えっと・・・此処は・・・・横島さんの家の近くだ。
時刻は昼、名前の変更等の調整はされてると思うから、スケジュールどおりの段取りで進められる。
『懐かしいでちゅ・・・でもわたちの知らない時代なんでちゅよね』
何があったかは知っていても、そこにいなかったなら知らないのと同じ、百聞は一見にしかず・・・ということだね。
『これからどうちゅるんでちゅか?』
予定通りに進めるよ。まずは・・・横島さんとの接触だね。
『わたちはスケジュールに関ちてはよく知りまちぇん。説明ちてくれまちゅか?」
うん。僕達は明日、横島さんの通っている学校に、転入することになっています。
そこで横島さんに頼んで、美神さんの除霊事務所に連れて行ってもらいます。引っ越して来たばかりで、道がわからないっていう理由でね。
だけど横島さんとは、交友関係を持っているのが好ましいから、今日のうちに一度会っておきたいんです。
はじめて会った人が、次の日に自分のクラスに転入して来たら、人は少なからず興味を持つから、より友好関係を得やすいんです。
『ちょっと策略的でちゅね・・・でも友達でありまちぇんと、一緒にGSなんてやれまちぇんものね』
命を懸ける仕事だから、命を懸けられる人とじゃないと、安心なんて出来るはずがありません。
可能だったら、美神さんとも会うつもりです。
『赤の他人として・・・・でちゅね?』
はい。霊力は抑えた状態で流しておいてください。霊力があったほうが、美神さんに意識されます。
抑えるのは、無用な手間を省くためです。通常通りに流してたら、それだけで問題になる可能性があるので・・・。
『わかりまちた。抑えて放出でちゅね』
体から微量な霊力が、外へと流れていく。やはり抑えすぎている。だけどそれでも美神さんくらいは出てるから、ちょうどいいくらいかな。
『せっかくでちゅから、霊力操作の練習も一緒にちていいでちゅか?」
いいよ、でもちゃんと抑えてね。
『わかってまちゅ!フフン♪』
なんか楽しそうですね。
『楽ちんでちゅよ』
パピリオが楽しかったら、僕も楽しいよ、まあ強制的なものではあるけど・・・。
パピリオが楽しいと思えば、僕にもその気持ちが伝わってくる。何を考えているかとか、そういうことはわからないけど、僕にも心の『色』は見えている。
見えてるだけじゃなくて、それを共有できる。嬉しい気持ちも、悲しい気持ちも、全部二倍だから楽しい。
もっと楽しくなれば、その二倍楽しくなる。だから僕は駆け出した。始めて見る過去の町に触れるように、もちろん目的は忘れちゃいない。
僕もパピリオも、長い間妙神山で住んでいたから、過去の都市といえど、近代的な感覚がある。
僕は未来の此処を知っているけど、そんなに変わっている感覚はない。パピリオの心による影響も、ないとは言えないと思うけど。
でも本当に楽しい。どうでもいいことでも、二倍だったらこんなに楽しい。
この体の性質の一部かな、心が二つあるから、何かがあると両方の気持ちが伝わる。
両方が楽しいと思えば、二倍楽しくなる。片方が楽しいと思っただけでも、もう片方も楽しくなる。
二倍心境・・・とでも言おうかな。
他にも心が二つあることによる影響は大きい。夢をリアルに見たのと同じで、現実で何を見るにしても、二つの観点から見ることが出来る。
見たものすべてが二つの観点で見れるから、一度見ただけでも、多くの事を知ることが出来る。
二倍心境は楽しいし、二つ観点があるのも楽しい、それに役に立つ要素だ。
パピリオが霊力の扱いを訓練してるのに対して、僕は町を見て楽しんでいる。
片方が楽しいからもう片方も楽しい。だから二倍楽しくなる。修行だって何だって楽しい。
『ヨコチマは今美神ちゃまのとこにいまちゅよね?どうやって会うんでちゅか?』
運命が変わっていないなら、横島さんは今から三十分後に、厄珍堂っていう霊的アイテムのお店に行くはずです。
氷室さんも一緒にいるはずなので、此処を狙うといいかな。
『おキヌちゃんでちゅかぁ・・・懐かちいでちゅねぇ』
問題なのは美神さんだね。今日はほとんどずっと事務所に立てこもってるから。
『それじゃあどうやって会うんでちゅか?』
横島さんと氷室さんの行動を、うまく誘導する必要があるね。
