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横島ドタバタ恋物語

リポート2  愛の前では飯も無力


投稿者名:雅樹
投稿日時:05/ 3/16

「あっ、横島さん♪」
「あ、小鳩ちゃん。」

ちょうどバイトから帰ってきたのか小鳩が何やら袋を抱えて家の前にいた。

「バイト終わったの?」
「えぇ。今ちょうど買い物をして帰ってきたところなんです。」
「頑張り屋だねぇ小鳩ちゃんは。」
「そ・・・そんなことないです。」

顔を少し赤らめつつ小鳩が言った。
「そ、そうだ。横島さんお夕飯はもう済みましたか?」
「え、いや、まだだけど・・・」
「じゃあ、小鳩が作って持っていきます。」
「え、そんな、悪いよ。」
「いいんです。今日は特売で一杯買いすぎてしまいましたから。」
「え・・・・じゃあ、お言葉に甘えようかな。」
「はい!!じゃあ、待っててくださいね。母の分作ったら直ぐに行きますから♪」

ルンルン気分の小鳩は横島にお辞儀をすると自分の家に入っていった。

「えらく上機嫌だな小鳩ちゃん。何かいい事でもあったのか?
・・・・・あぁ、特売だったから欲しいもんが一杯買えたのかな?」

・・・・・・もう何も言うまい。

「さて、小鳩ちゃんが入れるように適当に片付けとくか。」
そう言って横島も自分の家に入っていった。

片付けるものと言えば、そこら辺に転がっているカップ麺の空など
掃除していない部屋のものを押入れに詰め込むだけなのだが・・・・

数分後・・・・
「横島さん。失礼します。」
「あぁ、汚いところだけどまぁ上がってよ。」

小鳩が材料を持って横島の部屋にやってきた。
・・・・・調理してこなかったのはポイント稼ぎだろうか?
それとも・・・・単に電気代を節約しようとしただけ?
まぁ、小鳩の場合は・・・・前者だろう。

トントントン。慣れた手つきで色々なものを切っている音が聞こえる。

(「はぁ〜・・・・ええなぁ。何かこうしてると本当の夫婦みたいや・・・
そういえば小鳩ちゃんとは結婚式挙げたこともあるなぁ。まぁ、あんときは
貧乏神がいたからだろうが・・・・あれは惜しかったなぁ・・・・」)

などと考えてふと小鳩の方を見ると心なしか顔が赤いようだ。

「?どうしたんだろ?」
自分の考えていることが声に出ているとは知らず能天気に言っている。

「できました♪小鳩特製クリームシチューです。」
「有難う。おぉぉ!!これは・・・すごい!!滅茶苦茶いい匂いする。
頂きます・・・・うん。美味しい。美味しいよ小鳩ちゃん。」
「そうですか?そう言って貰えると嬉しいです。」

小鳩はニッコリと横島を見つめている。

・・・・・ジュルジュルジュル。

「・・・・・・おい。」

・・・・・ズルズルズル。

「・・・・・・おい!」

・・・・・ガツガツガツ

「おいと言っとろうが!!」

ボゴッ!!
「痛!!何をさらすんじゃ!!この不届きもんが!!」
「不届きもんはどっちじゃ!!俺の飯を食うんじゃねぇ!!!」
「別にええやろが!!わいだって腹へってるんや!!」
「威張って言うな!これは小鳩ちゃんが俺に作ってくれたものだ!!貴様にはやらん!!」

横島と貧乏神(現在福の神)がギャアギャア争っている。

「ま、まぁまぁ落ち着いてください。横島さん。まだたくさんありますから。
貧ちゃんも、貧ちゃんの分ちゃんとあるから横島さんのはとらないで。」

小鳩に言われ、二人が仕方なく喧嘩をやめる。
小鳩はホッとして貧乏神の分をいれに行く。

「しかし、お前は小鳩に感謝せえよ?こんなに美味い晩飯作ってくれてんねんから。」
「分かってるよ。ちゃんとお礼は言ってるだろうが。」

晩御飯も終わり他愛のない会話で盛り上がっている三人。

隣の部屋(小鳩の家)から小鳩の母親が壁に耳をつけ時々
「そこよ小鳩!!」とか「今よ!!」などと聞こえたりする。
・・・・・本当に体が弱いのであろうか?


一方その頃美神徐霊事務所はというと・・・・

「あいこでしょ!!あいこでしょ!!」

一体どれだけの時間あいこが続いているのだろうか?
時々「今の遅出しよ!!」とか「イカサマです!!」とか聞こえてくるのだが・・・・
皆何故か息を切らして興奮しているようである。

(ちょっと!!何なのよ一体!!横島君は私のものなのよ!?
元々横島君は私が目当てでこの仕事についたんでしょ!?
なのに、何で元は幽霊の女の子や、狼か犬か分からない奴や、
ぽっと出の狐になんか横島君上げなきゃならないのよ!!)

