暴走運転の判例(送付されたものの一部抜粋)
東京地裁 平成8年1月25日判決
事件番号 平成5年(ワ)第14137号(甲事件)
平成5年(ワ)第22279号(乙事件)
裁判官 南敏文・竹内純一・波多江久美子
<出典> 自保ジャーナル・第1167号
交民集29巻1号
争点・過失割合
1 (略)被告は18歳で免許取得、19歳で取消され無免許ながら、ゼロヨンレースに参加。40キロ道路を100キロで走行して衝突
2 右認定の事実によると、被告は本件事故現場の交差点の存在、その周辺の制限速度や見通し状況などを知りつつ、2台の車が並走して時速100キロメートル以上の高速度を競う極めて危険な運転行為であるいわゆるゼロヨン・レースに、無免許でありながら参加したという点で強く非難されるべきである上に、現に時速約100キロメートルで進行中、約62.9メートル先に交差点に進入してくるA車を発見したにもかかわらず、減速等の危険回避措置を全く取ることなく、かえって自車のライトを上向きにしてA車に停止を促してレースを敢
えて継続しようとしたものであり、被告には重大な過失があるというべきである。
次に、亡Aが本件交差点の手前で一時停止しなかったと認めるに足りる証拠はないから、一時停止の有無を亡Aに不利に斟酌することはできず、亡Aが本件交差点には時速10ないし20キロメートルの速度で進入していることから、同人が交差点手前で減速したことは明らかであり、この点は亡Aに有利に斟酌すべきである,
もっとも、被告はA車を発見した時点で被告車のライトを上向きにしており、亡Aは被告車の存在を認知できたものと推認されるところ、それにもかかわらず本件交差点に進入した点で亡Aにも右方の安全確認を怠った過失が存するといわざるをえず、被告が制限速度の2倍を超えるスピードで走行していたことが亡Aの被告車についての距離や速度についての判断を誤らせた面があったとしても、片側二車線道路が優先することに鑑みれば、なお、亡Aにも若干の過失があったといわざるをえない。
このような、被告側の事情および亡A側の事情を総合考慮すると、亡A及び被告の過失割合は、亡Aが5%、被告が95%とするのが相当である。
(以下略)