さっき言ったとおり、出来ればの話だから、狙うだけ狙ってみるよ。
まず、僕は方向音痴だっていう設定を演じないといけない。横島さん達と接触しやすいし、雇ってもらった後に、別行動をとることになる可能性も減るからね。
僕は常に、横島さん達の側にいた方がいい。でも一人で依頼をこなさないといけないこともあるだろうから、これが達成できない。
でも方向音痴になれば、一人で行う依頼にも、付き添いとして、高確率で横島さんと氷室さんが着いてくる。
抑止力を失っていく横島さんは、あまりにも危険な状態に陥りやすい。
抑止力がないとはいえ、横島さんはこれからの運命のキーカードだから、絶対に守らないといけない。
次に優先されるのが美神さん。だけど美神さんには、アシュタロスの強い意志などの、運命を変えるほどの要素が関わっているから、横島さんのものよりも、数倍強固な抑止力を持ってる。
横島さんの場合は、敵を倒すための抑止力。美神さんの場合は、死なないための抑止力。
僕達がいくら頑張っても、美神さんの抑止力は、まず消えない。だから守るのは、横島さんに集中して行うんです。
氷室さんは、二人の抑止力に挟まれた状態だから、ある意味三人の中で、最も安全な立場かな。
『どうちてでちゅか?』
まず氷室さんは、完全に敵から離れての、遠距離支援を主としています。
今は霊体だから、まず敵のターゲットにはならない。
蘇生されてからも、ネクロマンサーの笛を使い始めてからは、弱い霊には百戦錬磨。強い霊は美神さん達が相手するから、特定の条件に当てはまらない限り死にません。
『特定の条件って何でちゅか?』
氷室さんが一人で行動しているとき、つまり蘇生されてから、横島さんたちと合流したときです。
でもそれも大丈夫。もともと氷室さんは、抑止力なんて持ってない。それでも生き抜いてるから、死亡率はとても低いんです。
どちらかというと、いずれ合流することになるシロさんの方が、だいぶ死にやすい。
僕達がやるのは、消えていくであろう抑止力から、横島さんたちを守ることと、デメリットとなる運命の改変なんです。
『・・・なんだか、とても悲ちいでちゅ』
本当に・・・そうだ。怖いほど冷静に分析された、データ的な使命には、とても悲しい物がある。
此処では、素でなく、演じて生きなければならないところが、多くあると思う。
それは果たして、本当に笑顔でいられるものといえようか?否、そんなはずはない。
僕はわからない。運命に踊らされているのか、運命の主導権を握っているのか、それがわからない。
僕は運命を変えられる。それも大きな変化さえ起こせる。だけどそれもまた運命なのか・・・。
何かに踊らされている。そんな気がしてならない。でも今は二人で一つだから、必ず・・・それすらも・・・・切り抜けられる・・・そう信じたい・・・。
不の感情も二倍・・・これは辛すぎる。楽しいのが二倍なら、すごく楽しいけど、不の感情も二倍だから、すごく悲しい。
頭を切り替えよう。楽しいことをして生きよう。そうじゃないと・・・辛すぎる。それに・・・傷つけたくないんだ。
『嬉ちちゅぎるくらいに、優ちいから、わたちはそれでいいんでちゅ。傷ついても、ずっと側に居てくれる人が居まちゅから』
うん・・・・そうだよね・・・ずっと・・・支えあっていけるよね。
優しい温かさが広がる。心がぽかぽかして・・・とても心地いい。
辛くても、悲しくても、いつも一緒にいられるから、どんな時でも温かい。
こんな温かさがあるから、また笑って歩き出せる。そしたら幸せが来る。また二倍の幸せを感じられる。
二倍の感情を知ったから、もう何があっても、二人で一つでしかいられない。とてもとても、素敵なことだと僕は思う。
横島さんが外へ出てくるまで、後二十五分。だから予定通りに、楽しみながら二十五分歩こう。
厄珍堂から100mほど、離れたところにある十字路で、偶然会ったように装うのが、予定通りの行動。
これはデータで動くゲームじゃないけど、そう考えたら辛いから、遊びと思っていた方が、楽しいからそうしよう。
楽しんでいることが、結果的に成功に繋がるって、そう思うからそうしよう。
これで決まり!だから歩く!それで楽しむ!これでよし!
