『みどりの手紙』第4号 2004年8月


   市民に開かれた議会を 2004/06

市議会のガラス張りを求める請願書に
6月議会で賛成意見を述べました


 すでに新聞、市議会報、チラシなどで掲載されていますが、七〇四五筆の署名を沿えた請願書が「生駒の未来を創る市民ネットワーク」(代表山下真)から議会に提出されました。しかし賛成議員六名(有村、福中、小笹、宮内、西、上原)と少数のため、不採択となりました。しかし、事前の議員間の話し合いにより、請願項目の三分の一に該当する内容が実現することとなりました。

 七月十九日付けの奈良新聞掲載、奈良県十市の比較表があります。県で一番「開かれた議会」といえるのは表で見ると奈良市。生駒市は今度の改正により、奈良市に次ぐ公開度です。しかし、この表にある項目は他の先進自治体では全て実施されており、奈良県全体の公開レベルの低さが問題です。

 私がこの請願書の紹介議員(いわば請願書を議会に届け、支援する役割)の一人になったことについての批判はあります。「すでに決まっている議員間の問題を市民からの請願という形で提出されたことは、紹介議員の売名行為ともとれ疑義を感じる」(新政会ニュースより)。この点についてさらなる批判を覚悟で私見を述べたいと思います。

 五月末に代表議員間の会議で改善計画がほぼ決定されたのですが、その四ヶ月前に請願書は出来上がっており、署名活動は始まっていました。請願提出直前になって、議員間で改善事項を決定されても、すでに集められた七〇四五名の願いがこもった請願書を取り下げることなどできるでしょうか? おまけに請願内容は、より高度で広範囲な民主化を求めているのです。さらに言えば、こういう市民の動きがあればこそ、議員間での改善が促されたのではないか、本来は議会内で解決されるべき問題が、幾年経っても変らないので、業を煮やした市民が立ち上がって、請願の形で改善策をつきつけたのではないでしょうか。

 請願書は不採択でも、実質的に請願内容の三分の一が実現できたことを、私は歓迎します。市民からの発案であれ、議員からの発案であれ、結果的に「開かれた議会」につながればそれでいいのです。





     住民グループとともに意見書提出 2004/06

「容器リサイクル法の見直しを求める意見書」を
議員提案しました


 きっかけは斑鳩町の環境問題に取り組むグループからの相談だった。二年後に容器包装リサイクル法が改正されるが、もっとゴミを減量し循環型社会を押し進めるための法改正を求める意見書を、各自治体から政府に提出してもらうための働きかけをしているのだという。奈良市・生駒市・橿原市・郡山市・香芝市・桜井市その他八町と驚く程広範囲に、ありとあらゆるツテを使って大変な努力をされている。

 私もかねてから、この法律の甘さに失望していただけに、彼らの行動に敬意を表するとともに、何とか生駒市でこの意見書提出が実現できないものか考え、民主みどりの会(有村・小笹・福中の一年生議員会派)から議員提案することになった。そしてグループからは署名を沿えた要望書が議会に提出された。先輩会派からなかなか理解を得られず、苦しい思いをしたが、何とか先輩会派からの修正案の形で意見書は提出された。

 他の自治体の状況を聞くと九割方が意見書提出、もしくは提出予定だという。そして、奈良県だけではなく、全国レベルで法律改正の行動に、各地の市民グループが立ち上がっているのだ。

 議員や議会に働きかけた人、署名協力した人たちの熱意が、社会に一石を投じ、多くの自治体を動かしている。良い話である。




    有村京子の市議会日誌~6月一般質問より~ 2004/06

①「男女共同参画社会実現の取り組みについて」


男女共同参画社会とは…
 性別にかかわりなく、誰もがその人らしく伸びやかに生きられる社会です。

日本の現状とは…
  近年は男女の固定的役割観念は、かなり払拭されてきましたが、まだまだ女性の社会進出には障害があります。国連開発計画の資料によると、日本女性の人間開発指数(平均寿命・教育水準・生活水準)は世界五〇カ国中九位ですが、ジェンダーエンパワーメント指数(専門職・技術職・行政職・管理職に占める女性の割合)は四四位です。この二つの指数の順位にこれほど開きがあるのは日本だけで、まさに日本社会の特殊性が如実に表れています。

