小手先プロジェクト
(2) トイレの残骸対策の発展

トイレの残骸対策で紹介したこびりつきとともに、頭を悩ませるのが、たっぷり水が溜まったタイプの洋式トイレです。このタイプは、もともとこびりつきにくく、残骸も水没しているので乾燥しにくく容易に流すことができるのが特徴です。しかし、致命的な欠点があるのです。

そう、悩みというのは、いわゆる「お釣」です。

私の勤める会社のあるビルのトイレはこのタイプであり、その手のタイプの利用は初めての経験でした。
子供のころの汲み取り式よりはお釣の質は良く、洋式なので被害の範囲も限定されますが、これをしてウォシュレット代わりになるなどと無邪気に喜べるほどの悟りも持てません。


かかる問題を解決するために、水が撥ねる様子を観察してみることにしました。もちろんトイレではなく洗面器の水と濡れタオルで、です。

すると、濡れタオルが水に浸入するときには水を押しのける方向に力がかかるので、水面が濡れタオルを中心に凹の形に波立ちます。そして、水没直前に押しのけられていた水が、濡れタオルの沈むのに合わせて吸い込まれるように中心に向かって集まり、中心で凸型にぶつかり、行き場のなくなった水が真上へ跳ね上がることがわかりました。

このあたりまでは、予想通りでした。

観察して改めてわかったのは、濡れタオルが沈むのと同時に跳ね上がるだけではなく、押しのけられた水が、中央に向かって波となって押し寄せ、時間遅れで跳ね上がるケースの方が高く舞い上がるということです。

そういえば、未対策でもお釣のある時とない時があります。こうした波を励起する物体の形状によって時間遅れのタイミングが変わるからでしょう。


さて、押しのけられた波の動きが、高く上がる「お釣」の正体である可能性が高いことがわかりましたので、波の動きを封じる必要があります。

結論を言うと、トイレットペーパー60cmくらいを2つ折りにして、あらかじめ浮かべておくと「お釣」は発生せず、「ちょうどいただきます」となります。

これだけで最初の波の発生、中央に集まってくる時の中央の盛り上がりを抑えることができます。以来、お釣に悩まされることなく、安心して済ませることができるようになりました。

残骸対策と同様に、わずかなトイレットペーパーが、快適な個室のひとときを約束します。

めでたしめでたし。


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