『レッツラゴーでちゅ』
歩き始めて十分ほど立った時に、思いがけない人を発見した。
横島さんの身に起こること意外は、勉強しなかったから、その周りで起きていたことなんて、知る由もなかった。
僕達の歩く歩道の先に、その人は立ち尽くしている。推測するなら、一人で依頼をこなせないといけないとでも、母親に言われたのだろう。
大きなビルの前で、泣きそうな顔をしているその人が、ちょっと可哀想だった。
そう思った時点で結果はわかっていた。思いは二倍になり、とても可哀想に感じる。手助けせずには、いられなくなった。
小走りでその人に近寄り、声をかけてみる。もちろん、本当とはちょっと違う自分を演じて・・・。
「GSの仕事って、怖いですよね」
その人は首を曲げ、僕の顔に目を向けた。目が潤んでいて、今にも泣きそうだ。
「命を懸ける仕事だから、怖くて当然ですよね。僕も怖いんです。まあ僕はまだ、GSにさえなってませんけど・・・」
「あなた・・・・だぁれぇ〜?」
「えっとぉ・・・初めまして、森下蛍っていいます」
パピリオ同様、癖のある喋り方に調子が崩れ、完全に素が出る。
まあほとんど変わらないんだけど。素とは、これからの運命を知っている自分のことだ。知っているのと知らないんじゃあ、ちょっと違う自分になる。
「蛍ちゃん、やさしいの〜」
「て・・・え!?」
目の前にいる人、六道冥子さんは、いきなり僕に抱きついてきた。
ちゃんって言ってるから、絶対に性別間違えられてる。
『当てる方が難しいでちゅ』
そうなんだぁ・・・・まぁ確かに・・・。
女性の体系とあまり大差のない少年体系と、パピリオの中学生女子的体系が合わされば、男になんて見えるはずがないものになる。
顔はもっとひどい。髪型も目も鼻も口も、ほとんどがパピリオのもので、藍色がかった髪は、僕のなるべきはずだった姿のものだ。
輪郭に関しては、僕もパピリオも、ほとんど違わなかったため変わらず、丸みのかかった幼児体系が残る。
背は若干伸びている。とはいっても、150cmをやっと越した感じだけど。
もしもっと背が高かったら、最悪の状況もありえたかもしれない。自分で見ても、冗談抜きで可愛い容姿といえる。
『わたちが可愛いからでちゅね!』
そういうことかな・・・でも厳しいよ・・・これ。
明日の転入が思いやられる。制服を着れば、流石に男だってわかると思うけど、それでも不安だ。
私服のときは、もう仕方の無いことだと思うしかない。男の格好をして間違えられるんだから、どうしようもない。
というか・・・・・・・・六道さんは、僕に抱きついたままである。周りから飛んでくる視線が恥ずかしい。
一分は立ったと思うんだけど・・・・。僕は六道さんに腕をほどいてもらおうと・・・・・・・!
