椎名作品二次創作小説投稿広場


BACK TO THE PAST!

闇の集会


投稿者名:核砂糖
投稿日時:04/ 3/29

場所特定不能、何処かの座敷。

締め切ったふすまのせいで、この部屋は外の光が全く入ってこない。
唯一の光源は黒い布で周りを囲み、周囲に光が漏れにくいようにした裸電球のみである。
(ホラ、よく戦時中とか民家でやってたアレ)
「さて、今日諸君らに集まっていただいたのは他でもないポチのことでちゅ」
薄暗い証明の下で数人の人影が、あぐらかいてちゃぶ台を囲んでいる。
ちなみにちゃぶ台の上には急須と湯のみ、そして木のお盆に盛られた『うまい棒』が鎮座していた。
「ったく。もったいつけてねぇでさっさと始めろよパピ・・・」ちゅん!
人影の中でひときわ小さい影から絞り込んだ霊波砲が発射され、たった今しゃべりかけていた人影の脇をかすめた。
「今の私はパピリオではないでちゅ」
「・・・す、すまねえ、コードネーム『お蝶』」
コードネーム『熱血』は、お蝶の尋常ではない迫力に思わず素直に従ってしまった。
実際この小さな影はこの中ではずば抜けた実力を持っている。
「まあまあ、変なとこで喧嘩しないで。それより横島さんがどうしたんですか」
「わしもできるだけ早く帰らないとエミさんに怒られますケン」
残りの影が一行の進まない話に文句を言った。
「分ったでちゅよ。じゃあいきなり本題に入るとするでちゅ。ポチが・・・過去に戻ろうとしているんでちゅ!」

  なぁんだってぇ!そいつぁ〜てぇへんだぁ!



・・・とはならない。

「ふ〜ん・・・過去ねぇ。ま、いいんじゃないのか?あいつが自分で決めたんだろ?」
一人はいたってふつーの反応を示し、
「横島さん、すごいこと考えますね・・・」
一人は尊敬とあきれの混ざった返答をし、
「横島さん、やっぱり彼女を助けに・・・うおぉぉぉおおおん!」
もう一人は勝手に号泣し始めた。
「あのでちゅね〜〜〜・・・」
お蝶は、三人の理解力の無さに頭を抱えた。←はたから見ればとっても可愛かったりする。
「いいでちゅか、このままじゃポチと二度と会えなくなるんでちゅよ!」
お蝶はちゃぶ台の上の『うまい棒』を手にとろうとして体を伸ばしながら言った。
「どうゆうことだ?・・・あ、コードネーム『ベンガル』!そのサラダ味は俺んだ!」
「まあお馬鹿ちゃんにも分るように簡単に説明しまちゅと、過去は一つに対して未来はほぼ無限にあるんでちゅ。だから過去に戻ったらもう同じ未来にたどり着けないんでちゅよ」
お蝶は自慢気に己の知識を振りまいて見せた。
周りの面子は想像もしてない事態が起こりうるという事に若干、表情を硬くした。
「ふっ、きまったでちゅ」この日のために勉強しておいて正解でちゅ〜。
親指と人差し指を立てながら顎の辺りに当て、ニヒルに笑いつつも心の中でほっするお蝶。
「・・・なるほど、世界樹のことですか」
「え゛?」
お蝶は突然飛び出した意味不明の言葉にたじろいた。たらり大粒の汗が背中を流れる。
「だからですね、世界には無限の可能性があります。だから広がっていく木の枝のように世界は過去から未来へと無限に広がっているんです。・・・ぼりぼり。世界樹、つまりこの世界を構成する無限の枝を持つ大木と言われる物なんですが。その世界樹の無限の枝の一つ一つには世界があるんです。そして、・・・ぼりぼり。一度根元(過去)に戻って、また無限の枝の中から同じ枝(今自分達がいる世界)を選んでたどり着くのは不可能。ましては・・・ぼりぼり。過去を変えるのならなおさらってわけです。ちなみに以前過去に戻ったりした方々が戻ってきているのはほとんど偶然です。・・・おそらく平行世界での幾つかは彼らが戻って来れなかった世界が幾つもあることでしょう・・・。ぼりぼりぼりぼり・・・・ごくん、ふぅ。」
一番冷静に見える人物が、分りやすい説明を下した。
ただし『うまい棒』をかじりながらだが・・・。
「ま、まあそうゆうことでちゅ」
お蝶は何とかその場をとり作ろおうとするが、いかせん無理がありすぎるようだ。
熱血はそれを見てにやりと意地悪な笑みを浮かべた。
「くっくっく。やっぱりさわりの部分しか理解してなかったのかよ。まだまだお子様だな」
「うるちゃい!」
顔を紅くして反論するも、愛らしいだけでちっとも威力はない。
「まーとにかく、お蝶しゃんの言いたい事は、わしらに横島さんを止める手伝いをしてほしいと」
一刻も早く帰りたいベンガルが、時計をちらちらと見ながら話を進めた。よく見れば座り方がすぐに立てる体制に変化している。
「・・・そうでちゅ。勝手な事だと思うけど、やっぱり私はポチに行ってほしくないんでちゅよ・・・」
お蝶はうなだれつつ、いつもの元気のかけらもなく言った。触覚は二本ともたらんと下を向いている。
一同はしばしの間無言の時を過ごした。
聞こえるのは先ほど冷静な意見を出した影の『うまい棒』(チーズ味)をかじる音だけだった。
ぼりぼりぼり・・・・。
長い沈黙が続く。
ぼりぼり・・・・・・がさごそ←二本目突入!!
「よし!分った!!その話乗った!!」
熱血が勢いよく立ち上がり、お蝶に向かって言い放った。
その目は友の歩む道を正すことに熱く燃え盛っていた。
「わしもジャァアア!!」
ベンガルも熱血に続き、決意をみなぎらせ立ち上がる。
「僕も、お手伝いします!」
さらに最後の一人も右の拳を握り締めた。(ちなみに左はうまい棒ね)
「皆・・・ありがとうでちゅ」
お蝶は自分の都合にここまで付き合ってくれる彼らを見て不本意ながらも少しほろっとなった。
「よし、じゃあ早速作戦を考ようぜ」
熱血がにやりと笑いながら作戦リスト、と書かれた紙と鉛筆を取り出した。
他の面々もこくりとうなずく・・・が、

