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〜GS・短編集〜

横島忠夫の後日談


投稿者名:道化師の黒銀
投稿日時:07/ 5/12


オンボロアパートにある横島の部屋で横島は今、玄関の前で汗を流して固まっていた。

「・・・・。(汗)」

目の前には、高級スーツに身を包んだ外国人が5人いる。
見るからに、雰囲気が一般人とは違っている。

(何で、コンナトコロにこいつらがおるんじゃい!!)
(しかも、メッチャー雰囲気がタダモノじゃねーし!!)
(まさか! 美神さん、ヤバイ事に手を出したんじゃないだろうな・・・? 
 いや、それは無いな。 あの人はそれをする時には計算高いからな・・・。)

横島は内心でこんな事を叫んでいたが、声には出してはいない。
これは、美神と男達の格の差だろうか。
美神は、横島に心の声を無意識に声に出すプレッシャーを持っているが、男達からは美神ほどのプレッシャーを感じないが・・・・・・

厳つそうな男達が5人もいて、しかも日本語が通じるかどうか分からない外国人が目の前にそびえたつ様に玄関の前に立てられていれば、気の弱い人間なら腰が引けるところである。
しかし、横島は美神の元で働いている事もあるので、目の前にいる男程度のプレッシャーには飲み込まれない。
・・・・まあ、あの両親がいるということもあるしな・・・。

そんなわけで、横島が男に怯む事はないのだが・・・身体に染み付いた習性というべきか、どことなく、下に見られる特性(?)を持った横島は内心思いっきりビビっている。

「・・貴様が横島忠夫だな・・。」

「! そうっすけど? 
 あの・・、何かゴヨウでしょうか?」
(うわ! 日本語を喋ったよ! この人!!)

「お前の文珠を買いたい。」
「え゛?」
(ええ? 今、この人何を言ったの?)

「もちろん、それなりの金額を出そう。」
「!」

男の言葉に少し心揺れる横島であった。

「五億円だ。」
「!!」

男の示した金額に横島は内心かなり揺れた。

「・・・それは、文珠1個当たりの値段ッスか?」

「いや、10個の値段だ。」
「ははは、面白いジョータンをおっしゃいまッスね〜。」
「フフフ・・・。」
「せめて、1個で十億円ぐらいで無ければ話にはなりませんっすよ〜。」
「ほお・・・、そうかな?」
「文珠のこと、俺なりに調べてみたんですけど〜」

横島は男と駆け引きの会話をしながら頭の中で油断無く現状をすばやく展開していた。
(目の前の玄関には男が5人となると、このアパートの外には車がとめてある可能性が大きいな。) 


「何でも、文珠を作れる人間は今までにいなかったそうですっすね。」

(と
なると、アパートの外には残っている奴が少しいるはずだが、美神さん譲りの裏技で楽勝だな。)


「でも、神様となると作れるかもしれない、文珠の価値を一度聞いてみたら・・・。」


(玄関は塞がれているから、窓から出るしかないな。) 


「なんでも、かなりものすごくを超えて☆が10個以上付くくらいの超超超激レアで値段が付けられないくらいだそうですね。」

(幸いにして、靴は玄関にいるから走る時に取ればいいな。)

