まきづめ。

 

 

 

 

「いった――――ッッ!!!!」

湾岸署刑事課に盛大な悲鳴が響いた。

「どうしたのっ、青島くん!!」

と真っ先に反応したのは青島と席の近いすみれさん。

なにやら手を掴んでうめく青島を、心配そうにのぞきこむ。

「手、なんかしたの」

「ペンで…ぐきっとやったら、めちゃくちゃ痛かった…!」

少し涙目になりながら言う青島。すみれはすぐに青島の右手を取った。

しばらくまじまじと青島の右手親指を見ていたすみれだったが、すぐに溜息を

ついて。

「巻爪。なってるわよ」

「えっ、うそ!?」

「しかも結構進行してるじゃない。なんで気付かなかったの?」

「ホント?俺、今まで巻爪なんかなったことないよ」

「なったことなくてもなるもんはなるわよ」

「そーゆーもん?」

「そーゆーもん。ま、お大事にね。足じゃなくてよかったじゃない」

「…なんで?」

「だってホラ、所轄刑事は足が命、だから」

そう言ってすみれはいたずらっぽく笑った。

それからおもむろに自分の机のひきだしからマキロンを取り出す。

「…何すんの」

「消毒。やっとかないと膿むわよ」

「子供を?」

「わさび塗られたいの!?」

「ごめんなさい」

冗談だったのにっ!

怯える青島を尻目に、すみれは手際よくマキロンを巻爪にかけていった。

おとなしく治療してもらっていた青島だったが、あまりにも目の前にすみれの頭が

きていたので、なんとなくそれを眺めてしまって。

そして、ふと。

「すみれさんって、ケッコー髪少ないんだね」

と言ってしまった。

すみれは急に顔を赤くして青島から離れた。

「うっさいわね!!」

そして怒鳴る。

「青島くんの髪だってね、それ絶対禿げるわよっっっ!!!」

それからすみれは怒りながらどこかへ行ってしまった。

残された青島はポツリと。

「…気に、してたのかなぁ…?」

それからそっと、自分の髪の毛を撫でてみた。

 

 

 

 

 

 

 


これは「KOALA×KOALA」でワタクシ自らが踏んだ661ヒットのために書いたものです。

踊るのパロなので一応こちらにもUPしようかと。

これ、ネタ考えるのに1ヶ月ぐらいかかったんですよ…(汗)