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lnternational Friendship Lecture
国際理解講座(チベット編)
 

 東大阪市国際交流協会では,事業活動の一環として,毎年「国際理解講座」を開催しており,今までも
     「メキシコ人留学生との夕べ」,「スリランカ文化とおいしい紅茶を飲む会」などが実施されてきた。                         
   平成10年度は,天に一番近い大地−チベットからの話と歌声−と題して,今や講演やテレビ出演
      でも忙しいバイマーヤンジンさんをゲストに迎えて,チベットの知られざる文化や歌声を堪能した。                                                        
                                      
        
     講師のプロフィール       

    バイマーヤンジン(白馬央金)さん       
   中国チベット自治区アムド生まれ。       
   7才の時からチベット民謡と舞踏を始める。国立四川音楽大学
  声楽部で西洋オペラを専攻。同大では初のチベット人本科生
  だった。1989年に卒業後,同大の講師に就任するが,1994年
  7月同大留学中の日本人男性と結婚し来日する。
  現在,大阪府吹田市在住。         
  また,日本でただ一人のチベット人声楽家として,チベット文化
  やチベット民謡の紹介,さらに懐かしい日本の童謡など,レパー
  トリーは幅広い。
 

 

            
             

      《実施要領》        

 日 時  平成10年11月12日(木) 午後6:30から
    場 所  東大阪市立市民会館 大集会室             
    主 催  東大阪市国際交流協会                  
   
      特に今回の講座が成功裡に終わったことは,個人的には二つの点で大変嬉しかった。
  一点目は,講師とテーマは数ヶ月来暖めてきた企画が実現し,しかもゲストのバイマーヤンジンが期待通りの公演をして下さり, 
              市民の方と感動を分かち合えたこ。                                                           
  二点目は,平成6年度の交換学生として渡米し,協会活動にも参加してくれていた吉見由香さん(当時KBS京都のアナウンサー)
       が,奉仕で司会のお手伝いをして下さったことである。                              
     
     
            天に一番近い大地 −チベットからの話と歌声− の一コマ 

 平成6年度の交換学生として東大阪市 
 国際交流協会がグレンデール市へ派遣
 した吉見由香さん。
       
 神戸女学院出身の才媛で,京都放送の
 報道制作局アナウンサーとして勤務され、 現在フリーで東大阪ケーブルテレビの
 レポーターとして活躍中である。   
 
       
 チベット語で名前の紹介 
      
  チベットでは,「ペマヤンジェ」と発音  し,漢字表記では「白馬央金」となり,
 中国語の発音で「バイマーヤンジン」に
 なるという。「蓮の花に乗った音楽の神」 という意味があるのだそうだ。

   
        

 スライドを使ってチベットの暮らし向き を 紹介する,バイマーヤンジンさん。 
   
  母親の背中におんぶされている子供の様 子。
  彼地では,文字通り「背中合せ」のよう だ。

 

      
  チベットの代表的な動物ヤク。運搬用に 農耕用に,そして食用にと,非常に有用な 動物らしい。         
  大切なお客様をもてなす時にはヤクの頭 を丸ごと茹でて,塩味で出すのだという。 彼女は,その目玉が好物だとのこと。 
 
 

 

 
 故郷で冬向けの民族衣装姿を身に纏って
 いる時の自身の様子 を解説するヤンジ  ン。       

  零下20〜30度にもなるチベットの
 冬と比べると日本の冬は暖かいという。
 

 

        
 一曲目はチベット民謡の「チベット牧歌」

       
 「真っ青な空を流れる白い雲/雲の下には 雪のように白い羊の群/悠々と草原を楽
 しんでいる・・」              
 
 

        
 定員150人の会場がほぼ満員となった。
 感謝!  
     
  スライドや歌の間も,会場から「カメラ
 を持ってきたらよかった。」とか、
 「チベットへ行ってみたいね。」という
 声が聞こえてきて好評の様子が窺えた。
 

 

 
 二曲目もチベット民謡で「豊作の歌」        

 「実った穂は納屋にあふれている/今年も
 また豊作/みな集まり祝い酒片手に踊ろう
 歌おう」       
     

   

 三曲目は,喜納昌吉さんの「花」を披露 してくれた。 
   
 新しく彼女のレパートリーに加わったと
 いうことだった。最初の予定では「四季
 の歌」だったのですが・・・。    
         
     
 留学先の中国四川音楽大学声楽部では
 西洋オペラを専攻していたという彼女の
 発声は極めて理に適っており聴きやすい。  
    
 故郷チベットの高原を思い浮かべて,腹
 から声を出すのだという。 

     
 

       
 歌い終わって深々と礼をするヤンジン

 会場の聴衆からは惜しみない拍手が送ら
 れた。    
   
 喧噪に暮らす私達にとっては束の間の
「心の休息」になったような気がした。      
   
 

    
 公演後,私服に着替えてもらってから,
 軽食ではあるが立食パーティーを開催し  た。       

 期待通りの公演をしてくれたバイマー
 ヤンジンと、京都から奉仕で駆けつけて
 くれた吉見由香ちゃんにも感謝!!

 

        
                             


     チベット豆知識

 
               
       
 ユーラシア大陸のほぼ中央にあって,南をヒマラヤ,北をコンロン,
 西をカラコルム,東は四川省・雲南省を南北に併走する山脈群に囲
 まれ,平均高度が4200メートルの大高原地帯チベット。       
 「世界の屋根」と呼ばれるチベットは,中華人民共和国にあって,
 西藏自治区と青海省,四川省の一部から成る一帯の総称で,面積は
 122万平方メートル,何と日本の三倍強もある。 
      
 過酷な自然環境の中,生活習慣は異なるが,我々日本人と同じ大乗
 仏教を信仰し,同じ顔をした民族が住むチベット。       
 バイマーヤンジンのお誘いではないが,一度は旅してみたい国のひと
 つになった。        
       
   チベットについてのホームページ click here     
           
 渡辺一枝著       
 「私と同じ黒い目のひと−チベット・旅の絵本−」  
   集英社 1,900円       

 平成10年3月,大学時代の恩師の記念パーティーのアトラクション  で,はじめてバイマーヤンジンの歌を聴き,その歌心に共感した。
  後日,何気なく書店で目に付いたのが,この本。早速,購入して,
 興味深く読んだ。 著者の渡辺一枝さんのチベットをこよなく愛する  気持ちが綺麗な写真による映像とともに伝わってくる好著である。       
        
 公演の始まる前に,バイマーヤンジンにこの本を見せたところ  
 チベットについて語りたい事がうまく書かれていると言い,彼女自身  が一番印象に残ったところを紹介してくれた。 それは・・・       
 「遊牧民の子どもたちがちゃんと教育を受けたら,町に住んでいる子  どもたちよりずっと賢くなるはずだよ。テレビの雑音もないし,こん  なに空気は澄んでいる。勉強したことはみんな,彼の血になるのさ」  と。(138頁から引用)