椎名作品二次創作小説投稿広場


速き者達

二人目の乱入者


投稿者名:鷹巳
投稿日時:05/11/27

「雪之丞!!!!????」
「よお、横島。久しぶりだな」


横島は突然今の状況に驚く。何しろ自分が殺される寸前に友人から助けてもらうなんて場面をそんな状態で想像できるはずもない。おまけに雪之丞とはアシュタロス大戦を最後に今まで会ったことがなかったため、横島の驚きはさらに跳ね上がったのだ。
そうとは知らずに雪之丞は単純に横島と会えた事を懐かしんでいた。


「何でお前がここにいるんだ!?」
「何だよ、ダチのピンチを助けてやっただけだろうが。それとも助けないで見なかったことにしておいた方がよかったのか?」
「いやいやいやいやいやいやめっそうもない。助けてもらって感謝してるぞ雪之丞!」


そう言うと喜びのあまり嬉し涙を流す横島。今まででこんなにも雪之丞を頼もしいと思った事はない。


「あれ?でも結界が張ってあるって、八兵衛さまが・・・」
「それよりも今俺が吹っ飛ばしたあいつは何なんだ?気からすると神族みてえだが」
「あ、そういえば忘れてた」
「ふざけんなーーーーーー!!!!!」


雪之丞に吹っ飛ばされ、話の中に入ることの出来なかった六麻呂が立ち上がった。その表情はもはや怒りの限界点を超えていた。


「おい!!てめー、名は何だ!?」
「てめえから名乗るのが礼儀ってもんじゃねえのか?」
「ぶっ殺す!!!!」


雪之丞の返答にキレた六麻呂は信じられないスピードで間合いを一気に詰めた。だが、雪之丞もそのくらいは想定していたらしく、近づいてきた六麻呂の顔面に迷わずに右パンチを食らわせる。


「グハァァァァァァァァァァァァ!!」


まともに食らってしまった六麻呂は再び吹き飛ばされる事になる。


(すげー・・・雪之丞の奴、まだ魔装術だって使ってないのに・・・)
「どうした?もう終わりか?」


余裕の一言を平然と口にする雪之丞。
横島は本気で雪之丞が強くなっていることが分かった。六麻呂をこんなにあっさりと殴り飛ばせることがそれを証明している。
横島は知らないが、アシュタロス大戦クライマックスで戦闘に参加できなかった事を雪之丞はかなり気にしていた。大戦終了後、雪之丞は妙神山だけにとどまらず、日本中の名高い霊山を訪れては修行の日々を送っていた。そのため雪之丞の霊力は普通のGSの霊力の数倍はある。そんな彼が負ける要素は何処にもない。


「さすが雪之丞。じゃ、あとはお前に任すから俺はこの辺で・・・」
「お前も闘えよ!!」


ちゃっかりその場を退散しようとしている横島を雪之丞が首根っこをつかんで押さえ込む。


「だってお前一人だけでもう十分だろ。俺がいたところで意味ないって!!」
「なに寝ぼけたこと言ってやがる!だいたい、お前だってあいつになんかやったんだろ!?その証拠にあいつの動き、大分鈍いぞ」
「え!?」


横島は一瞬、雪之丞の言っている意味が理解できなかった。


『お前だってあいつになにかやったんだろ!?その証拠にあいつの動き、大分鈍いぞ』


自分はこれと言って大きなダメージを与えるほどの攻撃をした覚えはない。むしろ大きなダメージを受けたのはこっちの方だ。八兵衛に聞けば何か分かるかもしれないが、あいにく今は六麻呂に殴られたショックで意識の奥底で眠ってしまっている。
横島は無意識の内に六麻呂に目を向けた。

















グラッ!!


「チィィィィッ!!」


六麻呂は再びぐらつき始めた黒いイヤリングを抑えた。
六麻呂の動きが鈍かったのも、イヤリングを落とすまいと普段通りのスピードを出す事が出来なかったことが原因。


(クソッ、あのガキややこしい時に出てきやがって!!)


心の中で雪之丞に対して怒りをあらわにする六麻呂。
殴られたことが幸いしたのか、さっきよりは冷静になっている。そのため今の自分の置かれている立場を見つめなおす事が出来た。
相手の力は確実に自分よりも上をいっている。一方自分に残された手は魂のストック一個のみ。
選択の余地は・・・ない。


ギュタ・・・ギュチュ・・・ギャチョ・・・ジュウチャ・・・グチャ・・・ベチョ・・・ジャシャ・・・


不協和音が再び響き渡る。
それを離れた位置から見ていた横島は二度目なので耳をふさぐまではしないが、やはり不快感は強烈に感じる。
雪之丞は始めて見るにもかかわらず、六麻呂を冷静に観察している。もちろん驚きもあるが、それは『魂を食う』という行為よりも『霊圧が上がっている』という方に集中している。


「おもしれえ!!」


そうつぶやくと雪之丞は横島を押さえ込むのを止めてとうとう十八番の魔装術を装備する。こんな場面でテンションが上がってしまうのは、やはりバトルマニアの性というものなのだろう。
ちなみにこのとき横島は巻き込まれないように後方に下がって小さな旗を出して応援していたりする。
戦闘準備を完了した六麻呂は雪之丞に向かって一直線に飛び込んでくる。
雪之丞も真っ向から立ち向かう。


「「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」


二人の叫び声がこだまする。が・・・


グラッ!!


(やばい!!)


スピードに耐えられなかったのか、イヤリングがさらにぐらつく。だがもうそんな事を考えている余裕などはない。すでに雪之丞は避ける事も出来ないほどに接近している。もはやイヤリングが落ちる事も覚悟の上で迎え撃つ決意を固めた。
二人の拳はそう少しで届く・・・・・

















ガシッ!!
ガシッ!!


「!!」
「!!」
「おおぉぉーっ」


寸前で拳をつかまれる二人。当然驚きの表情を浮かべるが、横島は喜びの表情を浮かべている。その理由は・・・


「お、女だと!?」


雪之丞が大きな声を張り上げた。渾身の一撃を止めたのが女である事を信じられない様子。
女の格好は白を中心とした和服、長髪で色は水色、顔はもちろんかなりの美人。横島が喜びの表情を浮かべた一番の理由は間違いなくこれだろう。


「ふふふっ、ダメですよ六麻呂♪イヤリングが取れかかってるじゃありませんか」


女は明るい口調で六麻呂に目を移し、注意する。が、あまりにも口調が明るすぎてとてもではないが叱ったり注意しているようには見えない。
そんな謎の女に六麻呂は聞いた。


















「何しに来た・・・・・三世(ミヨ)・・・・・」


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