食物アレルギーのトピック

1. 食物アレルギーは皮膚に付着した食べものが原因!?

食物アレルギーを起こすのは,食べ物だから当然口から食べたものが原因とされてきました。
(以前は妊娠中の母親の食事が原因かもしれないとされていましたが,これは否定されています)

最近の論文発表で乳児期,とくに生まれて3から4ヶ月までに皮膚に付着した食べ物が原因となる
という報告がありました。
また,この時期に湿疹がある場合,皮膚から入りやすくなり,原因になりやすいかもしれません。

昨年、小麦タンパク質の成分が入っていた石けんを使っていた多くの人に、小麦による食物アレルギーが発症しました。つまり、皮膚に付いたものから食物アレルギーが発症することが証明されたことになります。体は皮膚から入った成分を危険なものと判断してしまいます。


2. 食物アレルギーにならないためには?

生まれたての赤ちゃんの頃から生後4ヶ月まではしっかりスキンケアーをして,お肌のトラブルを防ぎます。
(清潔に洗って,その後必ずスキンケアのクリームを使いましょう)

乳児湿疹が出たら早めに治療して皮膚バリア機能の回復を進めます。

湿疹や肌荒れ、乾燥肌がある場合、皮膚からいろんなものが体に進入してきます。
離乳食が始まる頃、口の周りや顔に湿疹があれば、容易に皮膚から入ってくるのは想像できます。
皮膚のバリア機能を失わないように、お肌の手入れ、湿疹の治療が食物アレルギーを予防する方法なのです。


3. 離乳食は遅れないように

今までは,食物アレルギーを起こさないためになるべく離乳食の開始時期を遅らせるのを推奨してきました。
しかし,今回の発表では食べた方が食べ物に対する体の抵抗性がつく,というものです。

日本の主食はお米です。しかし,米アレルギーは非常に少ないのは,乳児期早期に「おもゆ」などを開始し,
お米に対する耐性が早期につくられるからかもしれません。


4. 食物制限はほどほどに

ある食べ物を食べて,全身真っ赤な湿疹がでたり,喘息発作など全身症状が伴う場合や,
ショック(血圧低下)を起こす場合などは制限は当然必要になります。

しかし,少し口の周りが赤くなるけどすぐに元に戻るなど,軽い症状が出るだけなら制限しない方が良いかもしれません。
つまり,食べて抵抗性を持たせて治してしまおう,という考えです。



5. 食べられるのに食べないのは重症な食物アレルギーをつくってしまう?

ずっと食物制限をし続けると,体が食べ物に対する抵抗性を待てなくなってしまうかもしれません。
つまり,制限は逆の方向かもしれません。

今までの制限を続ける指導は誤っていた可能性があります。

大病院のアレルギー専門医が診ている食物アレルギー患者さん

できあがってしまった(完成した)、重症の食物アレルギーのお子さんが多いのだろうと思います。
当然、食べると、強いアナフィラキシーを引き起こしてしまうので、当面は除去が必要になります。
そのお子さんたちが、どうすれば安全に食べられるようにと、日夜研究、治療をされています。

一方、乳児期に発赤や湿疹が出る程度で、まだ完成していないお子さんに厳しい除去をしてしまうと、
強烈な食物アレルギーを完成させてしまう
ように思います。

まとめ

・ 妊娠中の妊婦さんの食物制限は無意味
・ 生まれたらすぐにでもスキンケアーを始める
・ 離乳食の開始は遅れないように
・ 軽い症状なら食べて治す