私の思いとは…
 女性の多様な能力が生かし切れていない日本社会にあって、是非ともこの生駒市から新しい社会の担い手となる元気な女性たちを輩出していきたいという思いで、質問をしました。

質問内容
 平成十一年に男女共同参画社会基本法が制定され、男女共同参画社会の実現が「二十一世紀の最重要課題」であり「国の施策に準じた施策」と「地域の特性に応じた施策を策定し、実施すること」が地方公共団体の責務とされている。生駒市では、基本法制定前から女性センターを設置し、女性行動計画を策定していち早く取り組みをしたが、この長期に渡る取り組みがもたらした影響、成果について説明を願う。また、生駒市が策定した女性行動計画は、先進的レベルの高いものであるが、具体的に実現していくためには、将来条例化することを視野に入れていただきたい。

市の回答
 市の女性管理職登用率は県の二倍以上であるが、他の県下自治体から比べると若干低めで、これからは昇任試験や育児・介護休暇の整備で登用率をあげていきたい。また、各種審議会での女性委員の割合は、国、県と比としてもトップレベルである。その他講座等啓発活動、相談、カウンセリング、市民意識調査、市民参加の懇話会の開催等、男女共同参画社会の実現に向けて積極的な取り組みを続けていくものであるが、条例については今のところ考えていない。

市議会の現状
 生駒市議会議員二十四名中七名が女性議員であり、この全体に女性議員の占める割合の高さ(約三〇%)は、国・県レベルにおいて相当なものです。政策決定の場に女性が数多く参加するということは、男女共同参画社会に重要な要素であり、女性議員の比率から見れば、生駒市は確かに「先進的自治体」と言えますが、問題は中味。ジェンダーフリー(社会的、文化的な性差の解消)意識が希薄であれば、女性議員の数が多くても何も変わりません。

 多くの女性議員がいる生駒市は、将来に向けて大きな可能性を持つと期待できるでしょう。




②「米飯給食の推進について」


 生駒市は週三回(全国平均)米飯給食であるが、給食パンは米飯に比べて次の点でデメリットがあるので、米飯の回数を増やしてはどうか

 一、ポストハーベスト(残留農薬)問題
 原料の小麦はアメリカから輸入。収穫後の農薬散布が禁止されていないアメリカでは直接小麦に混ぜこんで輸出するので、当然残留農薬は検出されている。また、給食パンは小麦の外皮も使用するため、市販されているパンよりも残留値は高くなっている。(横浜国立大学環境科学センター分析)

 二、小麦アレルギー児童への対応
 小麦は子どものアレルギー原因物質の第三位。また、今は大丈夫でも小麦の中の残留化学物質が蓄積して、大人になって急にアレルギー症状が出るケースもあり、二十歳以上ではアレルギー原因物質の第一位は小麦となっている。

 三、パンは洋食メニューとなるが、和食と比べて脂質過剰になる。またパン食は血糖値を上げるので生活習慣病につながる。


 市の回答は米飯を増やす考えは全くなし、というものであった。安全性については県の分析結果に基づいたものを主張する。六種類の化学物質についての分析であるが、その検出限界数値が非常に甘いものとなっており、いわば大きな網目のザルですくいとろうとするもので、化学物質はすくいとれず、四種類の物質は「検出せず」という結果になる。臭素とカドミウムについては高い数値で検出されている。

 日本人には「米」という適切な食文化があるのに、何故「パン食」なのか、米飯給食はパン給食よりも幾分コストもかかるが、学校給食法の目的を考えれば(「児童生徒の心身の健全な発達に資する…」第一条)もっと米飯にもっと力点をおくべきではないかと思うのだが。




