ポントルモ Pontormo (1494〜1556)

 画家バルトロメオ・カルッチの子として、フィレンツエ郊外のポントルメ村で生まれました。はじめアンドレア・デル・サルトの工房に入り、デル・サルトの制作の助手として仕事をしていました。ミケランジェロや北方絵画の影響を受けながら、次第に独自の画風を形成していきました。引き延ばされた人体、ねじれたポーズの組み合わせや、明るい奇抜な色彩の組み合わせを特徴としています。

代 表 作 4点(Cohoh選)
「十字架降下」
313×192センチ 1526〜28年 
サンタ・フェリチタ聖堂(フィレンツエ)
ポントルモの代表作です。ヴァザーリによると、3年間制作中のこの作品をだれにも見せなかったそうです。面白い構図と色彩、魅力的な絵だと思います(個人的な好みかもしれませんが)。右の顔をこちらに向けている人物、画家の自画像といわれています。
「聖母のエリサベッツ訪問」
202×156センチ 1528〜30年頃 
カルミニャーノ、教区教会
(フィレンツエ)
頭部に比べて縦にも横にもボリュームのある人体、マリアとエリザベッツと、その向こうで我関せずと言う無表情で立っている二人の侍女(?)との組み合わせ。ポントルモの特徴だと思います
「聖母子と聖人たち(プッチ祭壇画)」
214×185センチ 1518年 
サン・ミケーレ・ヴィズドーミニ聖堂(フィレンツエ)
初期の傑作と思います。一応、三角形の構図をとっていますが、人物は様々なポーズをとり、その視線はすべて違う方向にむかっています。背景の空間構成は重視されていません。早くもポントルモの世界。でも、聖母には師デルサルトの雰囲気を感じます。右端の聖ヤコブはこれも画家の自画像だそうです。
「エマウスの晩餐」
230×173センチ 1525年 ウフィッツィ美術館 
ポントルモはガルッツオのカルトジオ会修道院にフレスコ壁画連作「キリスト受難伝」を描いていますがそのとき描いた板絵です。興味を引いたのは、テーブルの上の道具(ガラス瓶、グラス、皿、ナイフ、金属製ポットなど)が他の部分と比べて極めて丁寧に写実的に描かれていること。テーブルの下にこちらを見つめている二匹の猫と犬の顔が描かれていること。なお、上部の神の目は後の加筆です
その他 主 な 作 品
族長ヨセフ伝「エジプトのヨセフ」
44×49センチ 1515〜18年 油彩・板 
ロンドンナショナルギャラリー

右下階段に腰をかけている少年はブロンズイーノだそうです。

「聖母子と聖ヨセフ、洗礼者ヨハネ」120×98.5センチ 1522頃油彩・カンヴァス

エルミタージュ美術館

「大天使ミカエル」
173×59センチ 1519年 

エンポリ、サン・ミケーレ聖堂

「ノリ・メ・タンゲレ172×134センチ 1531〜32年フィレンツエ、カーザ・ブオナローティ  
ミケランジェロの画稿をもとにその指導で彩色した作品ですが、どこまでミケランジェロか?
「ウェルトゥムヌスとポモナ」461×990センチ フレスコ 1519〜21年 ポッジョ・ア・カイアーノ、メディチ家別荘
右部分拡大図
「槍持ち」
92×72センチ 
マリブー、ポール・ゲッティ美術館
 

若きトスカーナ公コジモ1世の肖像といわれています。