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GS〜Next Generation Story〜

馳せる想い


投稿者名:ja
投稿日時:05/12/ 7

「これ、解る?」
 空間に黒い石が浮かび上がる。
「『黒霊石』。私が『ある者』によって封じられた石よ。私はこの石の中で、永い時を過ごした。そして、横島忠夫が生まれた。
 それからの事はご存知よね?横島忠夫はGSとして歩き出し、やがて美神令子の結婚とともに、アシスタント兼恋人であった、氷室おキヌと独立」
 三人に確認する。
「そう。そのまま二人が結婚し、子供が生まれる。それが正しき未来。
 でもね、そこに本来なら存在しない存在。そう。この『黒霊石』があったがために、未来は変わった。本来とは違う方向に。
 私は、石の中からテレパシーである魔族にメッセージを送った。『横島忠夫から、甘さが抜けたら最強の戦士になる。それと戦える』とね。その魔族がカインよ」
 英夫は先ほど葬った魔族を思い出す。
「私は取引を持ちかけた。私の封印を解いてくれたら、横島忠夫から甘さを抜いてあげるってね。そして、結果は」
 微笑む。
「一体、どうやって?」
「簡単なことよ。ヨコシマの心のどこかには残っていたんでしょうね。かつて愛した魔族。ルシオラの存在が。貴方達も最初言ったでしょう?『ルシオラ』って。
 ヨコシマは、徐々に私に惹かれてきた。恋人がいるのにね。まあ、そうなるように、多少は術を使ったんだけどね。そして」
と、自分の右手を見る。
「この手で、氷室おキヌを貫いた。ただ肉体にダメージを与えただけじゃないわ。彼女はもともと幽霊。魂と肉体が不安定なの。それをさらに不安定にした。そして、今も神社に張った強力な結界で魂と肉体を安定させている。ねえ、娘さんならご存知よね?」
 瑞穂も幼少より何故、母がずっと結界内に留まっているのか不思議で仕方がなかった。
「そして、自分の甘さを再認識したヨコシマは自分の弱点を克服する。そして、カインは勝負を挑み、返り討ちにあった。その後、ヨコシマは私を追って世界を旅する」
 その辺は皆知っている。しかし、理由が今まで解らなかった。
「と、まあ、これで全てが終わるはずだった。私の目的、ヨコシマと氷室おキヌを引き離すのには成功した。
 でもね、誰にも誤算があった。貴方よ、横島英夫君。デビルとマムは新世界の王にする最強の存在として、眠りから覚めたカインは、ヨコシマ以上の戦士としての貴方を。それぞれの思惑が動き出した。そして、私もね」
 英夫の方を見て、
「さて、私に勝てたら、全てを教えてあげるわ」
「いや、別に興味ないし」
 英夫はまた、首を振る。
「これでも足りないの?!
 じゃあ、特別サービスよ。これを聞いたら絶対に私と戦ってもらうわよ」
「いや、聞きたくは………」
 断る前に美希が英夫の足を踏みつける。
「ひぎ!」
 とても痛そうな声を出すのを無視して美希が答える。
「どうぞ」
「あら、いいの?」
「構いません。どうせ、勝つのはヒデでしょうから」
 冷静な声だ。
「そうね。じゃあ、教えてあげるわ。
 私の本当の名前は横島蛍。横島忠夫の娘よ。私がルシオラに似ているのも、まあ、彼女の生まれ変わりでもあるからなの」
「「「え?」」」
 そういえば、誰かに似ていると思えば、他なるぬ横島忠夫だ。
「あ、信用していない顔ね。
 じゃあ、はい」
と、自分の髪の毛を英夫に渡す。
「DNA鑑定をやってみるといいわ。
 それじゃあ、英夫クン。また連絡するわ」
 タナトス、いや、蛍は姿を消した。

