単純ヘルペス感染症
原因は単純ヘルペスウイルスによる感染症です.大人の人は,単純ヘルペスウイルスを持っていること(神経内に潜伏しています)が多く,疲れたときなどに唇にかさぶたをつくります.子どもの初感染は親御さんからの感染がほとんどです.潜伏期間は2〜7日間,感染期間は発病した病気の形で異なります.
●再発型
 初感染後,潜伏していたウイルスがさまざまな原因(風邪,日光,ストレスなど)で再発したかたちです.唇,口の野周囲に少し赤くなった発疹で始まり,小さな水疱が集まったものをつくります.その後かさぶたを形成して治っていきます.

●初感染型(子どもに多いタイプです)
1.ヘルペス性歯肉口内炎
初めは38−39℃の発熱で始まります.1〜2日して,口の中に口内炎ができはじめ,歯ぐきが赤く腫れ出血しやすくなります.強い痛みで食べられなくなり,よだれが多くなります.また,口臭がします(特徴的な口臭ですので嗅いだらヘルペスらしいと判ります).
2.ヘルペス性湿疹(カポジ水痘様湿疹)
顔,首,上半身に水疱が多数できます.アトピー性皮膚炎がある場合などに多くみられます.多くは2週間ほどでかさぶたになって治っていきますが,乳幼児は発熱し重症かする場合があります.
3.ヘルペスひょうそう
ヘルペス性歯肉口内炎の時,指しゃぶりによって起こります.指先,爪の周囲が赤くなり水疱が多数できます.
4.新生児ヘルペス感染症
出生時に母親の性器ヘルペスから新生児に感染します.感染すると脳炎など非常に重症で後遺症を残すことがほとんどです.
●続発症
1ヘルペスひょうそう
ヘルペス性歯肉口内炎の時,指しゃぶりによって起こります.指先,爪の周囲が赤くなり水疱が多数できます.
2.ヘルペス角膜炎
ヘルペス性歯肉口内炎の時,指しゃぶりについた指で目をこすったりして感染します.目の中心部(黒目)近くに感染した場合は視力障害を起こすことがあります.
1.食べ物:飲み込むときに痛いので,軟らかく刺激のない味付けがうすいものにします.
  プリン,ゼリー,アイスクリーム,さましたおじや,とうふ,グラタンなどがよいでしょう.
2.水分補給:十分に水分をとるようにしましょう.
  オレンジジュースなどすっぱいものはしみて痛いので避けましょう.
  牛乳や麦茶,イオン飲料などがよいでしょう.
3.タオルや食器は別に扱いましょう.
単純ヘルペスに効く薬(ゾビラックス)があります.軽症で皮膚だけの場合はその塗り薬だけで治療しますが,発熱や乳幼児は積極的に飲み薬を使います.
また,口の中の痛みには,痛み止めの塗り薬を処方します.
口の中の痛みで水分も摂れなくなった場合
飲み薬を飲んでいても水疱が広がってきたり,解熱しないとき
口内炎の場合は,熱が下がって普段通り食べられるようになるまでお休みします.およそ1週間ほどかかります.

部分的な発疹の場合はお休みする必要はありませんが,乳幼児の保育園はかさぶたになるまで控えた方が良いでしょう.
●ヘルペスの経過中は目が赤くないか注意してください.
 赤くなれば早めに眼科を受診してください.

●大人の人がヘルペスの時,赤ちゃんにキスなんてしないで下さいね

●口唇ヘルペス→性器ヘルペス→新生児ヘルペスという経路があります.注意してください.