「プロスケーター、エルビス・ストイコ」のファンでいられるのだろうか?






ファンになったその時に「この人のアマチュア最後の試合は生で見たい」と思った人間は、アマチュアの時点で既に引退後の展開についても考えてしまうものなのである。


引退後のスポーツ選手は指導者やメディアに進出するごく一部を除いて市井に戻り、ファンとのつながりはそこで切れる。ところがフィギュアスケート選手の場合、事情が少し異なる。
「プロスケーターに転向」という特殊な選択肢があるのだ。

エルビスの実績と人気なら引退後プロスケーターに転向するのはまず間違いない。しかし競技のフィギュアスケート界とエンターティメントのフィギュアスケート界では求められているものが違う。それに対応して競技時代と全くスタイルを変えてしまうスケーターも少なくはない。
滑ってはいるが、そのスケートは昔と違う。プロ活動をしているそのスケーターは現役時代とは別の存在と思っておいた方がいいのかもしれない。


だとすれば私は、競技とは全く別のスケートをするエルビスのファンでいられるのだろうか?

もしエルビスのスケートが私の好みでない方向に変わるのなら、即行ファンを辞めるつもりでいる。現実と過去の区別がつかず、幻影を引きずり続けるような見苦しいことはしたくないのだ。



そんなことはエルビスがプロになってから考えればいいと先送りにし、プロになってからはプロの演技を生で見てからと保留状態を続け、そしてやっと答えを出す時が来たというわけである。
もっとも本当はソルトレークシティーオリンピック以降色々あって、答えを出すというよりは「終わるものならとっとと終われ!」というかなり捨て鉢な気持ちでの出発だったのだが…まあそのあたりについてはもう少し言葉の整理がついてから書くことにする。




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