抗生剤と感染症

外来に来られるお子さんの多い訴えのひとつに「発熱」があります。
発熱したのでどこかに感染症があって、これ以上悪くならないように「2次感染予防」に抗生剤を投与していました(私も)。

しかし、抗生剤が効くのは細菌による感染症です。
例えば、溶連菌感染症、尿路感染症などです。

普通のカゼは多くはウイルスによるものです。
ウイルスの感染症は、インフルエンザ、突発性発疹、流行性耳下腺炎、水ぼうそう等々いっぱいありますが、いずれもそのウイルスには効果がありません。

インフルエンザもタミフルなどの抗ウイルス剤がなかったときは、「2次感染予防」として抗生剤を使用してきました。しかし、インフルエンザに効く薬を使うようになったら、抗生剤は処方されなくなりました。

さて、ウイルスによる感染症なのか、細菌による感染症なのかは普通の診察ではなかなか判りません。
(水ぼうそうや、おたふく風邪などは周囲の流行状況や症状から判断できますが)

ひとつの判断材料で血液検査があります。白血球数CRPという価を検査します。
(指先から血を採りますが、量は0.025ml 米粒程度の水滴量です)
いずれも細菌感染症の場合、正常より多くなります。逆にウイルス感染症の場合正常または少なくなることが多い傾向です。

すべてがそれで判断しきれるとは言えませんが...。

ウイルス感染症が考えられるときは、抗生剤を使用しません。
2−4日経過を診ながら、再検査していきます。


効かない薬を飲ませるか、ちょっと チクッと検査して飲まさずにすませるか
(検査代は必要ですが)

ほとんどの いわゆる『カゼ』には 抗生剤は効きません