「う、うーん!」
 全身の痛みに耐えながら横島は目を覚ます。
 自分の体を見下ろす。不思議と、思ったよりのダメージはない。
「くそ!タナトス!!」
 何処かの病院だろうか、周りには誰もいない。
「あ、目が覚めた。父さん」
 英夫が入ってきた。
「英夫!タナトスは?」
「ああ、また連絡するって」
「何だと」
と、ベッドから立ち上がる。
「今は、寝ていた方が」
「心配するな」
と、手から文珠を出す。
「こんな傷は、いつでも治せるさ」
『治』が刻まれた文珠を飲み込む。見る見るうちに、傷が塞がっていく。
「よし!」
 自分の体を見下ろす。
「いや、今は出ない方が?」
「何を言っている。俺は」
 その時、病室のドアがゆっくりと開き、小竜姫が入ってきた。
「あら?体はもういいの?」
 何故か目が笑っていなかった。しかし、横島はそれには気付かない。
「急いでいるんだ」
「ええ。私も急いで聞きたい事があるの」
「え?」
 そこで、やっと小竜姫の様子がおかしい事に気付く。
「えーっと、何か?」
「何処の誰と?」
「え?」
「正直に話せば許してあげるわ。何処の誰なの?」
 段々と声が冷たくなる。
「いや、何を言っているのか?」
「父さん」
 英夫が近寄る。
「実は………」
と、そこでタナトスが横島の娘、蛍であった事を話す。
「えー!!ちょっと待て!!知らんぞ!!そんな事」
 横島は驚きの声を隠せない。
「そう、白を切る気ね。でもね、DNA鑑定をしたのよ」
と、データを見せつける。
「この二人が親子である確率は99%以上ですって。もちろん、私とのつながりは無し。さあ、教えてもらいましょうか。母親は誰なのか」
「だから、知らん!!」
「まだ、白を切る気ね」
 その後、
『おお、これは何処の戦争だ』
と、英夫が感想をもらした夫婦喧嘩(一方的な)が始まった。

「まったく、付き合ってられないな」
 英夫は部屋を出て、近くの公園に向かった。
「ん?この気配は」
 辺りを見渡す。
「そこか」
 見つめる先から、一人の女性が出てきた。
「やるようになったわね」
 ノアがゆっくりと姿を現す。
「あらあら、何でそんなに怖い顔なの?」
「いや、いきなり斬ってかかられたら困るし」
「そう。それもいい考えね」
 一瞬で間を詰める。しかし、手に剣は持っていない。
「今度、勝負するんですって?」
 蛍との一件だ。
「ああ。まあ、成り行きで」
「そう。大変ね」
 そして、その口から意外な言葉が出た。
「どう?手伝ってあげましょうか?」
「え?」
「貴方は霊力ではかなりだけど、肝心の使い方。特に体術は素人レベルね。
 今までは、その圧倒的な力で何とかできたけど、今度はそうはいかないわ。貴方の全霊力をコントロールし、なおかつ、体術をかなりのレベルにまで引き上げないと勝ち目はないわね。あの、蛍って子とは?」
「まあ、確かにそうだけど。でも、まだ戦うとは」
「そうね。でも、やらないといけないわよ。死にたくなければね」