六道さんの体は、震えていた。のほほんとした口調からは、まったく予想できないほどに怯えきった体を、僕に振りほどけるはずがなかった。
パピリオからも同様に、同じ感情の色が伝わってくる。一度二倍になった感情は、簡単には消えてくれない。
「僕が手伝います。怖いのなら、手を握っていても構いません。流石に抱きつくのは、動けないのでやめて下さい」
「いいのぉ〜蛍ちゃん?冥子とっても嬉しいわぁ〜」
「絶対に間違えてると思いますが、僕は男ですよ」
「そうなの〜?でも可愛いなぁ〜」
声だけでも、男性のものとは到底思えないほど高いため、第一印象で僕が男だと見抜ける人は・・・・おそらく・・・いないんだと思う。
精神的にショックを受けながらも、六道さんに手を引かれて、僕達はビルの中へ入っていった。
横島さん達との合流には、ギリギリかそれとも、帰りに会うことになるだろう。
ビルの内部に人はいない。依頼内容は、ビルに巣食った大量の悪霊を退治するという、最も基本的なものだ。
一階に悪霊はいないようだ。早く終わらせたいから、さっさと親玉を懲らしめたい。
『七階にいまちゅ。抑えた霊力で相手ちゅる場合は、けっこう苦戦する大きさでちゅ」
一度家に寄っておけばよかった・・・武器がないや・・・。ということは属性武器を使う・・・・ところだけど・・・。
僕の心を見ているパピリオにより、六道さんに掴まれていない右手に、炎に変換された霊力が集まってくる。
これを高圧縮できるかが問題だ。霊体は基本的に火に弱い。霊力を火に変換して、それを圧縮する。それを剣の形などに変形させれば、属性武器の完成である。
だけど、僕の力を使い慣れていないパピリオには、やはり難しい。炎の剣を作るにしても、一分はかかるだろう。
エレベーターは壊されてるみたいだし、上っている途中には出来上がるかな。
六道さんの手が震えた。火が怖いのだろう。
「僕には、霊力の発火能力があるんです。主な戦闘方法はこれですから、我慢してもらえますか?」
「そうなのぉ〜。火が浮いてるからお化けと間違えちゃったの〜」
あのぉ・・・・これからそのお化けと一戦交えるんですけどぉ・・・・。
『不安でちゅ。でも難ちいでちゅねぇこれ』
三階に辿り着いた頃に、やっと寒気を感じた。霊力に関してはパピリオに一存だから、霊の気配をあまり読めなくなったようだ。
右手の炎が刀の原型を形作っていた。あと少しで完成するだろう。
『悪霊は五階から上にいまちゅ。わたちがナビゲーターになりまちゅから、安心ちてくだちゃい』
優しい言葉で温まった心で、僕は階段を上っていく。
「そういえば、まだ名前聞いてませんでしたね」
「六道冥子っていうのぉ〜。冥子って呼んでねぇ〜」
「はい、冥子さん」
知らないフリをした自分、これが演じた自分。
右手の刀が完成した。持ち手の部分は僕の霊力で纏われ、熱さは感じない。
僕の霊力には、変換させた霊力を中和する効果がある。まぁこれも虹精霊についてわかっていることの一つだね。
炎の刀は、どうしても少し握りが甘くなるし、決定力も大幅に下がるから、非常時以外には使わない。
僕の得意技となる、『インパクト』の練習もしてもらったほうがよさそうだ。
『攻撃時に変換した霊力を爆発・・・・でちゅね?やってみまちゅ』
爆発させた霊力により、対象を内部から破壊できるため、使いやすいし強力な技法だ。
これも父親譲り・・・なのかわからないけど、僕も霊力の圧縮は得意分野である。攻撃時に圧縮したものを、一気に破裂させるのがインパクト。
敵が大きいほうが成功率は高まるから、ボスに対しては高い成功率がある。低級霊は一撃で葬れるから、それほど時間は掛からないだろう。
「冥子さんは式神を使うんですか?」
「そうよ〜よく知ってるわね〜」
「アジラにサンチラ、あとバサラを使ってください。それ以外はやめた方がいいです」
「でもぉ〜それじゃ〜寂しいの〜」
「・・・・何のために僕がいるんですか」
「そうだったのぉ〜」
・・・・・・・はぁ
絶対にぷっつんだけは勘弁して欲しいよ。それに・・・・抑止力が消える中じゃあ、これで死者が出てしまう可能性だってあるんだから・・・。
『来まちゅよ!』
パピリオの言葉で僕は身構え、気配に気を配る。五階への階段を下りてくる悪霊を、すばやく切り伏せた。小さな爆発が起こる。
早く終わらせるためにも、急いで七階へ行こう。
「行きますよ!冥子さん。七階に親玉がいますから、そこまで走ります」
痛くないように、気遣いながら階段を駆け上る。五階の悪霊を軽く真っ二つにし、多くの敵を残したまま六階へ。
道中道をふさぐ低級霊を切り刻みながら、七階まで急ぐ。
冥子さんには、一撃として攻撃を当てられてはいけない。僕だって死にたくない。
『あれは地獄でちゅ・・・死ななかった自分を褒め称えたいほどの一撃でちゅ』
経験者のPさんはそう語る。あのMさんやYさんさえ恐れた強烈な一撃を、誰が食らいたがるだろう?
