BIO HAZARD |
物理的封じ込め 組換え体作製実験及び増殖実験に係る物理的封じ込め(大量培養実験(培養実 験のうち、培養規模か20リットルを越える実験をいう。以下同じ。)に係るも のを除く。) 物理的封じ込めのレベルは、P1レベルからP4レベルとし、その各レべルに 応じた封じ込めの設備、実験室の設計及び実験実施要項は、以下のとおりとする。
P1レベル (1) 封じ込めの設備、実験室の設計 実験室は、整備された通常の微生物学実験室と同じ程度の設備を備え、かつ、 設計が施されていること。 (2) 実験実施要項 1 実験中、実験室の窓及び扉は閉じておくこと。 2 実験台は、毎日、実験終了後消毒すること。また、実験中汚染が生じた場 合には、直ちに消毒すること。 3 組換え体を含むすべての廃棄物は、廃棄の前に滅菌すること。その他の汚 染された機器等は、洗浄、再使用及び廃棄の前に消毒又は滅菌すること。 4 機械的ピペットの使用が望ましいこと。 5 実験室内での飲食、喫煙及び食品の保存はしないこと。 6 組換え体を取り扱った後、及び実験室を出るときは、手を洗うこと。 7 すべての操作においてエアロゾルの発生を最小限にするよう注意を払うこ と。 8 汚染した物質等の汚染を実験室以外の場所で除去しようとするときは、堅 固で漏れのない容器に入れて、実験室から搬出すること。 9 実験室の昆虫、げつ歯類等の防除をすること。 10 他の方法がある場合には、注射器の使用は避けること。 11 実験室内では、実験着等を着用し、退室時にはこれを脱ぐこと。 12 実験室は、常に整理し、清潔に保つこと。 13 その他実験責任者の定める事項を遵守すること。
P2レベル (1)封じ込めの設備 組換え体の処理を行うため、ブレンダー、凍結乾燥器、超音波細胞破砕装置、 遠心分離機等のエアロゾルが大量に発生しやすい機器を使用するときには、汚染 エアロゾルが外部に漏出しないように工夫すること。キャビネットを使用する場 合は安全キャビネット(以下別表1参照)が望ましい。なお、キャビネットの性 能は必要に応じて検査すること。 (2)実験室の設計 実験室は、汚染物及び廃棄物の処理のための高圧滅菌器を備えた建物内に置く こと。 (3) 実験実施要項 1 実験中、実験室の窓及び扉は閉じておくこと。 2 実験台及び安全キャビネットは、毎日、実験終了後消毒すること。また、 実験中汚染が生じた場合には、直ちに消毒すること。 3 組換え体を含むすべての廃棄物は、廃棄の前に滅菌すること。その他の汚 染された機器等は、洗浄、再使用及び廃棄の前に消毒又は滅菌すること。 4 機械的ピペットを使用すること。 5 実験室内での飲食、喫煙及ひ食品の保存はしないこと。 6 組換え体を取り扱った後、及び実験室を出るときは、手を洗うこと。 7 すべての操作においてエアロゾルの発生を最小限にするよう注意を払うこ と。 8 汚染した物質等の汚染を実験室以外の場所で除去しようとするときは、堅 固で漏れのない容器に入れて、実験室から搬出すること。 9 実験室の昆虫、げつ歯類等の防除をすること。 10 他の方法がある場合には、注射器の使用は避けること。 11 実験室内では、実験着等を着用し、退室時にはこれを脱ぐこと。 12 実施されている実験の性質を知らない者のみを実験室に入れないこと。 13 実験が進行中の場合には、P2レベル実験中の表示を実験室の入り口に掲 げること。 14 実験室は、常に整理し、清潔に保つこと。 15 封じ込めレベルがP1でよいとされる他の実験を同じ実験室で同時に行う 場合には、明確に区域を設定して注意深く行うこと。 16 その他実験責任者の定める事項を遵守すること。
P3レベル (1)封じ込めの設備 1 組換え体を取り扱う場合には、エアロゾルを生じうる操作及び機器の使用 が可能な安全キャビネットを設置すること。ただし、エアロゾルが外部に 漏れない設計が施されている機器を使用するときにはこの限りでない。 2 安全キャビネットの設置に際しては、定期検査、HEPAフィルターの交 換、ホルムアルデヒドによる燻蒸等が安全キャビネッ卜を移動しないで実 施できるよう配慮すること。また、安全キャビネットは、設置直後次のア からウまでの検査を行うとともに、定期的に年1回以上ア及びイの検査を 行うこと。 ア 風速・風量試験 イ HEPAフィルター性能試験 ウ 密閉度試験 (2)実験室の設計 1 実験区域(出入を管理するための前室によって他の区域から隔離された実 験室、廊下等からなる区域をいう。以下同じ。)を設けることとし、前室 は両方が同時には開かない扉を前後にもち、更衣室を整えること。 2 実験区域には、汚染物及び廃棄物の処理のための高圧滅菌器を置くこと。 