「だから、知らないと」
「まだ、白を切るの」
 夫婦の会話はまだ続いていた。
「もしもし、お邪魔してよろしいかしら?」
 女性の声が聞こえた。
「今、取り込み中だ」
と、そちらを見た横島は驚く。そこには、蛍が立っていた。
「久しぶりね、小竜姫さん。まさか、貴方とくっついたのは以外だったけど、まあ、それはそれとして」
 横島の方を見る。
「ちょっと、お願いがあるんだけど、いいかしら」
 相手の返事も聞かずに続ける。
「息子の英夫クンの事なんだけど。今度、勝負をすることになっているのね。でも、ここで一つ問題があるの。彼、本気で私と戦ってくれそうにないの。
 おかしいわよね、彼。今までの戦い振りも見させてもらったけど、戦う理由がいまいちよね。自らの意思で戦っている気がしないの。降りかかる火の粉を払うか、この前の、カインの時のように、目的がないと駄目みたい。景品に欲しい物を聞いたけど、特にないみたいだし、それで、どうしたら私と本気で戦ってくれるか考えたの。それで、出た結論が」
 二人を見据える。
「彼の力の鍵は【怒り】のようだから、私に本気で怒ってもらおうと思ってね。だから、小竜姫さん、死んで」
 その顔が一気に豹変する。
「え?」
「ノア戦を見たわ。彼、伊達美希が死んだ途端、一気に変わったの。だから、それと同じようにしたいの。まさか、自分の母親が殺されて、何も思わないわけないわよね」
 一瞬で小竜姫の前に現れる。
「………どうしたの?あなた、こんなに弱かった?」
 その時、横から霊波刀で横島が斬りかかる。しかし、直撃したはずなのに、まったくダメージを与えられていない。逆に、霊波刀が砕け散った。
「ああ、なるほど。おキヌさんの娘に、神通力を授けた、というわけ」
 横島の攻撃をまるで気にした様子もなく話し続ける。
「それは、好都合ね。いくら私でも、二人がかりではつらいと思っていたのよね」
 右手を前に出す。
「じゃあ、そういう事で」
 その手から強力な霊波が飛び出す。
「へー、やるわね。ヨコシマ」
 霊波を文珠で作り出した結界で防いだ。
「やらせるか!」
 再び霊波刀を作り出し、斬りかかる。しかし、相手に当たる前に横島は横殴りの衝撃で吹き飛ばされた。
「その程度の攻撃は、何ともないんだけど、さすがに何度も喰らうと少しは痛いのよね」
 そして、そのまま霊波を横島にぶつける。
「まあ、あなたならこの程度では死なないでしょう。さて」
と、小竜姫に向き直る。
「悪いけど、貴方は死んで」
 右手を前に出す。
「あら?よく立っていられるわね」
 二人の間に横島が立ちふさがる。
「はあ、はあ………」
「止めておいた方が賢明ね。どきなさい、ヨコシマ」
「そうです」
 小竜姫が声をかける。
「もう、いいです。私が死ねば忠夫さんは助かる。そして、英夫が彼女を倒してくれるわ」
「だ、駄目だ!」
 手に文珠を握る。
「誰も、死なせない」
 そこに、【守】の文字を刻む。
「じゃあ、二人まとめて消し飛んでもらいましょう」
 右手に霊力が集中する。
「言っておくけど、その程度の文珠じゃあ、防げるわけないからね」
 霊波を放つ。その余波が辺りを粉微塵に吹き飛ばす。
「さよなら、ヨコシマ」
と、二人がいた場所を見る。何もかもが消し飛んだと思われたが、二人は立っていた。特に、小竜姫にいたっては無傷だ。
「え?」
 さすがに、これには蛍も驚きを隠せない。
「ど、どうだ?」
 しかし、横島も満身創痍だ。

『え、貴方のお父さん?
 それは素晴らしい人だったわ。普段はおちゃらけているけど、誰よりも優しくて、私を守ってくれたわ』

「なるほど、言われた通りね」
 そして、再び右手を構える。
「でも、これで終わりね」
 さすがに、今度は無理だろう。
「………」
 しかし、横島の目は死んでいない。
「まあ、………の罪は一度で十分、か」
 誰にも聞こえない声で呟き、手を下ろす。
「やめ、やめ。諦めることにしましょう。英夫クンには違った方法で何とかするか」
 そして、足元に転がっている文珠を横島に蹴り飛ばす。横島にぶつかった瞬間、傷が一瞬で癒えた。
「さて、お邪魔したわね」
「待て!」
 横島が呼び止める。
「何?」
 興味がないかのような返事をする。
「お前、俺の娘なのか?」
 先ほどまでの、夫婦喧嘩の原因を思い出す。
「ああ、確かに私は『横島忠夫』の娘よ」
「え?覚えがないが?」
「当然よ。だって、『貴方』は私の父親ではないもの」
 当たり前のようにに答えているようだが、今までの話と矛盾した答えだ。
「じゃあ、さよなら。息子さんによろしく」
 最後には先ほどまでの戦いがウソのように、明るい声で去っていった。