男と会話しながらこれだけの事を0.5秒でまとめた横島に、男が懐に手を動かし始めた。

「・・・そういうわけで、文珠を他の人にめったに渡さないようにと美神さんから言われていますんで。」

「ほお。 それでは、その美神とかいう人のところへ大人しく案内してもらおうか。」

男の手がスーツの中へ入って銃を取り出す。

「命を失いたくなければな。」

銃がチラッと見えた瞬間、横島はスニーカーを手に持って2階の窓から飛び出していた。
 
とうっ!!
「い〜え。 お断りさせてもらいますッスよ!!!!!」

飛びながら叫んだ横島に男達は付いていけず、動揺して固まった。

地面につく間に今までの修業の結果で(?)スニーカーをはき終えた横島は忍者のようにスタッ!と降りると素早く辺りを見回し、男達が乗って来たと思われる車を発見する。

その横に、仲間らしき男が一名車の横に立っているのを発見する。

カチ!
車を2台発見! おそらく、あいつらが乗ってきた自動車と思われる。

カチ!
男一名。 容易にカタがつく可能性は大きい。 

カチ! 
部屋にいる男達は追ってくる気配は無し。
出る時に文珠(遅)を発動させたので、効果が切れる頃には逃げ切れる。


そして、状況を判断した横島は車の横にいて、いきなりの事で呆然としている男に栄光の手をその頭上に振り下ろす。

「せいやーっ!!」
「うごおっ!!??」

ぷく〜っ・・・

頭部に煙の出ているデカイタンコブをこしらえた男は目をぐるぐると回しながら倒れていった。

その間に、横島は車の前カバーを開けると文珠を出して中に入れた。
その後、もう片方の車を栄光の手を剣状にしてぶった切る!
「とおっ!!!」

その時、部屋の方では文珠の効果が切れた男達が窓に駆け寄って横島が車を壊した所を見ていた。
「あ!」
「おのれ!」

「! ちっ。」


「撃て!」
パン パパン

銃を横島に向けて撃つが、横島は人間離れした回避能力で銃弾をよけて逃げ回る。

銃を撃ちながら男達が会話をする。
「おい! 下に降りろ!」
「ああ!」


「うわぎゃーー!! 
 銃を持っとるん事は、その筋の関係かーい!!??」


そして、下に降りてきた男達が横島の前に現れる。

「大人しくしろ!」


仲間が下に降りた事で上の方にいた男達は銃を撃つ手を止めた。

その隙に、横島は一瞬でその場から遥か彼方に逃げ去っていた。


「ナ!?」
「OH!?」


「うわははは!! この俺の逃げっぷりを甘く見ていたようだな!!
 敵からの逃亡、シロとの散歩で鍛えられた逃げ足は美神さんの折り紙付きじゃい!!!!」


2階
「なんだ!?」
「信じられん! あの逃げ足の速さは!!???」
「おい! 追いかけるぞ!」





男達から逃げた横島は、街中の人ごみの中を歩いていた。

「ココまで来れば、そう簡単には見つかりはしないな〜。
 しかし、あいつらは何もんだったやろー。」

ハッ!
(まさか、妖怪を兵器としている機関じゃないだろうな!)

横島は、一瞬シアリスな顔になるが・・・・・

ぐ〜っ・・・・・


「・・・・・・。」


腹の音が鳴ったことに、シアリスな雰囲気が壊れた。
(まあ、しよーがないか。 マックでも行くか。)


あっさりと思考を切り替えた横島は、車道から離れたファストフード店へ入った。
(ん? お前ら、俺がこの様な店に入るのはおかしいと思うか? 
 だとしたら、大きな間違いだぞ。 ふふふ・・・。)

(なぜなら! おキヌちゃんの件以来、なぜか霊能力が上がった上に新なる技を美神さん
も俺も手に入れたので、美神さんの機嫌がよかったし! 
戦力アップしたという事で、給料がなんと・・・・!!)

(聞いて驚くよな!!)








(時給1万円になったんじゃーー!!)










(とはいえ、美神さんがあんな事を考えていたとはなぁ〜。)

回想
『いいこと。 横島君、今から言う事はしっかり聞きなさい。』
『初めは時給250円で、今は255円だわよね。』

『はい、美神さん。』

『本当のことを言うと、実はアナタの時給は1万円だったのよ。』

『! マジですっか!? コレはもしかして愛の告白で・・・っぷ!!』
横島の顔面にパンチが叩き込まれる。

『しっかり聞きなさいと言ったでしょう!! コレには、理由があるのよ。』

『理由?』

『いいこと。 私が横島君を雇った時は霊能力が感じられなかったから、手伝い程度の時給5千円だったけど、その後、霊能力に目覚めた事から1万円にアップしたけど・・。』

『けど・・?』

『税務署を誤魔化すのが大変だったわよ〜。』

ずるっ!

