若干日付を戻しながら、よく片付いた机の前で撮ります。
いつでもやる気があったけれども、宿題のためにやらなかったのだという心を見せましょう。

そうそう、笑顔も忘れずにね。

日付が入るカメラはたいてい時刻も一緒に入りますから、スケジュールのチェックも大切です。

塾の時間帯やとても宿題をかまっているはずのないゴールデンタイム、オフ会の時間帯は避けましょう。
先生が掲示板をチェックしているかもしれません。

背景に窓の外が写り込んでいませんか?
日付を変えたときにはその日の新聞をよく読み、窓の外の天気が矛盾しないように気をつける必要があります。

太陽の位置にも気をつけて、時刻と整合するようにしておけばよいでしょう。
幸い夏休みは短く、7月と8月の太陽の位置から尻尾をつかまれることはまずないでしょうから、想定時刻と写真を撮る時刻とを合わせておくだけで、大体大丈夫です。

さて、こうしてせっかく準備した宿題を学校へ持ち込むときに傷つけては元も子もありません。
丁重に梱包し、2学期初日には少し憂いのある表情で伏せ目がちに登校します。

これで完璧です。

先生は宿題が幸せな生涯を送ったことを知り、涙ぐむかもしれません。
少なくとも、その感動を伝えるために保護者の方を呼び出すくらいには感激してくれることでしょう。


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