「疲れた」
「まだまだね」
 英夫は地面に突っ伏す。横に、平気な顔をしたノアが立っている。
「まあ、素人にしては上出来ね」
 声をかけ、ノアも腰を下ろす。その時、
「あ、お疲れさん。二人とも」
 山の下から、美希と瑞穂が上がってきた。
「さあ、休憩にしましょうか。英夫」
 そう言って、ノアは消えた。いつものことだ。休憩時間が終わると、再び現れる。
 この山に篭って数日、食事時になると二人がやってきた。
 修行を手伝ってくれるのかの思ったが、二人はそれぞれ調べ物をしていた。
「で、何を調べてるんだ?」
 食べ物をほおばりながら、英夫が尋ねる。
「ヒデ、口に物を入れながら喋らないでください」
 美希が睨む。
「まあ、硬い事言うなよ。で、何を調べているんだ?」
「タナトス、いや、横島蛍についてです」
注意するのを諦めたのか、美希が答える。
「何で?」
「まあ、敵をよく知るのは大事な事です。それで、一つ気になることがありまして、確認をしていたのです」
「私も、父さんと連絡を取ったり、古い書物を掘り起こしてみたりね」
「ああ、そうか」
 英夫は大して興味もないのか、曖昧な返事だけをして、食べるのに集中している。
「あら、おいしそうね?お一ついただけるかしら?」
「ん、ああ」
と、食べ物の入ったタッパーを渡す。
「あれ?」
 タッパーを受け取ったのは、蛍であった。
「ん?どうしたの」
「え?」
 蛍は構わず食べる。
「これを、作ったのは、瑞穂さん?」
「は、はい」
 突然名前を呼ばれて、驚く。
「ふーん。さすがは、………なら同じ味になるか」
と、呟き、英夫を見る。
「不思議そうな顔をしているわね?」
「え?だって、食べるんだ、と思って」
「以前は精神体だったからともかく、今は肉体を持ってしまったから、食べないと生きていけないのよね」
と、タッパーを手元に置く。すでに、空だ。
「あ、俺の飯」
 英夫が寂しそうに呟く。若干哀しそうだ。
「私のを分けてあげます」
と、美希は自分のタッパーを渡す。
「おお、悪いな」
 かけらもそう思っていないのに、一応言っておく。
「ん?味が違うな」
「変ですか?」
「いや、これはこれで。何か、舌に合うというか」
「そうですか。それは私が作ったんですよ」
 その一言に英夫は固まる。そして、
「毒でも入れた?」
「い、入れるわけないでしょうが!!」
 怒鳴り声に、平謝りする英夫。
「あの、お二人さん。もう、漫才はいいかしら?」
 蛍が恐る恐る尋ねる。
「ああ。そうですね。
 ところで、何の用ですか?」
 先ほどとは一気に変わり、冷静な声だ。
「解ったわ。食べ物を分けてもらったお礼に、いくつかの質問に答えてあげましょう」
 三人を見渡す。
「はい、じゃあ、英夫クン」
「いや、別にない」
「………つまらん奴め。じゃあ、美希さん」
「そうですね。じゃあ」
と、考える。
「貴方を封じたのは、『伊達 望』ですか?」
「ええ。あ、そうか、あの祠に書いてあったのね」
「私は確認をしていませんがね」
 そして、そこで一息置く。
「貴方、パラレルワールドから来ましたね?」
「へー、さすがさすが」
 蛍は拍手を送る。
「これだけのヒントでそこまでたどり着くとは、さすがね?
 でも、少し違うわ」
と、目の前に右手でVサインを作る。
「正確にはY字路。私がいた世界はこっち」
と、左手でVサインを作った中指を指す。
「貴方の世界、つまりこの世界はこっち」
と、人差し指を指す。
「つまりは、そう言うことよ」
「え?まったく解らん」
 英夫は満面?顔だ。そして、瑞穂にもよく解っていない。
「よく、解りました。どうやら、貴方の倒し方は、その祠にあるようですね?」
「あら?大丈夫よ。だって」
と、英夫を見る。
「彼が私を倒してくれるんでしょう?」
と、微笑む。
「………。貴方が、私の想像通りの人なら、解っているはずです。彼には、貴方を倒せないと?」
「いいえ。私を倒せるのは、彼だけよ。ただし、本気の、ね?ご存知でしょう?彼のあの潜在能力」
 美希は少し肩を落とす。
「仕方がありません。ヒデ、頑張ってください」
「え?」
突然振られ、声が上ずる。
「まあ、お手伝いくらいしますよ。できれば、ですがね。
 それと、もう一つ」
と、蛍を見る。
「Y字の右と左の世界なら、何処かで分岐点があったはずですが?」
「ふむ。まあ、教えてもいいか。
 横島忠夫と、氷室おキヌ。この二人がくっつくかどうかよ」
 立ち上がり、上空を見上げる。
「人間のGSがいくら来ようが物の数ではないけど、さすがに神、魔族は面倒ね」
と、手を翳す。
「確か、こうやって………」
 何か、電波のような物が照射される。
「よし、まあ、何も媒体に使わなかったから、期間は一週間が限度か」
「何をしたのですか?」
「ジャミングよ。人間界と神界、魔界とのチャンネルを閉じたの。これで、神族、魔族は来られないわ。
 さて、英夫クン」
と、向き直る。
「一週間後に勝負よ」