3 実験区域の床、壁及び天井の表面は、容易に洗浄及び燻蒸ができる構造及 び材質とすること。 4 実験室及び実験区域の主な出口には、足若しくはひじで、又は自動的に操 作できる手洗い装置を設けること。 5 実験区域の窓は密閉状態とすること。 6 真空吸引装置は、実験専用のものとし、実験区域以外の区域とは別に独立 して設けること。吸引口にはフィルター又は消毒液にによるトラップを設 けること。 7 実験区域には空気の排出換気装置を設けること。このシステムは、空気の 流れが前室から実験区域へ向うように設計すること。実験区域からの排気 はろ過その他の処理をした後排出すること。 (3)実験実施要項 1 実験中、実験室の扉は閉じておくこと。 2 実験台及び安全キャビネットは、毎日、実験終了後消毒すること。また、 実験中汚染が生じた場合には、直ちに消毒すること。 3 組換え体を含むすべての廃棄物は、廃棄の前に滅菌すること。その他の汚 染された機器等は、洗浄、再使用及び廃棄の前に消毒又は滅菌すること。 4 機械的ピペットを使用すること。 5 実験区域内での飲食、喫煙及び食品の保存はしないこと。 6 組換え体を取り扱った後、及び実験区域を出るときは、手を洗うこと。 7 すべての操作においてエアロゾルの発生を最小限にするよう注意を払うこ と。 8 汚染した物質等の汚染を実験区域外の他の場所で除去しようとするときは、 堅固で漏れのない容器に入れ、実験区域から搬出すること。 9 実験区域の昆虫、げっ歯類等の防除をすること。 10 他の方法がある場合には、注射器の使用は避けること。 11 実験区域内では長袖で前の開かないもの、ボタンなしで上からかぶるもの 等の形式の実験着を着用し、実験区域を出るときはこれを脱ぐこと。また、 この実験着は洗たく前に消毒すること。 12 実験区域への出入りは前室を通して行い、実施されている実験の性質を知 らない者のみを入れないこと。 13 実験が進行中の場合には、P3レベル実験中の表示を実験室及び実験区域 の入口に掲げること。 14 実験区域は常に整理し、清潔に保ち、実験に関係ないものは置かないこと。 15 試料を扱う場合には、実験用手袋を使用すること。使用した手袋は、作業 終了後、他のものを汚染しないよう取りはずし、消毒すること。 16 実験中、当該実験室内では封じ込めレベルがP2以下でよいとされる他の 実験を同時に行わないこと。 17 その他実験責任者の定める事項を遵守すること。
P4レベル (1)封じ込めの設備 1 組換え体を取り扱うためのクラス3の安全キャビネットを設置すること。 ただし、特別な実験区画(実験区域内に設けられる生命維持装置を備えた 気密構造の区画をいう。以下同じ。)において、生命維持装置によって換 気され、かつ、陽圧に維持されている上下続きの実験着を着用する場合に は、安全キャビネットはクラス1又はクラス2の安全キャビネットで代え ることができる。 2 安全キャビネットの設置に際しては、定期検査、HEPAフィルターの交 換、ホルムアルデヒドによる燻蒸等が安全キャビネッ卜を移動しないで実 施できるよう配慮すること。また、安全キャビネットは、設置直後次のア からウまでの検査を行うとともに、定期的に年1回以上ア及びイの検査を 行うこと。 ア 風速・風量試験(クラス3を除く) イ HEPAフィルター性能試験 ウ 密閉度試験 (2)実験室の設計 1 実験専用の建物又は建物内において他と明確に区画された一画を実験区域 とし、当該区域に実験従事者以外の者が近づくことを制限できるようにす ること。 2 前室は同時には開かない扉を前後にもち、更衣室及びシャワー室を備える こと。 3 更衣室を経由することなく、試料その他の物品を実験区域に搬入しようと する場合は、紫外線が照射され、かつ、同時には開かない扉を前後に持つ 通り抜け式の前房を通すこと。 4 実験区域の床、壁及び天井は容易に洗浄及び燻蒸ができ、昆虫、げっ歯類 等の侵入を防ぐ構造であるとともに、蒸気状態の消毒剤を恒圧で、全体と して適切に封じ込め得るものであること。ただし、このことは必ずしも気 密であることを意味するものではない。 5 実験室及び実験区域の主な出口には、足若しくはひじで、又は自動的に操 作できる手洗い装置を設けること。 6 実験区域の扉は、自動的に閉じる構造とすること。 7 中央真空系統を設置する場合は、実験区域専用のものとし、各使用場所及 び点検コックのできるだけ近くにHEPAフィルターを配備すること。こ のHEPAフィルターはそのままで滅菌可能であり、また、交換ができる ように設置すること。 8 実験区域に供給される水、ガス等の配管には、逆流を防ぐ装置を備えるこ と。 9 実験区域から搬出する物品を滅菌するために、両方が同時に開かない扉を 前後に持つ通り抜け式の高圧滅菌器(以下「高圧滅菌器」という。)