その言葉にこけた横島であった。

『と、冗談は置いといて。』
『冗談だったっすか・・。』

『横島君、5千円と1万円で1ヶ月の仕事を計算すると、だいだい300万円と1000万円になるわね。』

『さ・・さん・・300まんえんと1000万円っすか!!!!?』
金額にかなり動揺している横島であった。

『もし、そんな大金が経済観念がしっかりしていない普通の高校生に入ると将来の事を考えずに目先だけの事を追い求めてしまうのよ。』

『たしかに、そうっすね・・。』

『というわけで、横島君あなたに正式のGSの手伝いの時給を渡すわけにはいかなかった
のよ。 このことは、ご両親に話して了解を貰っているわ。』
『ほーお・・。 そうっすか。 ん?』

『あの、美神さんいつ俺のご両親に話したのですか?』
『あら、横島君のお母様が最初に来られてお父様と一緒にナルニアへ戻るときに話をしたわよ。』

『そうですか・・・。』

『で、私も横島君も新しい能力を手に入れてパワーアップして、文珠も大量に生産でき
るようになったから横島君の時給は見習いGSから正式のGSの1ヶ月あたりの時給に上げようと思ったからこの話をしたわけよ。』
『本当っすか!! 嬉しいです!!』

『ただし、前に言ったとおりに横島君はまだ未成年だから、私が管理することになるけ
ど、横島君に渡す分のお金は時給1万円になるけど。』

『おお!!』

思わず喜びの叫びを上げる横島の前に美神はぴしっと指を突き出す。

『いいこと。 コレは横島君、あなたのご両親と話し合って決めた事なのよ。
【給料が増えたからって使いすぎない事!】【15万円を超える金額を給料として渡さな
い事!】【余った金額は美神さんに管理してもらう事!】これはご両親からよ。』
『は・・はい。(サスガに厳しいことで〜・・。)』
『で、次は私自身から・・・・・。』

回想終了

(というわけで、今の俺は普通の高校生よりはちょびっとリッチなのじゃい!!)

手に持ったトレイには、ダブルハンバーガー、ポテト、ドリンクが乗っている。 

なるべく、出来るだけ奥の席を選んで座った横島は、食事を開始しながらこれからの事を考えていた。

(あいつらは美神さんの所へ先回りするかもしれんしな。
 まあ、美神さんなら楽勝だな〜シロやタマモもいるしな。)

もぐもぐと口を動かしながら考え込んでいたが、面倒くさくなってきた。

(とりあえず、事務所の方は問題なしだな!)

「ん?」

マックから離れた車道を男達が乗った車が通り過ぎる。

その後、3人の男が歩道を通っているのを認めた。

「うげっ!! ここにいるのはヤバイな・・・。」

食べ終わったトレイを返却すると、トイレの方へ向かった。

そして、他に人がいない事を確認すると上の方にある小窓から外の様子を伺い、人間離れした身体能力で窓を潜り抜けて下に降りる。


左右を油断無くキョロキョロと見渡すと、ある所へ向かった。


「おい! いたか?」
「No!」

「おい、事務所の所へ向かった奴からはまだ来てはいないのと連絡があったぞ。」

「くそっ!! まだこの辺りにいるはずだ!」


男達が街中と美神事務所の前で横島を探している間に・・・・横島は今・・・・・







「ちわ〜す。 神父、ビート元気か?」
「おや、横島君今日は何の用で来たんだい?」

唐巣神父の教会へ来ていた。

「いや〜、それがさあ。 聞いてくださいよ・・・。」

『?』



横島は男達の事を話した。


聞いた唐巣神父とビートはデカイ汗をながしていた。
「・・なるほどね。 それで、美神君の事務所でなくここへ来たわけだね。」
「はい。 神父。」

「美知恵君に連絡をとるから、お茶でも飲んでいくといいよ。」
「いただきます〜。」

唐巣神父は電話をかけるために席をはずした。




「で、ビートその本は面白いか?」
「ええ、面白いですよ。 いろんな知識が詳しく書かれていますしね。」
「そうか・・。 俺には、宇宙語にしか見えんがな。」
「あはは・・。 まあ、暗号で書かれていますからね。」
「うげぇ〜・・頭が痛くなりそうだな。」

と、横島とビートはオカルト関係の古代文字で書かれた年季の入った本の話題をしている時・・・・・男達は見当違いの方にいた。

車に仕込まれた文珠(忘)で美神事務所の場所と横島のアパートの場所を忘れてしまったのだ。

「・・・美神事務所と横島のアパートはどこだ・・・?」
「サア・・・。」
「知らん・・・。」
「というか、ナゼ九州の鹿児島にいるんだ・・・?」
「・・・ガソリン切れだ・・。」
「この山奥まで、来た事にナゼ誰も疑問を持たなかったのが不思議だ・・。」


山奥の中にいる男達の上空でカラスが「アホーアホー」と鳴いている。


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