発作時の治療
発作が起こってしまったら,いち早く治まるようにします.
●吸入治療
 最も早く,効果的に治療できます.喘息は呼吸の病気です.そこに向かって治療するのが早道です.発作は,よく火事にたとえられます.燃えている部分に水をかけるのは当然です.周りの燃えそうな物を取り除いたり,防火設備の点検なども重要ですが火事が起こったら火を消しますね.これはアトピー性皮膚炎の治療にも当たります.皮膚の病気です.赤くなってかゆみが強く掻きやぶっているときは,まず皮膚の治療をします.
1.吸入器を使う吸入
・通常は病院,医院で行います.気管支拡張剤(β2交感神経刺激剤)が入った液を霧状にして吸入します.
・自宅に吸入器を持っている場合は,主治医の指示通りに吸入します.
・これを読んで『あっそうか,吸入器を用意しておけばいちいち病院に走らなくてもいいんだ』とお考 えになる方も多いと思います.
 今,吸入器を持っている多くの方は,発作が続いてうまくコントロールできないので,予防的に発作が起こらないように,毎日吸入している使用方法だと思います.それでも,何らかの誘因により発作が起こることがあります.そのときに気管支拡張剤を使用します.決して,発作時のみの吸入器購入ではなかったと思います.
・普段から吸入になれていない,発作時のみの使用だと,吸入して良くなり,また起こって吸入,もう 一回吸入,今度こそ,といっているうちに受診の機会を逸し,重症化,死の危険もでてくるからです.

2.ハンドネブライザーを使う吸入
小児は通常はあまり使用しません.あまりにも手軽に使えるので,ポケットに入れてすぐ吸入ということになってしまうからです.これに頼ると,他の治療もおろそかになりがちです.
修学旅行,合宿など緊急避難的に処方することがあります.

3.持続吸入療法
入院して行う治療です.


●内服治療
1.気管支拡張剤;β2交感神経刺激剤
咳込みが出はじめたら早めに飲みます.飲んで吸収されて効いてくるのに時間がかかります.
メプチン,ブルカニールなどを処方します.
時に,手が震える,ドキドキする,頭痛がするなどを訴えることがあります.これらは交感神経を刺激している副反応です.飲むのを一時中止してください.次回から量を少な目にします.

2.気管支拡張剤;テオフィリン(最近はあまり使用しません)
テオドール,テオロング,ユニフィルなどを処方します.
予防薬にも使います.本来は,2−3日飲まないと効果が出てきませんが,飲み始めてすぐに効果が出る場合も多くあります.初期に,おなかが気持ち悪いと訴えることがあります.


●注射,点滴治療
以前はテオフィリンの注射または点滴を行っていました。
最近は当院では行っていません。

水分補給とステロイドを点滴で行います。
病院で吸入しても改善しないとき行います.これでも治まらないときは入院治療に移ります.


●貼る治療
β2交感神経刺激剤のはいったシール(ホクナリンテープ)を皮膚に貼ります.もちろん皮膚から吸収されてからの効果ですので時間がかかります.頓服としての効果はもう一つの印象です.

**『咳止めシール』といってお母さんどうしで分けっこしているなんて話を聞きます.本来は気管支拡張時です.注意してください.(というより病院で処方される薬は渡してはいけません.薬事法21条)