シモーネ・マルティーニ Simone Martini(1284〜1344年)

シエナで生まれ、ドゥッチョの工房で修行する。1315年にはシエナ市庁舎に「荘厳の聖母」を制作。その後アッシジのサン・フランチェスコ聖堂下堂で「聖マルティヌス伝」を制作。1324年画家リッポ・メンミの姉ジョヴァンナと結婚。シエナで制作活動を続ける。1336年アヴィニョンに招聘されノートルダム・デ・ドム大聖堂の装飾壁画を描く。1344年アヴィニョンでその生涯を終わる。
シモーネの自画像と言われています。「聖マルティネスの物語」にあります。探してみて下さい
私・Cohohは、ドゥッチョ,ジョットそしてこのマルティーニの絵を見にシエナとアッシジに行ってみたいと思っていますが、未だその望みが叶えられていません。従ってこのページもドゥッチョ同様いつの日かシエナ、アッシジに行ける時のためのCohohの下調べのつもりです。そんなわけで、ここではシエナ,アッシジのマルティーニの絵画を中心に掲載します。
『受胎告知』1333年 フィレンツェ ウフィッツィ美術館
 いくらシエナ、アッシジ中心と言っても、この『受胎告知』は一番に上げておきたいです。それにcohohが実際に見ることが出来た唯一のMartiniですから・・。
 シエナ大聖堂の聖アンサヌス礼拝堂の祭壇がとして、1333年シモーネの義兄(弟?)リッポ・メンミと共同で制作した。どの部分がメンミか諸説あって定かではないが、すばらしい作品ですので、あまり気にしないでおきましょう。
 大天使ガブリエルの口からマリアに向かって「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたとともにおられます」と言う文字が金の背景に浮かびあがっています。

シエナ

国立絵画館
左より
「聖母子」88×57cm 初期作品
「慈悲の聖母」154×88cm 初期作品
「聖母子」2点 1320年頃
シモーネ・マルティーニに帰属されているが、右端の聖母子以外は異説がある。
『福者アゴスティーノ・ノヴェッロの祭壇画』198×257cm
 もとサンタゴスティーノ聖堂におかれていた板絵。福者アゴスティーノ・ノヴェッロ(1235〜1309年)とその四つの奇跡が描かれている。
 四つの奇跡には左上から「狼に噛みつかれた子ども」「バルコニーから落ちた子ども」右上から「峡谷に落ちた騎士」「ゆりかごから落ちる子ども」。これらの絵にはシエナの景観が描かれており、マルティーノの得意とするところ。
 アゴスティーノには円光が描かれているが聖人にはなっていない。
シエナ市庁舎
『荘厳の聖母』763×970cm 1315年
 
市庁舎「世界地図の間」の壁に描かれたフレスコ画。シモーネの最も古い自筆の作品。
中央の玉座に聖母子、左側に中央からアレクサンドリアの聖女カタリナ、福音書記者聖ヨハネ、マグダラのマリア、大天使ミカエル,聖パウロ。右側は聖女バルバラ,洗礼者ヨハネ、聖女アグネス、大天使ガブリエル、聖ペテロ。
『グイドリッチョ・ダ・フォリアーノ騎馬像』
 やはり「世界地図の間」にある有名なフレスコ画であるが、このフレスコ画の下に別のフレスコ画があったことが分かり、学者の間で様々な問題が提起されている謎の絵画

アッシジ

アッシジのサン・フランチェスコ聖堂の下堂にあるサン・マルティーノ礼拝堂の壁面にはフレスコで左図の「礼拝堂の献堂」を始め「聖マルティヌスの物語」が描かれています。制作年代は1315〜7年頃と言われています。
およそ1000年前の聖マルティヌス(315年頃〜397年)の物語を服飾,建築ねど現代(14世紀)に置き換えて描いています。
 同礼拝堂には「聖マルティヌスの物語」の他に聖人聖女のほぼ等身大の像が描かれています。
左より聖アントニウス、聖フランチェスコ,マグダラのマリア、アレクサンドリアの聖女カタリナ,フランス王ルイ9世、トゥールーズの聖ルイ,聖女クララ,ハンガリーの聖女エリザベト

ナポリ、その他

『トゥールーズの聖ルイから王冠を授けられるロベール・ダンジュー』200×138cm
1317年頃

ナポリ、カーポディモンテ国立美術館

『聖家族』50×35cm 1342年
リヴァプール、ウォーカー・アート・ギャラリー

「ルカ福音書」第2章41節〜50節に基づいた主題。12歳のイエス、父ヨセフ、母マリアの三人の表情,身振り、非常に興味深い絵です。
 マリアが探し当てたイエスに「どうしてこんなことをしたの、お父さんもお母さんも心配して捜したのよ」とコゴトを言うお母さん。少年イエスは「なんで捜すの、僕のいるところは分かっているのに」と、ちょっと不服そうな表情。二人の間に入って取りなすお父さん。よくある家族の一場面のようです。
それほど大きくない板絵なのでいつか日本に来ないかなーと思っています。