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HINOKIZUKAOKUMINE |
檜塚奥峰:三重県・標高1420m
明神岳:奈良県・標高1432m
2005年11月23日(水 祝日) 晴れ 夫と |
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檜塚奥峰への登り
二週間ぶりの山歩き。夫は先月の石鎚以来一ヶ月ぶりである。
檜塚奥峰、一年半前芽吹きのとき「はいきんぐおきらく」のFloraさんと千秋林道から明神平を経て登った。
夫に、あの感動を味わってもらいたいと、今回の山歩きとなった。
明神滝から上は木々はすっかり葉を落としてしまっていたけれど、心に残る山の一日だった。
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コース |
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10:00 |
林道終点(駐車地) |
10:26 |
林道延長工事終点 |
10:57〜11:05 |
明神滝下 |
11:50 |
明神平 |
11:59〜12:05 |
三ツ塚巻き道分岐 |
12:25〜12:32 |
明神岳 |
12:55 |
1394m地点 |
13:07〜13:50 |
檜塚奥峰 |
15:00〜15:10 |
明神平 |
16:36 |
林道終点 |
「明日は5時起き」という夫の言葉に「あんた、起きられるわけないやん」と言い返したら「起きられたらどうしてくれる!よ〜し、見とけよ!」なんて自信たっぷりに言うので5時に目覚ましをセットした。
ジリジリ耳元で鳴り響く不快な音にぼんやり目を覚ますと、夫はぐうすかいびきをかいて起きそうにもない。やっぱり今日はゆっくり寝坊して、近くの紅葉でも見に行くか・・・と、私もまた寝入ってしまった。
次に目を覚ましたのが7時。カーテンの隙間から明るい光が差し込んでいる。
飛び起きて夫に声を掛けた。「山へ行こう!」
「家でのんびりしとく方がええねんけどな〜」と、起きそうにもない。
う〜ん、今日はどの手で引っ張り出すか・・・。しばし、考える。
・・・よし!
「そうやな〜、たまの休みに山へ引っ張り出されるのも辛いものがあるわな〜それに、まだ風邪もすっきりしてないしね・・・まだ喉が痛む?」と、一応思いやる。
「そんなら、私一人で行ってきてもいい?あんたは家でゆっくりしてたら・・・」
続けて「でもな〜、一人で行っても、寂しいしな〜・・・」
更にたたみかけるように「やっぱり一緒に行こう〜」
しぶしぶながらやっと起きてくれた。
いつもながら、この微妙な駆け引きが難しい。いつも成功するとは限らない。
夫はことさら山歩きに興味を持っているわけでもないが、ここのところ同行してくれている。感謝である。
一人で行くのも悪くはないが、二人のほうがやっぱり楽しい。(・・・と、日記には書いておこう。)
大宇陀から菟田野を抜け、東吉野村大又へと車を走らせる。走り慣れた道。
道すがら、もみじの紅葉が鮮やかだった。
麦谷口の大木がことさら目を惹いた。透き通った光のなかで錦に輝いていた。
登山口の林道終点に着いたのは10時前になっていた。数年前までは林道工事の車の通行の合間を縫ってもう少し先まで行けたのだが、今は工事用のプレハブの事務所が出来、ずっと手前の広場に駐車しなくてはいけない。10数年前には、ここは木材運搬のヘリコプターの発着所らしく、ヘリポートの大きなマークがあった。
広場には既に14台駐車している。なにわナンバーの隣の車の熟年グループも歩く準備をしている。
10時出発。
林道の延長工事の終点まで20分あまり林道を歩く。
こんなところを本当に車が登れるのか、と思うぐらい傾斜の急なところもある。
工事が始まる前、この谷は本当に美しい谷だった。大小の滝が道々目を楽しませてくれた。透き通った水が白い飛沫をあげ深い翡翠色の滝壺に落下していた。
今は、堰堤の基礎だろうか、鋼鉄製の太い柱が谷に打ち込まれ、谷は林道の土砂で埋められ、昔の面影はない。
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麦谷口のもみじ
クリックしてね!
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駐車場 |
谷には鉄の支柱が・・・ |
林道終点からすぐのところに旧のあしび山荘がある。98年の崩落現場を迂回するのにいったん左岸に渡る。道はすぐに右岸に戻る。
最近雨が少ないせいか谷の水量が少なく、渡渉するには好都合だ。
右岸の斜面をしばらく登る。いつも思うのだが、この辺の石はとても滑りやすい。何という岩なのかは知らないけれど表面がとても滑らかで、足を乗せるとツルッと滑るように感じるのは私だけだろうか。
左に作業小屋が見えたら、またしても左岸に渡り、谷をしばらく登っていく。右岸に戻りしばらく登ると明神滝の下の広場に出た。
一息入れる。お腹もすいたのであんデニッシュを半分こする。林道を後になり先になりしていた熟年グループはまだやってこない。しばらくして下のほうから声がしてきたので先に出発する。
今日は明神滝も迫力がない。
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旧あしび山荘前の渡渉地 |
谷を遡る |
谷に沿って高度を稼ぐ |
明神滝 |
谷を離れ山腹をジグザグにどんどん高度を稼いで明神滝の上に出る。木製ベンチの休憩所を過ぎ、なおも登る。丸木橋が渡してある沢まで登ってくるが、いつもの橋がない!
