お茶会inプラザホテル

 プロローグ −殿それはなりませぬ−

 殿それはなりませぬでおなじみの白井恵理子作・「STOP劉備くん」の続編
が存在することをつきとめた。しかし時すでに遅く、絶版となっていた。近隣の
古本屋にもなく、茶房掲示板のりあんさまに調査を依頼したところ、手元に余分
があると。
 そこで、それを引き取りに一路東京に向かうことにした。
 取引場所は、新宿京王プラザホテル。極秘取引にふさわしい高級ホテルでの受
け渡しである。ここは、万全の体制で臨まなければならない。


 シーン1 −出動前夜−  予定では、日程は2002年10月12日で3連休の初日という恵まれた日程 で、しかも秋晴れのすがすがしいまさにツーリング日和、お茶会日和であった。  予定は未定とは、よく言ったものである。しっかりと1週間延期となってしま った。2002年10月20日。日本全国どこでも雨模様、しかも翌日は月曜で 仕事である。  お茶飲みに京都−東京を日帰りである。しかも翌日仕事。治世の王者の行進か ら乱世の強行軍へ一転した。まさに、「殿それはなりませぬ」という状態である。  しかしその諌言(誰が諌めた?)に従うことなく、私は長距離走行のために愛 車のバイクBMWR1100RSの準備を行った。輜重は雨具を往復2着分、超 一流ホテルでのお茶会なので濡れた格好ではよくないので、着替え一式と靴、さ らにグローブの予備と曇り止めとレインブレーカーを積み込んだ。この時点です でにトランクはいっぱいである。帰りの荷物は積む場所があるのだろうか。  つづいて、トランクの防水対策のためのテーピング。防水対策を完璧にした。 この時点で、深夜0時半。出動まで5時間である。急いで寝ることにした。
 シーン2 −出動−  朝5時半、その時は雲行きは怪しかったが雨は降っておらず、まずますの出だ しにとりあえずよしとした。名神、中央、首都高を巡回し、首都高速を抜ける予 定だったが、中央高速への乗り換えのジャンクション付近で、横を走っていた乗 用車に乗っていた子ども達がこちらに手を振ってくれたので、こちらも振り返し てあげた。すると、そのままジャンクションを通り過ぎてしまい、中央高速に乗 り換えられなかった。少々遠回りであったが、降りて引き返すわけにもいかず、 東名、首都高の航路に変更した。  結局、行きは雨も大して降ることも無く無事プラザホテルへたどり着いた。今 回は天候のこともあり、帰りの体力の温存も考え、休憩・食事をいつもよりゆと りを持って取ったので、着いたのが12時半であった。ちょうど7時間でる。  新宿は慣れた土地であるので、困ることもないだろうと思っていたが、それは 歩きの場合であり道路を走ると立体交差や一方通行などで曲がりたい所で曲がれ ず、目的地目の前にしてぐるぐる回っていた。しかし、建物自体は昔と変わりな くその面影もそのままであり、懐かしい高層ビル群を徘徊した。
 シーン3 −登場−  私は、バイクで来たので直接ホテルにバイクを止め、先に現地入したてみんな を待った。  予約していた集合場所の喫茶のラウンジに一足早く登場し、 「りあんの名で予約しているはずですが・・・。」 と、ウエイターに言った。彼は予約表を確認して、 「予約は入っておりませんが。」 と。もう一つのラウンジの方では、と言われたので、そっちも確認に行ったが、 やはり予約は入っていなかった。場所に間違いは無いという事は、りあんさまが 予約を忘れた可能性がある。当日近くまで日程や場所が決まらなかったので、そ の可能性があると考えた。集合場所は間違いないので、とりあえずそのラウンジ の近くで待つことにした。しかし、そこでもう一度メールの内容を確認すると、 「予約はHNではなかった。」 まぁ、当然といえば当然である。ゴルゴ13もデューク東郷と名乗っているよう に、コードネームを用いる事はない。  もう一度予約名を伝えると、席に案内された。もちろん、極秘調査による品物 の受け渡しであるため、万全の体制でのここでの名は偽名である。こちらもサン グラスをかけ、正体を知られないように席に座って待った。ネットアイドルでも あるし、プライベートでの行動で顔が割れるのも困る。  そして、まもなくりあんさま、怪傑おばさん頭巾さま、れなさま、がくさま+ がくJr君が到着し、その後しばらくしてさいしゅうへいさまが登場された。残 念ながら綾辻プー助さまは体調不良のため欠席のようであった。  会ってすぐ、サングラスをかけ顔を隠した私の正体を一瞬で見破ったりあんさ まと怪傑おばさん頭巾さま達には驚いた。さすがプロである。
