『みどりの手紙』第10号 2006年1月

●新しい年を迎えて

 早いもので、議員になって今年で四年目、市会議員一期目 
 最後の年になります。この仕事は奥行きが広く、深く、
 まだ入口付近のあたりでたたずんでいるような気もします。 
 今年はさらに踏み込んで、多くを学び、自分の意見を持ち、 
 皆様に伝えられるよう勤めてまいります。

 思い返せば、去年は大きな挫折感を味わった年では
 ありましたが、その後は素晴らしい人々との出会いにより、 
 いやしと新境地に心開かれた日々でした。
 せっかく頂いたこの果報を今年は実践していきます。

 「楽しい変わり者」というイメージが私らしいと 
 思うのですが、皆様、今年もこんな私に
 お付き合いいただき、どうもありがとうございます。




●聴覚障害者に対する施策について



 「障害者自立支援法」が平成十七年秋に成立しました。
 障害者が利用する福祉サービスに対して費用の一割を
 障害者自身に負担させるもので四月から施行されます。
 今迄の制度は収入に応じた負担の為、九割以上の人が
 無料でしたが、今後は財源不足や利用量の増加が予想されるので、
 福祉サービス利用を抑制する効果をもねらって、
 利用したサービス費用の原則一割の定率負担(応益負担)を
 求める事になりました。
 障害者が社会の一員として当たり前の生活をすることは、
 社会的支援があって初めて成り立つものです。
 福祉サービスを利用して、どうにか普通の生活水準が
 維持出来るといった、大変な生活情況で、特別に
 他の人々よりも余分な利益を得るものではありません。

 「応益負担」を導入することは、本来の福祉国家のあり方から、
 はずれたものであり、財源不足は予算全体の中で調整すべきであり
 障害者の負担で補うものではないと思います。
 そこで本市の聴覚障害者に対する施策について質問いたします。


 一、今迄で無料であった手話通訳サービスについて、
    どの様に対応されるのか。
 二、市役所の時間外、夜間の緊急事態(急病・事故)の
    場合の支援体制はできているのか。
 三、災害弱者といわれる所帯(老人や障害者)を市として
    把握しているか、民生委員や自治会は関与できないのか。
 四、手話通訳者の養成と研鑽をどのようにしているのか。



●市の回答  

 一、「障害者自立支援法」の目的から考えると、
    手話通訳料も一割負担でいきたい。
 二、時間外の手話通訳者派遣については、人材及び費用的に
    難しいので、各自で協力者を見つけて対応してほしい。
 三、災害弱者については身体障害者手帳を資料として
    台帳把握している。
   民政委員、自治会の関与はプライバシーの関係で難しい。
 四、手話通訳者の養成は、人数的に対応できている。


●市の回答について思うこと

 手話通訳については、法律上は必ずししも応益負担の対象には
 なっていないので、自治体によっては従前の無料のまま据え置く所も
 多い中、生駒市があえて有料化することには疑問があります。
 他の福祉サービスと同様有料化すること=平等、というのは障害者に
 対してより厳しく解釈しているということになるのではないでしょうか。

 時間外の緊急事態には、円滑な意志の伝達が必要となる為、
 自治体によっては消防や警察から直接手話通訳者に連絡が行き、
 現場に派遣するシステムを取っているところもあります。
 生駒市は各自の努力頼みで、特別な体制はとらない様ですが、急病や
 事故の緊急時に手話通訳者を探す余裕が果たしてあるのでしょうか。
 
 天理市と大和郡山市が聴覚障害者対策の先進自治体という事で、
 色々学んできました。緊急連絡体制の充実と、高い技量の通訳者で
 満足ゆく対応がされていました。そして手話通訳料については、
 法律上規定されていないので、当然無料のままでいく予定です、と
 話されました。(その他電話で聞きとりした奈良、橿原市も同様)




(有村京子の市議会日誌 12月一般質問より)



●投票に行こう!

 生駒市長選挙
              

 二〇〇六年早々、オリンピックじゃないけれど、
 四年に一度の生駒市長選挙があります。
 投票に参加しないことには、皆様の清き一票は生かされません。
 是非とも投票場に足を運んで、意思表示をしましょう。
 生駒の未来を決めるのは「あなた」です。

 なにか盛り上がりに欠けているような気がして、
 低投票率を心配しているのは私だけでしょうか、
 市長選のステッカーをベタベタ貼って、走り回っている緑の車は私です。
 時々、街頭演説で「選挙に行こう!」と叫んでいます。

 これまでの生駒市民の投票行動を見てみると、市長選挙は前回、前々回とも、
 三〇%台の低い投票率で、国会・県会・市会議員選挙の中でも最低の数字です。
(去年秋の衆議院選挙では七二%高投票率)生駒市民は年間一六〇億円もの
 税金を収めているのに、市政のキーパーソンである市長選挙に無関心で
 あってよいものでしょうか。議員とは違って、市長は誰がなっても同じと
 いう訳にはいきません市長は市政の舵取り役です。


 三人の立候補者がいます。

 ○現職の中本幸一市長は三期十二年在職。
 ○新人の山下まこと氏。弁護士で市民運動のリーダー。
 ○新人の久保礼氏。環境活動家。

 政策の大きな違いは、中本市長は東・西コミュニティセンター、
 大型市民ホールを建設し、高山第二工区の大型開発を推進する。
 山下氏は、これらを全て中止、見直して、その分のお金を
 環境保全、福祉、教育、市民活動支援に回すというものです。

 人それぞれの感性、価値観がありますが、皆様ならどの道を選びますか?
 投票で表現してください。多くの生駒市民の支援を得た政策が進むのです。



●オオタカ保全エリア二〇ヘクタールの疑問



 オオタカ保全エリアは営巣中心域と高利用域(餌取り場)で成り立っており、
 この二〇ヘクタールは営巣中心域のみの面積です。
 高利用域も保全地域に含めなければ、オオタカの生息は不可能と思われます。
 (行動圏は一〇〇ヘクタール以上)
 関西学研都市の中心地、精華町の光台では、二六ヘクタールを残して
 開発しましたが、結局オオタカはいなくなりました。

 大阪府の宅地造成事業「水と緑の健康都市」(三一四ヘクタール)では
 五二ヘクタールを保全地として残しています。
 (この時の検討委員会の座長が同じく朝日教授)

 一年九カ月もかけて調査しながら、生息不可能と思われる
 二〇ヘクタールの保全エリアでオオタカが保護出来るのでしょうか。





●あとがき




 投票で表現してください。多くの生駒市民の支援を得た政策が進むのです。
 十二月議会一般質問は、普段にも増して力が入った。何度も聴覚障害者の
 方々とお会いしたり、他市に勉強に行ったりして準備を重ねていたこともあるが
 生駒市議会が始まって以来、手話通訳者がはいっての議会傍聴となったからだ。
 自分でも気合の入った質問であったと思うが、市の回答はほぼ否定的なもので
 気落ちした。(といっても、淋しい回答は今に始まったものではなく、
 ほとんどがこのパターンであるのだが…)
 
 後ろの傍聴席を振り返って、来ていただいた聴覚障害者の方々に申し訳ないと
 いう気持ちで両手を合わせて頭を下げた。さぞかし気落ちされているだろうなと
 思いきや、実にうれしそうな笑顔でにっこりされたのだ!
 それが私には胸にズシーンときて、不覚にも涙が出た。
 議員になって多くの人と出会い、様々な感情を味わう。
 つくづく思う。大きな人になりたい。