(横島さんは絶対に渡しません!!元々横島さんの良さに気づいたのは私が一番なんだから!!
美神さんなんか今まで丁稚とか散々言ってたのに。
それにシロちゃんなんか横島さんに散歩に連れて行っていつも殺しかけてるじゃない!!
タマモちゃんは、クールで横島さんに好意なんて抱いてるようにすら見えなかったのに。)

(拙者は先生の一番弟子なんでござるよ!?先生の一番弟子の拙者こそ
先生にふさわしいんでござる!!)

(ふん!!私は横島の優しさとかにちゃんと気づいてるんだからね?
美神さんはいっつも横島誘惑してるっぽいけど横島気づいてないし、
おキヌちゃんは料理とかで横島誘惑してるっぽいけど無駄だし、
・・・・・・・バカ犬にいたっては論外ね。)

などと、各々が『横島には自分が一番ふさわしい!!』と思っている。

しかし、ここで重大な事件が起こってしまう。

・・・・・・・・グゥ〜。
皆のお腹が「腹減った〜!!」と叫んだのである。

「「「「・・・・」」」」

皆無言である。
何分経ったであろうか?美神が意を決したように口に出す。
「・・・・・お腹すいたわね。」
「すきましたね。」
「すいたでござる。」
「油揚げっぽいの〜。」

皆思っていたらしく(タマモだけは食べたい物の名前まで言って)口にする。

「じゃあ、一時休戦っていうことでおキヌちゃん何か作ってくれる?」
「分かりました。」
と、言っておキヌちゃんはキッチンに・・・・向かう途中で足を止めた。

おキヌ以外のメンバーは頭に?マークを浮かべておキヌを見る。

おキヌちゃんが皆の方を振り返りニッコリと笑みを浮かべる。
皆は何で笑っているのか分からず突っ立っている。
しかし、次のおキヌちゃんの一言でまた新たな争いが・・・・・・

「皆さんのお夕飯は私が腕によりをかけて作ります♪」

それは嬉しいな。とメンバーは思った。・・・・・・しかし、

「ですから、横島さんの服は私が洗濯しますね♪」
(((それが狙いだったのか!!)))
やられた!!と言う感じで皆はおキヌちゃんを見る。
おキヌちゃんは(これで横島さんの服は私のもの)と、
普段のおキヌちゃんではあり得ない事を考えている。
そして、これで私が勝ったと思った。

・・・・・・しかし、
「・・・・いいわ!!私はお金あるし、買ってくればいいもの。」
美神が思わぬ反撃に出た。

「・・・・・いいんですか?私が作らなくて。」
「大丈夫よ。たまにはコンビに弁当もいいかもしれないし。」

くっ、とおキヌは唇を少し噛む。
しかし、シロとタマモならと。

「私は美神さんに貰ったお小遣いまだ残ってるからそれ使うわ。」

何!?おキヌはタマモの反撃にもビックリした。

「うぅぅ・・・拙者はもうお小遣い残ってないでござるよ・・・」
「じゃあ、シロちゃんは私が作ってあげるね♪」
シロ脱落。残るは美神、おキヌ、タマモの三人になった。
シロは・・・・「うぅぅ・・・これからは考えてお金使うでござるよぉ。」
と、泣きながら言っていたらしい。

どうやら今日中にはこの戦いは終わりそうにないようだ。
恋する乙女たちの戦いはまだ続く・・・・
というか・・・横島の服一着でそこまでする必要があるのだろうか?


さて、舞台はもう一度横島の自宅に戻る。

「ふ〜、しっかし美味かったなぁ。おキヌちゃんのも美味しいが、
小鳩ちゃんの作る料理も美味いなぁ。」

などと横島が料理評価をしていると、
ジリリリリ〜ン・・・・・ジリリリリ〜ンと
今時はあまりないであろう黒電話が鳴っている。

「ん?誰だろ?こんな時間に・・・もしもし?」
≪あぁ、横島君か?鬼道政樹やけど・・・≫
「鬼道?あぁ、おキヌちゃんの担任の。」
≪・・・・一応昔にも一回会ってるんやけどな。まぁ、ええわ。実は・・・・≫
「何!?それは本当か!?任せろ!!ウハハハ〜!!
・・・・・しかし、美神さんが許してくれるだろうか?」
≪その件に関しては六道理事から言っとくらしいわ。大丈夫やと思うで。≫
「そうか。じゃあ問題ないな。分かった。俺に任せろ!!」
≪じゃあ、よろしゅう頼むわ。ほな。≫

ガチャ・・・・受話器を置いた横島はしばらく動かない。
そして・・・・
「おぉぉぉぉぉぉ!!女子校〜!!じょ〜し〜こぉほぉぉぉ〜!!」と、
何やら雄叫びをあげている。一体どうしたのだろうか?

まぁ、大体の想像はつくがそれはまた次回ということで。


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