     Q&A 生駒市民の疑問、質問 2004/06

Q. 生駒市の水道料金は高いのですか

 奈良県十市のうち、生駒市の水道料金は五番目です。水道料金の安い地域から引っ越して来られた方は「高い」と感じられるかもしれません。水は自然環境条件によって大きく左右されますから、できるだけ条件の似通った同一地域で比較するのが適当だと思います。従って五番目の水道料金は、奈良県では高くもなく安くもなく「普通」ではないかと思います。(ただし、全国比較では高い方です)


Q. 生駒市議会の議員数(二十四名)は多すぎるのではないか

 生駒市規模(人口十一万四千人)の自治体の議員定数は三十四人が上限と定められています。 現在の議員数は上限をはるかに下回っています。また、一般的に選挙はベテラン議員に比べて新人候補は条件的に不利であり、下位当選する場合が多いので、定数が減らされると新人が排除されてベテランが残ることになりがちになるので、二十四名のままでいいのではないでしょうか。




     あとがき 2004/08


 ついこの間までと「みどりの会議」いう環境政党があったのをご存じだろうか。参院選でたった一つの議席を失い消滅した。私はサポーターであった。企業献金も政党助成金もない貧乏ミニ政党で、選挙期間中は選挙カーを日本各地で使い回した。奈良県でも二日間だけ走らすことができ、朝から晩まで運転、街頭演説、ウグイス、チラシ配りを数名で一人何役もこなした。疲れはしたが今となってはなつかしい思い出となった。

 「みどりの会議」も一冊のマニュフェスト作成し、環境だけでなく年金を始めとして理想的な政策全般を公表していたが、ほとんど日の目をみることはなかった。代表の中村敦夫(元俳優・木枯紋次郎)はまさしくラストサムライであった。討ち死に覚悟で有力な選挙区出馬を捨てて、全国比例区を選んだ「環境問題は二十一世紀の最重要課題であり、全国的にメッセージを伝えたかった…」と彼は言う。選挙区で一人当選するよりも、比例区で仲間を増やしたかったとも聞いている。結果は完敗であり消滅したが「みどりの会議」の理念は今も多くの仲間の中に息づいている。政見放送の中でも地球温暖化対策や「少欲知足」のライフスタイルを重点的に訴えていた。今このことを気に止める人は少ないが、いずれ多くの人が考え出す時が来るのではないだろうか。

 以前「デイ・アフター・トウモロー」という映画を見た。地球温暖化で異常気象(大型台風・竜巻・洪水・ひょう・干ばつ・熱波)が各国で頻発、さらに温暖化が進んで大深層海流の流れが止まって寒冷化(マイナス二〇~三〇度)に向かうというストーリーで、あまりにも激しい災害場面にいくらなんでも大げさなと思ったが、その後の日本での猛暑、洪水災害そして世界的な異常気象のニュースを見ると、この映画は警告メッセージではないかという気がする。寒冷化に向かうというストーリーも科学的根拠(米国防総省レポート等)に基づいたものであった。(ただし映画のように瞬時に寒冷化が始まるのではなく五~十年の期間がある)

 年金制度の崩壊よりも、温暖化による環境崩壊の方が早く来るのではないか。もしそうであるならば、重要課題は温暖化対策と食料である。先進国中最低の自給率を上げることではないか。

 よく温暖化対策に原発を…という意見もあるが、今後どの様な自然災害に見舞われるかもしれない環境情勢にあって、損壊すれば半永久的に放射能汚染にまみれる原発エネルギーに頼ることは何よりも危険で致命的なことであろう。


 私たちは今、地球規模の大変な時代を生きようとしているのかもしれない。

 人間がかつて経験しなかった急激な温暖化、そしてその果てに何があるのか誰も確かなことはわからない。