20011125

全労済再共済連大阪サービスセンター 村山樹一郎様

 

FAXを受け取った日より出張に出ておりましたため、本日帰宅後拝読しました。お返事が遅くなり申し訳ありません。村山さんには状況やこちらの気持ちをよくご理解してくださっていること、感謝いたします。つきましては示談書の取り交わし、よろしくお願いします。お詫び云々はともかく、私も村山さんには一度お会い出来ればお会いして、いろいろと話をしたいとは思っています。ただそれは示談書の署名捺印のときであってもそれ以外の時であってもどちらでも構わないと思います。お互い忙しい身ですのでもし都合が合えば署名捺印時にお会いすることにし、そうでなければとくにお会いすることはそのときにこだわらず示談書の取り交わしの方は粛々とすすめていってもよいかと思います。

 

さて、交渉のことですが、とくに安田の主張はやはり理解に苦しむものです。20:80から修正した、譲歩したということですが、相変わらずその大前提となる20:80の根拠が曖昧です。それらしきものの一つは「前方不注意」ということですが、前方不注意とは何でしょうか?「前方不注意」とはたしかによく用いられる表現です。たとえは悪いですが、何が原因で死んでも死亡診断書に「心不全」と書かれることが多いように、理由になっていない理由だと思います。「死んだのだから心臓が止まった、だから心不全」と同様「事故を起こしたのだから前方不注意」というのは何らかの理由を見つけだすための一種の方便に過ぎません。私を含めて通常、運転手は前方、後方、側方に注意を払って運転しているものです。脇見をしていたため実際に見ていなかった、あるいは携帯電話で話していたりして目に映っているはずのものを見ていなかった、といった例外を除けば(誰しも事故は起こしたくありませんから)前方や周辺は注意しています。しかし、どんなに前方や後方、側方を注意していても暴走する車と遭遇すれば事故は避けられません。私の車は事故地点でほぼ速度がゼロになっています。これは注意義務を怠っていなかったからとれる行動で、言われるような「前方不注意」があったならばスピードを落とすこともなく衝突していたでしょう。その点【相手車運転手名】さんはスピードを落とした気配がありませんので(もし落としてあれだったらそこまでは百キロ以上で走行していたことになります)彼こそ「前方不注意」があったと言えるのかも知れませんが、私の方に不注意があったとされることは理解も納得も出来かねます。

 

「こうこう、こういう状況の中の事故だから何パーセント」というのと同じように「事故があったから前方不注意」と保険業界は(あるいは警察、司法も?)安易に考えていないでしょうか。とにかく、元々そのような脆弱な根拠に基づく虚構の数字から始めたうえで「ここまで譲歩したのだから」ということが安田の交渉の進め方のおかしな点です。代車費用を過失とひっくるめて交渉の材料にするのもおっしゃるとおりおかしな論理です。しかし、そういう交渉の経緯になったのは出発点で全労済の側にもやはり同様の論理があったからだろうと思います。村山さんには耳の痛い話かも知れませんが、いま村山さんが交渉に苦労されている一因は全労済側にも責任があるとよく認識し、今後の交渉の糧にしていただければと思っております。

 

以上いろいろと申しましたが、今後交渉にかける時間と労力とそこから引き出される成果のバランスを考えたとき、ここで示談書を取り交わすことが現実の選択だろうと思いますので、手続きの方をよろしくお願いします。「前方不注意は方便のための虚構」という私の考えにつきましては機会を見つけて安田火災の佐藤さんにもお話しください。これをさらに交渉の材料にしていただく必要はありません。佐藤さんにも何かを感じていただければそれでいいと思います。いまはとにかく交渉の最後の詰めをよろしくお願いします。

 

 

【住所】 伊藤