下手な爆弾よりも、遥かに強力なのは、いうまでもない。
そんな怖い(?)ことを考えている間に、目的地である七階にたどり着いた。
「冥子さん!さっき言った三体をお願いします」
「わかったのぉ〜」
アジラ、サンチラ、バサラ、冥子さんの持つ式神の中で、特に高い除霊能力を備えるのが彼らである。
アジラは火を吹き広範囲の悪霊を焼き尽くし、サンチラは雷撃によって敵を倒し、バサラは悪霊を吸引する。
この三体だけでも、おそらくほとんどの除霊を遂行できるだろう。激しい攻撃の合間を潜り抜け、最も強い霊波を感じる部屋へ移動する。
部屋の中に、敵の親玉となる大きな悪霊の集合体を確認し、冥子さんに声をかける。
「此処で待っていて下さい。アジラ!サンチラ!冥子さんのガードをお願いします」
他人の言うことを聞かない彼らだが、主を守るためには必死のようだ。素早く冥子さんの側に集まり、近寄ってくる低級霊を残滅している。
それに安心して僕は、炎の刀を両手で持ち、襲い掛からんとしているボスに向かって走る。
行くよ!パピリオ
『了解でちゅ』
敵から発せられる霊波砲をしゃがんでかわし、低い大勢から懇親の力を込めて斬り上げた。刀全体が霊に食い込んだところで、炎に変換された霊力が、爆発を起こす・・・ちょっと強すぎだけど。
一撃では成仏しなかった悪霊は、爆風で割れた窓から外に吹き飛んだ。このままだと危ない。
「冥子さん!インダラを出してください!敵を追います!」
現れたインダラにまたがり、窓全体を突き破って跳ぶ。たくさんの人が行きかう道路の上空を、速すぎるくらいの速度で移動する。
まだ吹っ飛んでいる途中であったボスに、この速度をプラスした斬撃を入れる。派手な爆発音を響かせて、霊は消え去った。
道路を挟んで向こう側のビルの屋上に着地し、勢いをつけてもとのビルへと跳ぶ。屋上に着地すると、階段を駆け下りて冥子さんのもとへ戻った。
「蛍ちゃんかっこよかったのぉ〜。白馬のお姫様だわぁ〜」
冥子さんから聞いた第一声、わざとなのか本心なのかわからない。訂正するけど、間違ってもお姫様じゃない。
『そうでちゅよぉ!かっこ良かったでちゅ。馬にまたがって敵を倒す姫!って感じでちた』
姫の部分を強調して言うのはわざとなのだろう。しかし、強調して言ったのはわざとでも、言葉の意味は本音であるところが悲しい。
此処が七階でよかった。もし二階とかだったら、思いっきり多くの人に姿を捉えられ、性別を間違われた状態で有名になってしまうところだった。
この高さなら、せいぜい見えても服くらいだから、女と認識される危険性はない。
「それじゃあ冥子さん、僕は用があるのでお別れです。また会えたらいいですね」
「蛍ちゃん行っちゃうのぉ〜、冥子寂しいなぁ〜」
「・・・また会えますから・・・絶対に、必ずまた会えます。それまで・・・さようなら」
ビルから出て腕時計を見る。横島さん達はもう事務書を出ている時間だ。走って回り込もう。
邪魔にならないように、人数の少ない道を選んで走る。まあなんとか間に合うと思う。
『気づいたんでちゅけど』
何?
『蛍がいなかったら、六道はどうなってたと思いまちゅか?』
うぅんと・・・・・まあ依頼失敗は確実かな・・・・!
