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横島ドタバタ恋物語

リポート1  銭湯にカポーンとつかりつつ


投稿者名:雅樹
投稿日時:05/ 3/14

カポーン・・・・

銭湯で横島は湯船につかり今日の出来事を思い出していた。

「まさかあんなことになるなんて・・・一体皆どうしちまったんだ?」

時間は二時間ほど前にさかのぼる。

横島がそろそろ帰ろうかと思っていたとき、

「横島君その服は私に預けなさい。」
美神が急にそんなことを言い出したことから始まった。

「え!?何でですか!?・・・・・・まさか!!」

「?何よ?」

「美神さん!!そんなに俺の服が・・・・ぶっ!?」

「何を血迷ったこと言っとるかおのれは〜!!」

横島は美神の神通棍の一撃で床に沈んだ。
頭から大量の血が流れているが・・・まぁ、横島なら大丈夫だろう。

「ったく、その服に私の香水がついてるんだから、私が洗濯してあげるわよ。」

「え!?いいんですか?」
・・・・・・もう復活してるよ。

美神は内心ほくそえんで、しかし表情には出さずいたって冷静に
「ま、まぁ今回だけよ?今度からは許さないからね!?」

「あ・・・・ありがとうございます。」
横島は素直に(言わないとヤバイと思い)お礼を言った。しかし、重大な問題が残っていた。

「あ、でも俺服脱いだら帰れないんすけど・・・・」

「代わりの服だったら私が買ってあげるわよ。」

「「「「・・・・・・え!?」」」」
・・・・・・やってしまった。『完全』にハモってしまった。

美神の体から凄まじいほどの霊圧が放出されている。
背景に炎のようなものが見えるのは気のせいだろうか?

「何?私が横島君にお金使うのがそんなに変?」
口調は悪魔で普通に。しかし、顔が全く笑っていない。

(「何でや!?美神さんが俺なんかに服を!?普通なら絶対ありえん!!
ま・・・・まさか!!俺の給料から差っ引く気なのか!?それも2か月分!?
俺はまたボロ雑巾のように美神さんにこき使われてしまうのか!?」)

バキドゴメキョボゴベキャッ!!
一瞬に繰り出される美神の高速(光速?)技が横島をもはやコメントできないと
思われるほどに潰した。

「また・・・口に出していた・・・・か。」
コメントができる彼に敬意を表したい。

「よ・・・・横島さは〜〜〜〜ん!!」
おキヌちゃんが慌てて駆け寄り横島にヒーリングを施す。

「全く・・・人が親切で言ってあげてるのに。」

「だって、普通の美神さんからは考えられないことなんで・・・・」
ギン!「何よ?まだ文句あるの!?」
「いえ・・・・何でもありません。」

復活した横島に<また沈めてほしいのか?>という形相で睨む美神。
シロとタマモは仲良く隅でガタガタ震えている。

「でも、いいんすか?本当に買ってもらって・・・」
「文句は言わないでよ?私が勝手に決めるから。」
「えぇ。買ってくれるんなら文句は言いませんよ。」

しかし、美神は安いものを買うつもりはなかった。
ここで少しでもポイントを稼ごうと思ったのである。

「はぁ、まぁよろしくお願いします。」
「分かったわ。じゃあ・・・一時間ほど待ってて。」
「うぃ〜っす。」

そう言うと、美神は愛車のコブラに乗って買い物に出かけた。
・・・・何やら鼻歌を歌っているようだが。
美神いわく【他の女から差をつけて私が横島君の隣を歩くのよ!!】作戦らしい。

美神がいなくなった事務所では・・・
「ふ〜、どうしたんだろ美神さん?おキヌちゃん何か知らない?」
「さ、さぁ?私は何も・・・・」

実は知っているおキヌちゃん。
美神が横島に好意を抱いているのは知っているし、
これがポイント稼ぎだということもバッチリ知っている。
それでも美神を見送ったのは・・・逆らえそうになかったから。

「そうか。お〜い、お前らいつまでそこにいるんだ?
美神さん買い物に行ったからもう怖がらなくてもいいぞ。」

・・・・・もぞもぞ。二匹はゆっくりと横島に近づいてきた。
もちろん二匹とも(シロは微妙だが)美神のポイント稼ぎに気づいている。

ポリポリと茶菓子を食べながら横島は美神の帰りを待っていた。
その間、おキヌちゃんやシロ、タマモは(私(拙者)はどうやってポイントを稼ごう)と
真剣な表情で考えている。

一時間ほどそれぞれが考えていると美神が戻ってきた。

(調子に乗って買いすぎたかしら?まぁいいわ。これでかなりリードよ!!)
「ただいま〜・・・・う!何?この空気は・・・・」

美神の目の前には何やら難しい顔をしている面々が・・・・
「な・・・何!?一体どうしたって言うのよ!?」

ちょっと混乱気味の美神。その存在にいち早く気づいたのは何と横島であった。

「あ、美神さんお帰りなさい・・・・って!!何すか!?服って一着だけやなかったんすか!?」
「え?あ、あぁ。まぁ、この頃横島君頑張ってるしね。ちょっとしたご褒美よ。」

(やっぱり今日の美神さんは何か変だな・・・)
奇跡的に声に出なかったらしい。よかったね横島君。

「あ、お帰りなさい。」「お帰りでござる。」「お帰りなさ〜い。」
おキヌちゃんたちも美神が帰ってきたことに気がついた。

「それじゃ横島君。好きな服選んできなさい。後は持って帰っていいから。」
「はぁ・・・・それじゃあ。」
適当に選んで服を着てみる。実は一番高いものとは知らない・・・・

「じゃあ、この服は洗濯して何日かしたら返すから。」
明日と言わないあたり、一体何をする気だろうか?
まぁ、何はともあれ一件落着・・・・とはいかなかった。

「ちょっと待(って下さい)(つでござる)(ってよ)!!」
いきなりおキヌちゃんたちが大声を出し美神に食って掛かる。

「な・・・何よ?」

「その服は私が洗濯します。」
「いや、その服は拙者が。」
「私が洗濯するわよ。」

あまりの展開に言葉も出ない横島。
美神にとっては予想外の出来事が起こってしまっただろう。

「私の香水がついてるんだから私が洗うわよ」と美神。
「いつも皆の洗濯物は私が洗ってるんですから私が」とおキヌちゃん
「拙者は先生の一番弟子でござるから拙者が」とシロ
「私は横島に助けてもらったお礼をしてないから」とタマモ
美神は一気に差をつけようと、おキヌ達はこれ以上差をつけられてたまるか!!
という感じに全員が鼻息を荒くして睨みあっている。

「何でこんなことになっているんだ?」
(鈍感なため)全く予想がつかない横島は戸惑っていた。

「あの〜、じゃあ俺はこれで・・・・」

美神達は横島の声は聞こえないといった感じで激しくジャンケンを始めた。

「・・・・また明日な、人口幽霊一号。」
「また明日お会いしましょう横島さん。」
横島は逃げるように(ちゃんと美神からもらった服は持っている)事務所を離れた。

そして、一度家に帰り、荷物を置いてから銭湯の用意をして今に至る。

「しっかし・・・マジで恐ろしかったなぁ。恐るべし服だな。」
・・・・・本当に恐ろしいのはあなたですよ。

「そろそろあがるか・・・」
銭湯からあがり、服を着て家に帰った横島。
玄関先で偶然に『彼女』と出くわしたのだった。

「あっ、横島さん。」
「あ、小鳩ちゃん。」

・・・・横島の一日はまだ終わりそうにない。


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