小手先プロジェクト

(24) まじめに生半可なコストパフォーマンス


ご存じコストパフォーマンス、略してC/P。
日本では一般的に、「コストとという項目の性能」という意味で使われます。

誉め言葉であるハイコストパフォーマンスを高C/P比と数式で表すと、同じ性能で値段が高ければ高いほど良いものであるという恐ろしい(注)解釈になります。(注:ただし、必ずしも間違っているとはいえない。)

その上、「ハイコストパフォーマンス」という言葉を外人に向かって使うと、彼らは「ハイコスト」であると理解し、成立する商談も成立しなくなるという魔法の呪文となります。

ちなみに英語で正しく表現するには単にLow Cost, または性能を強調するのであれば、High Performanceという呪文を使いましょう。合わせ技なら、なお確実です。


前置きはさておき、ふと見渡すと、いつの間にやら積み上がった雑誌の山、7ヶ月の子供がかじった跡があちこちに見られます。

すぐに廃品回収に廻される彼らのコストパフォーマンスはどれくらいだろうかと、世を儚んでみたくなりましたので、小手先で身の回りにあるもののコストパフォーマンスを調べて見ました。


1. 定義

製品そのものの性能比較は、同じことを目的とした製品どおし(例えばエアコンならエアコンどおし)で比較するためには必要ですが、違う製品間で比較するには不適当ですから、どういう観点で評価するかを割り切る必要があります。

今回(次回があるとは限らない)は、

  • 値段:当たり前
  • 使用量:買ってから捨てられるまでに、どれくらいの利用頻度、使用時間があるか
という観点で、庶民の身の回りにあるもので比較評価してみることにします。
定義式は簡単で、
(1日あたりの利用時間)×(捨てられるまでの日数)/(購入価格)
とし、数値が大きくなればなるほど優れたコストパフォーマンスであるとします。
簡単のために、その製品が私に何をもたらしてくれたか、というのは問わないことにします。

価格は概算で一部Webから適当に集めたものもあります。
また、寿命は我が家での実績参考値、一部予定と期待を含むことをお断りしておきます。

2. 調査

対象 購入価格
(円)
使用時間
(時間/日)
寿命実動日数
(日)
コストパフォーマンス 備考
PC 150,000 6 1,000 0.04 家族の使用時間を含む
モニター 120,000 6 700 0.04 家族の使用時間を含む
40,000 5 7,000 0.88 20年以上は使いたい
プリンター 30,000 0.05 20 0.00003 めったに使わんなぁ、、、
スキャナー 100,000 0.01 50 0.00001 物置と化してます
PC、オーディオ雑誌 1,000 1 1 0.001 1冊1時間も読めば良い方
収納家具(タンス等) 500,000 24 20,000 0.96 一生物でしょうね
衣類 3,000 12 100 0.40 1週間に1回のサイクルを仮定
ドライヤー 3,000 0.1 2,000 0.07 過去1回破損経験あり
電気ひげ剃り 10,000 0.1 2,000 0.02 私の場合2つめ
歯ブラシ 200 0.1 30 0.02 1ヶ月に1回は換えましょう
洗濯機 80,000 0.5 2,000 0.01 大きさによりますが、、、
デッキブラシ 300 0.1 400 0.13 何でここに入ってるかって?むむむ
10,000 12 400 0.48 バラツキ非常に大
スリッパ 300 4 400 5.33 夏は履かない
新聞 100 0.5 1 0.01 良く読んで30分
絨毯、カーテン 50,000 24 4000 1.92 値段は超いいかげん
テレビ 100,000 6 2,000 0.12 最近流行のフラット画面ならこれくらい
ビデオ 30,000 1 1,000 0.03 安くなりました
冷蔵庫 150,000 24 2,000 0.32 サイズによります
自動車 2,000,000 0.5 3,000 0.001 400km/月というところか
電子レンジ 50,000 5 3,000 0.30 平均するとこんなところか
トースター 10,000 1 3,000 0.30 カタカタ振動に敏感で地震計代わり
腕時計 10,000 12 3,000 3.60 実用レベルを仮定
置き時計 2,000 24 3,000 36.0 さすが24時間稼動、チクタク
ステレオセット 250,000 0.3 3,000 0.004 あくまで、うちの場合です
ホットカーペット 30,000 6 2,000 0.40 通電している時間です
テーブル 100,000 24 20,000 4.80 物置として24時間稼動 ^/.^;;
ふとん 50,000 10 2,000 0.40 良いものは良い値段です ~/.~
いつも使う食器 2,000 1 2,000 1.00 常用をもろもろ合わせるとこんなもん?
めったに使わない食器 2,000 0.01 2,000 0.01 不確定性でかし
エアコン 100,000 4 1,500 0.06 最近は全部屋に付けるのか?
物干し 2,000 6 3,000 9.00 長持ち〜
書籍 2,000 6 1 0.003 6時間で1冊
室内灯 10,000 12 3,000 3.60 消耗部分を除く
カセットコンロ 5,000 0.05 3,000 0.03 いざという時の頼もしい熱源

3. 結果

まず、C/P比と購入価格の関係を図1に示しますが、意外に購入価格そのものには相関が無いようです。
上の表で、価格調査をいい加減にやったことは、さほどの影響が無いことがわかって一安心です。

図1 C/P比対価格

次に、総使用時間(使用頻度×寿命)とC/P比との関係を見てみると、下のようになります。
定義からしてこうなることはわかっていたのですが、できるだけたくさん使用するもののコストパフォーマンスが優れているというのが良くわかります。

図2 C/P比対総使用時間

では、C/P比に対して、使用頻度と寿命とどちらが支配的かを見てみると、

と、このように、頻繁に使われるものが支配的であることがわかります。

これは、寿命が経年劣化を含めて限界があるのに対して、頻度は24時間稼動のものが少ないこともあって、いろいろな使い方があるためと考えられます。

4. 考察

評価に当たって、まず基準を決めましょう。
  • 家電類の基準となるのは、やはり冷蔵庫でしょう。なにしろ24時間稼動。
  • また、必需品としては、時間的に一定の使用時間があり毎日使う食器類が基準になります。
  • 趣味、娯楽は一般的で使い倒しているという感覚のあるテレビを基準にします。
すると、
  • 家電類:0.3
  • 生活必需品:1.0
  • 趣味、娯楽:0.1
程度となりそうです。

これに照らし合わせて、身の回りにあるC/P比のバランスの悪いものを評価すると、

  • PCは価格を半分に抑えるべし。
  • 洗濯機は丈夫なものを選ぼう
  • 車は潰れるまで乗っても追いつかないので、レンタカーやタクシーを使う
  • 腕時計には良いものを使って良し
  • オーディオはやめて、ラジカセにしよう
嗚呼、無常


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