椎名作品二次創作小説投稿広場


徒然なる儘に

うたかたびと


投稿者名:霧咲
投稿日時:07/ 3/22

 〜うたかたびと〜






ルシオラを失ってから俺は嫌いな物が増えた……

〜シャボン玉とんだ〜

シャボン玉もその一つだ……

〜屋根までとんだ〜

子供の頃は…その泡の色が……

〜屋根までとんで〜

そして弾ける様が好きだった……

〜こわれて消えた〜

泡の色が幻想的で……

〜シャボン玉消えた〜

弾ける様は突然消えてしまったことに驚いて……

〜飛ばずに消えた〜

だから…子供の頃は好きだった……

〜うまれてすぐに〜

今はその存在そのものがルシオラと被ってしまい…弾けた瞬間に2渡と逢えない事を自覚させられて……

〜こわれて消えた〜

だから…嫌いになってしまった……






シャボン玉…その泡がとても綺麗で……

そして…すぐに消えてしまう……

時には長い間風に晒されて……

時には幼子(おさなご)の手によって……

時には生まれ出流(うまれいずる)事無く……

そんな儚い…幻想的な物だ……

そう…今の俺には感じる……

綺麗で…儚い……

まるでルシオラ…お前のように思えてしまう……

まるで二度とこの手で抱けないと嘲笑われてるかのような気分になる……

だから嫌いだ……

でも…俺はきっとどこか嫌いになりきれないのかも知れない……

本当に嫌いならば見なければいいのに……

どうしても目がいってしまう……

きっと…嫌いと言いながらもあいつの……

ルシオラのことを鮮明に思い出させてくれる存在だからなのかもしれない……

今ではもう…想い出の中でしか生きることの出来ない……

俺の大事な……

大事な存在(ひと)……

はぐるまがどこかで違っていれば……

そう何度想ったことだろう?

俺がもっと強ければ……

そう何度願ったことだろう?

俺がもっと勉強していれば……

そう何度悔やんだことだろう?

俺がもっと……

俺が……

何度も自問し……

何度も答えの出ない迷宮に入り……

何度も眠ることの出来ない夜を迎えて……

それでも尚……

願った……

だけど既に過去のこと……

失った物はもう…取り返しの付かない場所に行ってしまった……

失った物はもう…二度と手に入れることが出来ない……

でも……

それでも願ってしまう……

叶うことが無いと知了って(わかって)いながらも……

ただ…願い続けてしまう……

もう一度ルシオラをこの手に……

今度は二度とは放さないから……

俺の全てを持って守りたいから……

そういつも想う……

この空っぽの心が満たされる日が来るのだろうか?

ルシオラ……

仄かな(ほのかな)温もりを胸に眠る……

俺自身さえも気づかない本当にわずかな温もりを胸に……











幼子が歌っている……

でも…その唄が……

〜シャボン玉消えた〜
 る〜し〜お〜ら〜き〜え〜た〜
〜飛ばずに消えた〜
 い〜の〜ち〜を〜わ〜た〜し〜
〜うまれてすぐに〜
 で〜あ〜あって〜す〜ぐ〜に〜
〜こわれて消えた〜
 わ〜た〜し〜て〜き〜え〜た〜

そんな唄に聞こえてしまった……

ルシオラに依存しているのが自分でもよく解る……

そう想いながら今日も日常という仮面を付けて仕事に向かう……







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