2004年8月 天下無敵返上 神々との熱き戦い700km お盆の帰省に出発しました。記録的な猛暑続きの中一路京都に向けて出発しま した。 茨城から東京までは快適に走ることができて言うことなし。いい旅が出来そう な予感。のんびり帰るかなぁと思いました。 しかし、東京の首都高に入ったとたんすごい渋滞で身動き取れなくなりました。 料金所を出てすぐ止まり、いつ動くかわからない状態でした。バイクといえども 首都高の細い道ではすり抜けも難しく、結局車に囲まれて渋滞の中に閉じ込めら れました。車のエンジンに囲まれた午前10時ごろ。太陽もずいぶん高くまで昇 り、容赦なく照り付けました。気温はすでに60℃を超えていました。天気予報 の気温は直射日光の中で計っているわけではないので、車に囲まれた路面温度は 想像をはるかに越えていました。走っているならともかく、渋滞でこの状態は暑 いを通り越して熱いです。 暑さで意識を失いかけ、さすがにこれではやばいなぁと思って次のサービスエ リアに止まろうと考えましたが、渋滞の中そんなものははるか彼方先でした。や むを得ず、次のインターで休息に高速を降りようとしました。しかし、そこまで たどり着くのにもずいぶん時間がかかりました。 インターは左の急カーブ下り坂だったので、減速しようとしたのですが、痛恨 のシフトミス!一瞬減速のタイミングが遅れてしまいました。あ、やばい!と思 ってもどうにもならず、とにかく左に思いっきりバイクを寝かせて曲がりきろう がんばりました。しかし、下りということもあって減速も遅れ気味で悪戦苦闘。 カーブ残り20mで右の消音壁に激突。 全身を強く打った模様。バイクを左に寝かせていたので体のダメージは軽減さ れたようですが、それでも右手右足が血だらけと激痛でいっぱいでした。バイク も右のカウルをこすった程度・・・と思いきや、BMWのボクサーエンジンは左 右に突き出ている・・・。というわけで、右のエンジンを少々破損させてしまい ました。ぽたぽたエンジンオイルが落ちてる・・・。 痛がっていてもしょうがないので、高速をおり近くの病院に急行し、止血と応 急処置をしてもらいました。 休みながら運転すべし!と言いますが、料金所入ってすぐ渋滞1時間以上ほと んど進まないのでは、サービスエリアもインターチェンジもはるか先で休むに休 めないです。この状況で休める方法はあるのでしょうか? 応急手当をして、一息ついたところで再出発。 一路京都に向けて。途中大学時代の先生のところに遊びに立ち寄る約束だった ので、このまま遊びに寄って久々の再会を満喫しました。この体で何事もなかっ たかのようによく遊びに行ったものだと我ながら感動しています。 バイクの損傷と傷の痛みが気になるところなので、先生との久々の再会を終え ると再び京都に向けて出発しました。結局、のんびり帰るという悠長な状況では ないので今日中に京都にたどり着かなくてはならないという、生と死を賭けた長 距離走行になりました。 その後、暑さは容赦なく上がり、すでにバイクの上は70℃ほど。まだ、サウ ナなら乾燥していていいのですが、しっとり暑いこの温度には、さすがに体も限 界に近く、なにより怪我による体力の消耗と痛みを倍増させてくれます。しかし、 これを体力と気力で乗りきり平穏無事に先を急ぎました。 それにしてもこの暑さ、ただ事ではなく、火の神祝融か炎の不動明王襲来か? 火の神祝融か炎の不動明王襲来に耐え、灼熱の高速道路を走りながら、一雨降 ってくれればどんなに楽か・・・。と思って、走っていました。山梨に入ったあ たりでぽつぽつと雨が降ってきました。天気予報では晴れ曇りで雨の気配はまっ たくなかったので、まさに天は我に味方した!という気分でした。 雨も夕立のようで、いささか雨足が強くなってきたのでカッパを着ようと次の サービスエリアへ立ち寄りました。雨具を取り出し・・・と思ったら、いつもカ ッパを入れているところに入っていたものは、ゾイドのプラモデル。 一瞬唖然として、思わず、 「なんでゾイド・・・?カッパは・・・!」 とつぶやいてしまいました。もう、呆然としてしばらく立ち直れませんでした。 しばらくして雨足もやや弱くなってきたので、夕立だろうからすぐにやむと思っ てこのまま走ることにしました。 いったんは雨もほとんどやんだのですが、再び降り始めて、雨はどんどん強く なる一方で、前もよく見えなくなりました。すぐに全身ずぶ濡れで体温を奪われ ていき、極寒の中にさらされました。午前中のあの意識を失うような暑さはいっ たいどこに・・・。傷も雨に濡れて痛いやら痒いやらでかなり苦痛を強いられま した。 結局長野を通過しても雨はやむことなく、逆にどんどん強くなっていきました。 まさに水神狂乱状態でした。 愛知のあたりでは、雨は最高潮になり加えて雷も炸裂していました。すでに前 もほとんど見えず、頭の上では雷がしょっちゅう鳴り響いており、閃光が左右に 突き刺さってきました。後で知ったのですが、この時間、大雨雷雨警報が出てお り新幹線など運行停止していたそうです。雷は頭上で5秒もたたないうちに光っ ては落ち、左右のビルや鉄塔などに雷が直撃していました。 もう、自分に落ちるのではないかと、豪雨で冷え切った体をさらに冷や冷やさ せながら走りました。 まさに雷神強襲でした。 岐阜のあたりでは、雨もあがりつつようやく正常な天気に戻ってきたかと思っ たら、風が強くなっていき、バイクが横の車線に流されつつふらふらさせられま した。まともな天候は日本にはないのか!?と思いながらも、風と戦っていまし た。そういうときに限ってなぜかトラックが多く、横を通ると気流に呑まれて、 トラックに吸い寄せられたりと疲れきった体には過酷過ぎる走行を余儀なくされ ました。この風神襲来に最後の力で応戦しました。 そして、京都に入り、我が家に最後の力を振り絞って進み、重傷の体には過酷 過ぎる今日一日の天候の変化を乗り切り、無事(無事じゃないですが)家に帰る ことができました。 帰って入った風呂はまさに疲れを癒す天国のようなもの。ほっとできるひと時 です。気分は苛烈極まる神々の戦いを退けてきた歴戦の勇者ふさわしいひと時で した。 しかしその後、このことを報告した彼女という女神さまの逆鱗に触れ、こっぴ どく怒られてとどめを刺されてしまいました。 自分の怪我は全治一ヶ月とか骨もやばいかもとか最初に言われつつも、2週間 足らずで治ってしまいました。人の体なんて安いものです。バイクの修理代に比 べれば多分10分の1くらいではないでしょうか。もっと安いかも。今回は普通 のバイクの損傷もたいしたことはなかったのでしょうが、BMWならではのエン ジンシリンダー損傷というのが金額的にいたいです。普通のバイクなら、エンジ ンが横に突き出ているなんてことはないのですから。 もう、天下無敵加減もここら辺で引退なのかもしれないです。 これからは、重傷の体で神々の襲撃を回避克服したので、天上無敵としていこ うかと・・・。
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