『みどりの手紙』第2号 2004年2月

ごあいさつ

 新しい年が明けて、早一ヶ月が過ぎました。まさに
 「光陰 矢のごとし」を身をもって感じる今日このごろです。
 私自身、人生の折り返し地点はとうに過ぎてしまいましたので、
 もう執着の無いすっきりした気持ちで、生きていきたいです。

 さて、議員になって十ヶ月余りたちましたが、
 その大半を「住民投票の会」活動に費やしました。
 高山第二工区開発は、今から二十年前のバブル期につくられた計画です。

 生駒市北部の里山を切り開いて一万人の町を建設しようというものですが、
 自然環境破壊・採算性・少子化・宅地需要低迷等、
 多くの問題をかかえる計画をこのまま続行するのではなく、
 開発費用(税金)を負担する市民の意見を聞いて、
 開発の是非を判断させてほしい、ということで住民投票条例制定の
 請求を 一万五千名の署名を添えて市議会に提出しました。


 しかし、市長も市会議員の大部分も条例反対の立場をとりました。
 開発に必要な費用は当面25億円との試算ですが、
 この後どれだけ膨らむのか予測もつきません。
 生駒市もこの十年間に市債(借金)がどんどん増えています。
 (H14年度市債残高340億円)

 もうこれ以上自然を破壊してまでツケを未来の世代に残したくは
 ありません。市にとって本当に必要なものがどうか、もう一度、立ち
 止まって検討し、市民の意見を聞く必要があるのではないでしょうか。


9月議会

 「学研高山地区第二工区の早期事業化を求める請願書」
  に対して「反対」の意見を述べました。

 反対理由要旨
  ●十年前に開発された高山第一工区においてさえ、
    利用されず広い空地が残っている。

  ●推進派が危惧する乱開発は法規制に依りおこり得ない。

  ●地権者(第二工区内の土地所有者)は、市内三百名であり、
    高騰した税金も平均すれば一人年額二万円である。

  ●経済停滞・少子化・土地余り(土地価格下落)・自然保護意識の
    高揚した時代に、この様な大型開発はそぐわない。等々。


11月議会

「高山地区第二工区に関する生駒市住民投票条例の制定」
 についての「賛成」意見を述べました。

 賛成理由要旨
 ●民意と市議会の「ねじれ」を正す為にも、住民投票は、
   近年多くの有権者の認めるところとなっている。

 ●押印・生年月日記入等、厳しい条件付の署名にもかかわらず
   集まった約一万五千人分の願いを、真摯に受け止めるべきではないか。

 ●高山地区現地の聞き取り調査では、皆が開発を望んでいるわけではなく、
   特に地権者とそうでない人の意見の開きがあった。

 ●高山新住民による税収で市財政を潤すというのは安易。
   住民には行政サービス等の支出もあるし、それよりも膨大な税金を
   使って、街づくりの先行投資を行うので、それに見合う回収が
   できるのか、予測できない。等々。


12月議会

 「政治倫理条例」と「オオタカ調査が第二工区開発計画に与える影響」
   の二点について質問しました。

  要 旨
 政治家に依る不祥事は後を絶たず、ますます複雑巧妙化していることから
 政治倫理を確立する為、倫理条例を制定する自治体が増えている。
 この条例は次の事を「禁じ」ている。

 ●公職者が斡旋利得や不明瞭な顧問料等の金品を授受すること。

 ●公共工事・納入契約の「口利き」特定業者の推薦、紹介をすること。

 ●公共工事の情報を職員から聞き出したり、職員採用・人事に介入すること

 ●本人・親族が市の公共工事を請け負ったり、納入業者となること。等々。

  倫理条例の実効性を高める為、市民に依る政治倫理審査会・
  調査請求権・問責制度も設置する。政治家自ら襟を正す為に、
  本市においても、この様な条例が必要ではないか。


高山第2工区開発問題

 厳しい条件の中で15,000筆の署名が
 「住民投票条例制定を求める、市民運動に参加して」
 議員になる前から、そして議員になってからもずっと
 第二工区開発問題を追い続けてきました。

 署名活動開始前は市民の反応も鈍く、二千筆の必要署名数を
 満たすかどうか、大変心配しましたが、署名収集が始まると
 爆発的な勢いで広がり、約一万五千筆の署名が集まりました。
 厳しい条件付の署名であるにもかかわらず、これだけ集まったのは、
 生駒市政始まって以来の市民の快挙だと思います。

  ●署名運動をして嬉しかった事
 ①急激に社会の関心が高まり、受任者(署名収集協力者)が増えた。
 ②新聞やテレビで何度も取り上げられた。等々。

  ●つらかった事
 ①厳しい残暑がチラシ配り、署名集めにこたえた。雨降りの日も。
 ②無党派の市民運動であるにもかかわらず、
  特定の政党活動との心ない噂を流された。
  (全国的に市民運動は、この様な中傷で妨害されるケースが多い)
 ③何度も県・市・公団に足を運び情報開示を求めたが、なかなか明らか
  にしなかった。(現在も、公団を相手取って情報公開を訴訟中)
 ④署名期間中にいきなり生駒市が、計画2分の1縮小案を発表して、
  従前の計画を前提としたチラシがウソつき呼ばわりされたこと。等々
  今となっては、なつかしい思い出です。

 臨時議会で「住民投票の会」代表の山下代表が意見陳述している時も、
 市長が条例反対の意見を述べている時でさえ、今までの長かった
 道のりを思い、一人感慨に浸って目頭が熱くなりました。

 一万五千人の生駒市民と報道各社の皆様、本当にありがとうございました!
 残念な結果ではありますが、全ての道が閉ざされたわけではないので、
 希望はまだあります。

あとがき

 議員になって九ヶ月たちました。自分自身は以前と何も変わっては
 いないのに、 「議員」となると、いろいろ評価されます。
 偉そう、あいさつがない、売名行為、生意気、新米のくせに…
 「議員」に一目置く人もあれば、「政治屋さんか」と、
 うさんくさそうな目で見る人もあります。

 根も葉もない噂が一人歩きをしていたり、
 どちらかといえば批判の対象となる職業なのだとわかりました。
 だからこそ、「政治倫理条例」で綱紀粛正を促し、最低限のモラルは
 堅持して、市民に対して胸をはれる議員でありたいものです。