沢に橋の残骸が転がっていた。岩が落下して押しつぶされたのか、雪の重みに耐えかねて落ちたのか・・・。去年の秋にはあったから今年の冬か。
道は大きくジグザグを繰り返し、登っていく。
木々はもうすっかり葉を落として冬のたたずまいを見せている。降り積もった枯葉が一足ごとに、がさごそ音をたてる。木々の間から青空がのぞいている。
この辺の道は大好きなところだ。
V字になった谷の間から向こうの山の稜線が見える。伊勢辻山から西に張り出した稜線、コサグラとか、コウベェ矢塚と言うらしいが、まだ足を踏み入れたことはない。
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明神滝上 |
どんどん登る |
橋が崩落していた |
伊勢辻山から西への
稜線が |
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大きくジグザグに山腹を登る―大好きな道
道が山腹を大きく左に回りこみ、小さな沢を二つ越える。
植林帯に入り右に直角に曲がりしばらくいくと、水がちょろちょろ湧き出している所に出る。美味しい水だ。
何年も前明神平で出会った人が、明神平の天理大学小屋東、奥山谷源頭の水が名水で知られていると教えてくれたが、ここも同じ水質なのだろうか。空のペットボトルに水を補給する。
ススキの斜面の上にログハウスが見えてきて一息で、明神平に到着した。
茶色く枯れたササと、ススキの斜面が、初冬の日差しの中に広がっている。
人影はない。下から犬を連れた男性が上がってきて水無山の方に登っていこうとしている。 |
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水場 |
明神平はすぐそこ |
明神平より西を見る |
東屋とあしび山荘 |
左に道をとり、三ツ塚を目指す。
明神平を振り返り振り返り、ゆるやかに登っていく。水無山が思いのほか高くせりあがってくる。
明神岩を過ぎ、前山を右に見ながら三ツ塚の巻き道の分岐まで来る。
さあ、今日はどこまで行くか・・・。
ここでマロンクリームパンをかじりながら相談する。
夫も私もここまではまずまずのコンディション。でも問題は下り。檜塚奥峰まで足を延ばしたとして、明神平の下りを膝が最後までもってくれるかどうか・・・。
夫も7月初めに肉離れを起こし、おまけに私同様膝の痛みも抱えており無理は出来ない。
暖かな日が差している前山の斜面を見ながら、「今日はあそこでのんびりしようか」と持ちかけてみる。「どっちでもいい」との返事。夫は今日は足の調子はすこぶる良いみたい。
ま、とにかく明神岳まで行ってから考えようということになり出発。 |
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明神岩から 左のピーク:三ツ塚 右:前山 |
明神岳への稜線を行く
20分ほどで明神岳到着。記念撮影をして、さて、どうするか。
予報では昼から雲が出てくるということだったのに、青空が広がっている。
でも、既に12時半を過ぎ、午後の日差しの中遠くの山はぼんやりと霞んでいる。檜塚奥峰まで行っても、スカッとした展望は得られないかもしれない。
迷いに迷った挙句、「ええい、ままよ!今したいことは今やっておこう!!」とばかり足を延ばすことに。
さあ、それからの先を行く夫のスピードといったらすごかった。だだだ・・・という勢いで斜面を駆け下り、ゆるやかなアップダウンの道をひたすら駆け抜ける。
途中二箇所、90度曲がるので注意。一つ目は右に、二つ目は左に曲がる。
木立の隙間から檜塚奥峰のササの斜面が見えたと思うと山頂はすぐそこだった。シャッターを切りながら斜面をゆっくり登って行く私を尻目に、夫は既に山頂。
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明神岳山頂 |
ひたすら駆ける |
道しるべに注意 |
檜塚奥峰が見えてくる |
山頂への快適な登り
振り返れば高見山が遠くに見える
山頂は木立の中。誰もいない。
南側の肩に出てみたが、誰もいない。
登山口のあの車の人たちは一体どこへ行ってしまったのだろう。
明神平からここまで、単独行の男性二人。途中で、輪になって食事をしていた高齢の男性グループに出会っただけだった。
霞んではいるが、山頂からの眺めは素晴らしかった。
すぐ向こうに、ここに来る途中の1394m地点からせり出した尾根のクマザサの斜面が広がっている。一っ跳びで、ひらりっとその斜面に着地できそうだ。
そして、千石山から池木屋山に続く稜線。その後ろに重なるようにとんがって見えるのは白髭岳か。
遠く目を凝らすと大普賢岳の鋸歯状の稜線が見える。重なるように弥山と八経ヶ岳。左に釈迦ガ岳らしきとんがりも見える。
その左には大台が大らかなスカイラインを描いている。
檜塚への稜線の向こうには三峰山から局ガ岳までの山々が連なっている。 |
左:檜塚への稜線 中央:迷岳
遠く大台、大峰の峰々
雄大な眺めを堪能しながら豪華な昼食。
かの行列が出来るラーメン屋さんも思わずう〜んと唸ったとかいう(かどうかしらないが)いっぺいちゃん(しょうゆ味)。朝、大急ぎでラップにくるんだだけというおにぎり。ただし、これには有名老舗小倉屋の昆布を入れてある。絶品!
風もなく11月も末とは思えないくらいの暖かさである。
このままゆっくりしていたいけど、そうもいかない。これから難関の下りが待っている。
今日は檜塚まで足を延ばすのはやめておこう。
後ろ髪引かれる想いで山頂を後にし、行きと同様素晴らしいスピードで明神平まで戻ってきた。途中当然ながら誰にも出会わなかった。
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豪華昼食 |
迷岳をバックに |
奥峰からマナコ谷への斜面 |
笹原を下る |
明神岳北斜面
明神平手前で薊岳からやってきたらしき二人連れに、下りで親子らしき3人連れ、そして男性一人に出会ったのみ。
しくしくと悲鳴を上げかけている膝を騙し騙し、駐車地まで戻ってきた時には谷は闇に包まれ始めていた。 |
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