「あの〜〜〜すいませんがわし、もう仕事が・・・」

ベンガル離脱!!士気、大幅にダウン!!

「き、気を取り直してもう一度考えるでちゅ」
作戦会議はこうして開始された。


「さて、まず考えるのはどうやってポチが過去へ行こうとするのを止めさせられるからでちゅ」
会議はいきなりでかい壁にぶち当たった。
三人は頭を抱えて考え込む。
「・・・いきなり難しい問題ですね。こういうのはどうでしょう?とにかく彼が過去に行けなくする」
「それより、一発分殴ってやりゃあいいんだ。俺達をほおってどっか行くなんて許せねえぜ!」
さて、いきなり過激派の意見が出てまいりました。
「ダメでちゅ!あくまでポチが自分から止めるような状態に持ち込むんでちゅ。無理やり止めさせるのは、やっぱりあんまりでちゅ。ポチなりに考えた結果なんでちゅから」
「じゃあどうすんだよ」
「・・・う〜ん」
会議はしょっぱなから一向に進まなくなってしまった。
そして薄暗い証明の中、数人の人間がうんうん唸っているのは耐えがたい物があった。
「明るくしようぜ」
「そうですね」
黒い布が取り払われ、室内が一気に明るくなる。
さらにしばらくうんうん唸る三人だったが、ふいにお蝶の触覚がピョコンとまっすぐ上に立ち上がった。←可愛いのことこの上ない。
「・・・そうでちゅ!ポチにこの世界への未練を作るんでちゅ。ルシオラちゃんのことも乗り越えて、さらに思い続けられるような!」
「ほお、名案だな」
「いいですね」
お蝶が急にひらめき、周りもそれに同意した。
「横島をとどめる未練といえば・・・」
「女性ですね・・・」
二人は適当な女性を思い浮かべ始めた。腕を組み、思考を膨らませる。
「やっぱここはおキヌちゃんがベストだろうな」
「待ってください。何気に小竜姫様もまんざらでもなかったんじゃないですか。いや、待てよ・・・グーラーとかいう魔族の女性なんかもいたような・・・」
「待ってでちゅ!」
突如お蝶が大声で他の二人を静止した。
二人は怪訝な顔をしてお蝶を見つめた。
「何だよいったい・・・」
「実は・・・この話、女には秘密にしておいてほしいんでちゅ」
「何故です?」


・・・ニヤリ


お蝶は問いに対し通常の少女には絶対にできないような壮絶な笑みを浮かべて見せた。
それは、今の彼女の全てを物語るに足りすぎていた・・・。

「くっくっく・・・去って行く男と引き止める女・・・。そして芽生える愛。
くぅぅ〜イイでちゅ〜」
片手を頬に当てつつ、もう片方の手でちゃぶ台をばしばし叩きながらイヤンイヤンと体をくねらせる様は・・・ちょっと、いやかなり目を逸らしたくなる光景でもあった。触覚は楽しげに上下に振れている。
取り残された二人はじっと奇行に走る少女を見つめる。(主に胸元と身長の辺り)
「足らんな」
「無理ですね。彼が新たなる道を歩まない限り・・・」

その後、会議は主催者乱心により一行に進まず、まして良い安が出るはずも無かったため『お蝶ラブアタック作戦』が決行されることが決定してしまうのだった。

・・・どうなるんだろうね。



おまけシーン

「あの、僕のコードネームってどうにかならないんでしょうか・・・」
「何がでちゅか?コードネーム『蚊』」
「いいじゃんか、そのままで。コードネーム『蚊』」




おまけシーン2

「何だこのめんたいこ味って奴は!ほとんど七味味じゃねぇか!」
「このかばやき味って奴もやり過ぎですよ・・・」
「やっぱり本命はチーズかサラダでちゅ」


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