ふと幸せを感じる瞬間。
俺がソファに寝転がってテレビを見ていると、洗い物を終えた室井さんが来た。
ソファの上に居場所がないと思ったらしく、彼はソファに背中を預けるかたちで床に座り込んだ。
しばらくはそのまま本を読んでいたのが、疲れたのか、ぽんと本を床に放り出してぐったりとソファにもたれてきた。
室井さんの肩と頭が俺の腹にのしかかる。
重い、と言うと、うるさい、とだけ返された。
誰にも触れる隙を与えないあなたのオーラや、
誰にも勘繰る隙を与えないあなたの表情や、
誰にも近づく隙を与えないあなたの姿勢を、
ただ、ここでだけ。
俺の、そばで、だけ。
全て取り払って、何の遠慮もなくもたれてきてくれるのが、
どんなに嬉しいことか。
重いけど、ちょっと幸せです、と言ったら、彼は変な顔をして、変態。と呟いた。
まあ、そんな感じで。(自己完結)