嘔吐という症状は小児の場合はよくあります.例えば車に酔って吐いたり,風邪のひきはじめに吐きやすいお子さんも結構おられます.
ここでは,繰り返して嘔吐したり,下痢が続くときの家での看護の方法を中心に説明したいと思います.
こういった症状は特に冬場のウイルス性の急性胃腸炎によく診られる症状です.
初期の家庭での看護のポイントは水分不足(脱水状態)にならないようにすることです.
食事療法が最も大事です.吐き気止めや整腸剤は二の次です.家族の腕の見せ所です.
●下痢はひどいが,嘔吐はない場合
水のような下痢が出ている場合,「水分ばかり飲んでいるので下痢が治らないんです」といって,水分補給を控えてしまっているお母さんがおられます.これは,間違っています.下痢をしていても嘔吐がない場合は,最低限下痢で体の外に出た水分量は口から補う必要があります.飲みたがるだけどんどん与えてください.
◇与える水分
手っ取り早いのは乳幼児用のイオン飲料(顆粒タイプも出ています)です.いわゆるスポーツドリンクは大人の人が汗をかいた時に合わせていますので,できたら避けてください.(でも,全く飲まないよりはましかなぁーとも思いますが,糖分が多いので薄めて与えてください)
お茶や湯冷ましは水分補給だけですので,こればかりも少し困ります.果汁や野菜スープなどを与えてください.
*手作り野菜スープ*
野菜はニンジン,タマネギ,ジャガイモなどを煮込んで上澄みのスープを採り,少量の食塩で薄めに味付けします.
●嘔吐も下痢も繰り返すとき
水分は上からでるは,下からでるはで水分不足(脱水症)の危険性が出てきます.
◇まずは嘔吐を抑えます.少し(大さじ1杯程度)でも嘔吐してしまうときは,2−3時間何も与えません.どうしてもほしがるなら,小さい氷を舐めさせます.
◇時間を空けても嘔吐がおさまらないときは,吐き気止めの坐薬を使います.でもすぐには効果は出てきません.1時間ほどして,再び大さじ1杯ずつから与えてくださいすぐに吐かないといっても,10−15分おいてから次を与えてください.その後は,少量頻回にを心がけてください.
◇吐き気止めを使っても,嘔吐がおさまらないときは病院で点滴が必要になってきます.
■咳き込んでの嘔吐
乳幼児は咳をして痰を切るのが下手です.痰がからんで咳き込むとき嘔吐してしまいます.吐いたときに痰も一緒にだしてしまうので,吐いた後あんなに咳き込んでいたが嘘のように楽になってしまいます.
この時の嘔吐は咳が止まらないと治りません.もちろん,吐き気止めの坐薬は効果が全くありません.