「うーん。急にそんな事言われてもな」
 英夫はアパートのベッドに寝そべり天井を見上げている。
 あれから、美希と瑞穂は、瑞穂の実家に向かった。そこの祠に美希が行きたいと希望したからだ。ノアは本当に人間界とのチャンネルが閉じたせいか、あれから現れなかった。
「しかし、『伊達 望』か」
 英夫とて、美希と蛍の話の内容がまったく理解できなかったわけではない。何よりも、『伊達 望』という名前には聞き覚えがあった。
「存在しない、はずだよな?」
 そして、そのまま眠りに落ちた。

「ここ、ですか?」
 祠に二人は到着した。
 昨晩は瑞穂の実家に泊まった。その時の、瑞穂の母の笑顔が思い出される。
『あら、貴方が伊達美希さん』
と、美希の顔をしばらく眺めていた。
『じゃあ、瑞穂のライバルね』
 柔らかい笑顔で、ストレートに突いてくるような感じだった。
「さて、入りましょうか」
 外界とは明らかに雰囲気が違う。
「何か、寒くないですか?ここ」
「ええ。それよりも、何かに呼ばれているような」
 二人は奥に足を進めた。やがて、祭壇の前に到達する。
「ここに、石が?いえ、黒霊石が?」
「はい」
 そして、横の石碑を見る。確かに、最後に『伊達 望』と刻んである。その名前の下に、見覚えがある石が埋め込まれていた。
「これは、精霊石?なるほど。どうやら、私の仮説は間違いではなかったようですね。瑞穂ちゃん。この石、復元できませんか?」
「おまかせを」
 文珠を取り出す。
「便利よね、これ」
 そして、石碑が復元されていく。
 二人は石碑の文字を読む。

『最愛の人 蛍 ここに眠る   伊達 望』

「えーっと。つまりは?」
「変だと思いませんか?この石碑、いえこの祠自体がそうですが。かなり古いものです。それだけ昔に作られたのに、この石碑に刻まれた文字は現代文字。私達にも読む事ができました」
「あ、確かに」
「つまり、これは私達と時代の近い人物が、過去に行って作った物です」


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