『そうでちゅよ!普通なら失敗してたんでちゅ』
僕がいなければ、冥子さんは依頼を遂行できなかった。つまり、僕がいても普通なら、宇宙意思が働いて同じ結果が訪れる。
だけどそうならなかった。小さな出来事ではあるけど、僕達は確かに・・・抑止力を振り切った・・・。
想像したよりも簡単に、抑止力に打ち勝てた。ふっ飛ばしても、ボスが一撃じゃあ倒せなかったのが、抑止力によるものなら、僕達は確かに抑止力を振り切っている。
やれる!頑張れば、不可能じゃないんだ!
『レッツラゴーでちゅ!』
続きます
本当なら逆行初日が終わるまでを、三話にしようと思っていましたが、それだと長すぎるのでやめました。
四話が初日終了までの内容になりそうなくらい長くなります。いろいろと覚えないといけない設定がありますが、六話あたりからは落ち着きそうです。
五話までがプロローグといった感じです。
そして密かに冥子もヒロインに入れていこうかなぁとか考えている僕がいます。
次回からは、少しはGS美神のノリで行けると思います。横島がいないと、ギャグに力が入れにくい事を知りました。
横島達の知らないところで、他のキャラたちも頑張っています。そんな所も描いていきたいです。
他のGSの二次創作を読んでいないとわからないところもありますが、それらはすべて仕様なのです。二次創作を含めたGS美神の続編・・・みたいな感じになればいいかなぁと思っております。
それでは次回もお楽しみに・・・。 (黒猫少年)
原作が基盤ではなく、原作を元にした二次小説が基盤ということでしょうか?それならば三次小説になってしまいますが、具体的には本編のどの辺りの設定が仕様なのか、教えて欲しいです。
あと横島を入れてギャグテイストを混ぜようとなさっているようなので、その点に関して言えばすごく楽しみなのですが、冥子もヒロインというのは冥子もオリキャラに気持ちが傾くような展開があるのでしょうか?正直な話、そのような展開はあまり読み手に好まれないと思います。
オリキャラが非の打ち所のない完璧なキャラというのは、はっきり言って無個性です。ですがそうならざるを得ない(冥子もヒロインになる)理由があるか、その上でおもしろい展開を書けるのならば話は別なのですが、さして理由も無ければヒロイン増加は避けた方が良いと思います。
とりあえず五話までのプロローグが終わる頃には設定付けが完了するそうなので、評価はそれからにしようかなと思い、今回は保留でコメントしました。
続きの投稿を楽しみにしているので、どうか皆様の助言や、私の戯れ言なども考慮して頂きたいと思います。 (由李)
なんとなく予想する事ができた個所は『蛍が女に間違えられて誰かに抱きつかれる』って所だけでした。
ちなみにその『誰か』と思っていた人物とは・・・・・プライバシー保護のため、Yさんと書かせていただきます。(笑) (鷹巳)
二次創作で書かれてきたものの続き・・・というのはそう意味ではなく、他の二次創作を読まれた方にならもっと楽しんでいただける物・・・といった感じで言いました。でも明らかに前者の意味に聞こえます。失言です。すいません。
他の物と直接的な関連性はありません。
冥子ヒロインは受け入れられないとは・・・知りませんでした。パピリオ一筋で行こうと思います。
蛍が完璧な少年であるのは、そういう風に鍛えられたからです。横島譲り・・・なのかわかりませんが、彼にも命をかけて自分の周りの人たちを守ろうという意思があります。だからこそ自分に対してミスを許さない少年になりました。
確かに個性ありませんね・・・。面白みのない彼ですが、そこはパピリオがカバーしてくれるはずです。
前回同様ためになるレスありがとうございます。
鷹巳さん
予想のつけられる王道的な話は、必要でない限り使いません。
『蛍が女に間違えられて誰かに抱きつかれる』ですが、これは必ず現実となります。
『誰か』がそんな行動に出るのは、『お約束』であり読者にも作者にも楽しいですから。
ただそんな日常(?)にも工夫を入れているつもりなので、ご期待ください。 (黒猫少年)