を備 えること。 10 実験区域から搬出する試料その他の物品で加熱滅菌が不適切なものを消毒 するために、消毒液の入ったくぐり抜け式の浸漬槽(以下「浸漬槽」とい う。)又は両方が同時には開かない扉を前後に持つ通り抜け式の燻蒸消毒 室(以下「燻蒸消毒室」という。)を備えること。 11 実験区域専用の給排気装置を備えること。この装置は、外部から空気が流 入する場合、次第に危険度の高くなる区域へと流れていくように、圧力差 を維持するとともに空気の逆流を防ぐように設計すること。また、装置の 故障・誤動作を知らせる警報装置を付けること。 12 個々の実験室での空気の再循環は、HEPAフィルターで濾過すること。 13 実験区域からの排気は、HEPAフィルターで濾過した後、近くにある建 物及び空気取入口を避けて拡散するように排出すること。このHEPAフ ィルターは、設置したまま滅菌可能であり、また、交換後性能検査ができ るように設置すること。 14 クラス3の安全キャビネットからの処理された排気は、戸外へ排出するこ と。クラス1又はクラス2の安全キャビネットからの処理された排気は、 実験室内へ排出することができる。もし、これらの排気が実験区域専用の 排気装置を通じて排出される場合には、安全キャビネット又は実験区域の 換気系の空気のバランスを乱さないように結合すること。 15 実験区域内に設けられる特別な実験区画は、次の用件を満たすこと。 ア 生命維持装置は警報装置及び緊急用の空気タンクを備えること。 イ 入口に気密扉によるエアロックを設けること。 ウ 着衣に付着した汚染物を退去時に除去するための化学薬品シャワー 室を設けること。 エ 当該区画からの排気は、HEPAフィルターで二段濾過すること。 オ 安全のため、排気用換気装置を二系統とすること。 カ 緊急用の動力源、灯火及び通信装置を備えること。 キ 当該区画以外の実験区域に対して、常に陰圧を維持すること。 ク 当該区画外へ排出する廃棄物を滅菌するための高圧滅菌器を備える こと。 (3)実験実施要項 1 実験中、実験室の窓及び扉は閉じておくこと。 2 実験台及び安全キャビネットは、毎日、実験終了後消毒すること。また、 実験中汚染が生じた場合には、直ちに消毒すること。 3 組換え体を含むすべての廃棄物は、廃棄の前に滅菌すること。その他の汚 染された機器等は、洗浄、再使用及び廃棄の前に滅菌又は消毒すること。 4 機械的ピペットを使用すること。 5 実験区域内での飲食、喫煙及び食品の保存はしないこと。 6 組換え体を取り扱った後、及び実験区域を出るときは、手を洗うこと。 7 すべての操作においてエアロゾルの発生を最小限にするよう注意を払うこ と。 8 クラス3の安全キャビネット又は実験区域から生物試料を生きたままの状 態で搬出する場合には、堅固で漏れのない容器に入れた後、浸漬槽又は燻 蒸消毒室を通すこと。クラス3の安全キャビネットに搬入する場合も同様 とする。 9 クラス3の安全キャビネット又は実験区域から試料又は物品を搬出する場 合(8の場合を除く。)には高圧滅菌器を通すこととし、高温や蒸気によ って壊れるおそれのあるものについては、浸漬槽又は燻蒸消毒室を通すこ と。クラス3の安全キャビネットに搬入する場合も同様とする。 10 実験区域の昆虫、げっ歯類等の防除をすること。 11 他の方法がある場台には、注射器の使用は避けること。 12 実験又はその安全確認に必要な者以外の者を実験区域に入れないこと。 13 実験区域への出入は前室を通じて行い、出入に際してはシャワーを浴びる こと。 14 実験区域では、下着、ズボン、シャツ、作業衣、靴、頭巾、手袋等からな る完全な実験着を着用し、実験区域から出るときは、シャワー室に入る前 にこれらを脱ぎ、収集箱に収めること。 15 実験区域のすべての扉及び組換え体を保管する冷凍庫、冷蔵庫等には、国 際的に使用されている生物的危険表示を掲けること。 16 実験区域は常に整理し、清潔に保ち、実験に関係ないものは置かないこと。 17 安全キャビネットのHEPAフィルターについては、その交換直前及び定 期検査時に、安全キャビネットを密閉し、10g/m3のホルムアルデヒド燻蒸 により汚染を除去すること。 18 安全キャビネット及び実験室流しからの廃液は加熱滅菌すること。シャワ ー及び手洗い装置からの排水は、滅菌又は化学処理により消毒すること。 19 実験中、当該実験室内では、封じ込めレベルがP3以下でよいとされる他 の実験を同時に実施しないこと。 20 その他実験責任者の定める事項を遵守すること。
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