 シーン4 −憩いのひととき−  お昼も過ぎたので、みんなでサンドイッチなどを頼んでおしゃべりが始まった。 私は新宿に着くまでにサービスエリアで済ませてしまったので、コーヒーとケー キにした。そして、掲示板のように何気ない話をする。  その合間に、本来の目的の一つである「STOP劉備くん」の受け渡しが行わ れた。まるで麻薬の取引さながらである。 「ブツは確かに受け取った。報酬はスイス銀行指定口座から引き出してくれ。」 といった感じである。  れなさまのペンギン軍団の写真がとにかく面白かった。編隊を組んでポーズを 決めている姿はなかなか見事である。鶴ではなくペンギンなのだが鶴翼の陣が組 まれていた。  それから、がくJr君のイチゴショートケーキ。上に乗っかっているイチゴが 逃亡を図りテーブル、椅子、床を伝って椅子の下に隠れてしまった。これは諦め ざるを得なく、まさに痛恨の大敗であった。3時ごろ、おばさん頭巾さまは、時 間の都合で名残惜しくも退席された。隣の椅子が空いたがくJr君にとっては領 土拡大となり、大いに盛りあがっていた。とにかく小さい子はかわいかった。  その後、私達も場所を移してお茶会となった。場所は、私のよく通っていた喫 茶ルノアールである。さいしゅうへいさま曰く、注文してから来るまでが非常に 遅いということであったが、私はそのような経験は無かった。という話をしてい ると速攻でドリンクが届いた。各店によって相違があるらしい。ここで再びがく Jr君はイチゴショートを注文し、先ほどのリベンジに成功した。ご満悦のよう であった。しかし、さすがに2個目はペースダウン。
 シーン5 −撤収の時−  17時半頃、名残惜しいが、私は明日仕事があり、雨模様の中を帰らねばなら なかったので、一足先にみんなと別れることになった。ここで以前愛用していた ルノアールのプリペイドカードの登場である。東京を離れて使うことがなかった のでここぞとばかりに使っておこうと、かっこよくカードを出した。しかし、 「このカードは当店では使用できません。」 と言われた。以前は使えていたのに一体何故。せっかくかっこよく決めたのに台 無しである。  みんなと別れを惜しみ、 「みなさん、お気をつけてお帰りください。」 と言うと、がくさまに、 「あなたが一番気をつけないと。」 とすかさず突っ込まれてしまった。  そして、店を出た一向は新宿西口へ向かって歩き始めた。私は反対方向に愛車 を取りに戻って、帰路についた。以前は19時頃に東京を出ていたが、雨の影響 は計り知れなかったので安全策を取って早めに出発したのである。帰り間際にさ いしゅうへいさまに 「雨があまり降らなくてよかったですね。」 と言われ、つい、 「そうなんです。せっかく防水対策してカッパも2着持って来たのに無駄になっ たみたいで。」 と少々不満げに言ってしまった。
 シーン6 −魔の潜む高速道路−  どんよりとした天気で雨が降りそうで降らない。降らないことはいいことであ る。今のうちに走れるだけ走っておこうと考え、ひたすら走った。静岡に入り、 富士川から菊川にかけての当たりで雨がやや強くなってきた。ここら辺で雨の中 を走るようになり、雨天対策をしてきた甲斐があったと少々うれしかったのであ る。しかし、その後雨足は急速に強くなり豪雨になってきた。そして、雨の中と いうより洗車機の中を走っているような状態になってしまった。さらにカッパも 効果が無くなり濡れてきたではないか。そこで、予備に持ってきていたカッパを 重ね着してなんとか対抗した。  おそらくさいしゅうへいさまに防水対策が無駄になったと言ったので、気を利 かせて雨乞いをしてくださったのだろう。さすが諸葛亮孔明の友、雨乞い、天変 の術は会得しておられるようだ。しかし、降らせすぎである。  その後、スピードメーターが0を示しているのに気が付く。どうやら壊れたら しい。メーターが壊れてもタコメーターがあればエンジンの回転数からスピード はおおよそ分かる。が、それも0を示していた。雨音でエンジン音もよく聞こえ ず、疲労で体感速度もよく分からない。今、一体何キロで走っているのかよく分 からなくなった。仕方ないので、サービスエリアまで何キロという標識を見て、 次ぎの標識まで何分かかるかで速度を計算した。  京都まで159kmという標識が現れた時、やっと帰ってきた!という感動が あった。が、159kmはまだまだ遠い。  ちなみに、富士川から菊川とは、以前5万円のハイウエイカード(しかも1万 円分も使っていない。)を落とした所である。未だ見つかっていない。
 エピローグ −新たなる伝説へ−  その後、雨はやむことなく、ついに自宅に帰り着いた。深夜0時半であった。 ちょうど7時間である。今日は往復1200km、14時間バイクで走っていた ことになる。そして5時間のお茶会。  私には大移動だったので、カメラを持参し道中で景色のよいところを撮ろうと 思っていたが、走行中は撮影できないず、しかも高速道路からはフェンスが邪魔 でよく見えないという欠点があった。さらに天候の事もあり残念ながら(?)カ メラで撮る機会がなかった。  りあんさま、ねも母さま、がくさま、さいしゅうへいさま、れなさま、お茶会、 を開いて頂きありがとうございました。りあんさま、STOP劉備くんの続編2 冊ありがとうございました。  よく考えてみると、「STOP劉備くん」の続編2冊をもらうために日帰りで 1200kmしかも豪雨の中バイクで走破したことになる。これはものすごいこ とである。落ち着いて冷静に考えてみると、ものすごくしょうもないことに命か けたような気がする・・・。  しかも旅費が往復30000万円(燃料・食費・お土産代込)ほどかかってい るということは1冊15000円ではないか!?なにか計算が合わないような気 もするが・・・「殿それはなりませぬ。」とは、こういう意味であったのだろう か。  作者・白井恵理子さまもこの伝説を聞く事があれば、さぞやお喜びになるので はないでしょうか(ほんまか!?)。  このお茶会でみなさまも新たなる伝説をお作りになられたようですので、是非、 後世までお伝えくださいな。

戻る
Back