科学哲学ニューズレター

No.2, May 1994

Some of Our Books on History and Philosophy of Science
Summary of 1993 activities


京都大学文学部図書室に所蔵の科学哲学・科学史関係の文献は、本講座が新設されて間もないこともあり、残念ながらきわめて貧弱である。しかし、乏しいなかでも、比較的まとまった研究の素材となりうる文献群、あるいは優れた新着図書などをいくつか紹介してみたい。

The Correnpondence of Charles Darwin, Vols. 1-8, ed. by F. Burkhardt and S. Smith, Cambridge Univ. Press, 1982-1993. [過去に何度か出された書簡集は絶版で手に入りにくく、しかも編集上の問題や欠落も多かった。この版では、1821-1860年の存在する書簡が注意深く編集されている。最新の研究成果に言及した注も参考になる。ダーウィンとウォレスの学説同時発表前後の疑問点の研究にも資するところが大きい。]

ダーウィン(1809-82)

Stauffer, R.C., ed., Charles Darwin's Natural Selection, Cambridge Univ. Press, 1975.[同時発表直前まで書き続けられていた未完の大著、後半部分]
Ospovat
, Dov, The Development of Darwin's Theory, Cambridge Univ. Press, 1981.[ダーウィンの未公刊手稿に基づいて学説の発展を裏付けた貴重な研究]
Kohn, D. ed., The Darwinian Heritage, Princeton Univ. Press, 1985.


ウォレス(1823−1913)   

      
○コンピュータの歴史
Charles Babbage Institute Reprint Series in the History of Computing, Vols.1-16. [歯車式、パンチカード、電子式など、計算機に関する歴史的文献。Babbage Institute はミネソタ大学にある。]
Burks, A. R. and Burks, A.W., The First Electronic Computer: The Atanasoff Story, The University of Michigan Press, 1988. [ENIACの陰に隠されていたアタナソフを掘り起こした労作]
Hodges, A., Alan Turing: The Enigma, Simon and Shuster, 1983.[計算機開発にも貢献した、論理学者・ランナーの光と陰]


Alan Mathison Turing (1912-54)

Metropolis, N. et al, eds., A History of Computing in the Twentieth Century, Academic Press, 1980.
Randell, B., ed., The Origins of Digital Computing, 3rd ed., Springer-Verlag, 1982.

研究室1993年活動記録

2.6 講演 "Sherlock Holmes and Probabilistic Induction"(英語:内井)京大物理工学教室
3.  内井惣七「形質分岐の原理----ダーウィンとウォレス」京大文学部研究紀要32
号、43-103
4.  内井「シャーロック・ホームズの推理」『国語3』(中学)、光村図書、36-43
4. 内井「ホームズから何を学ぶか」『国語の風景』、光村図書、54-55
5.21 京機会 講演 「論理と機械」(内井)、京大機械工学教室
6. 内井「知識と推理」IS 60 特集クイズ人類学 
10.23 京都大学市民講座<かかわり> 「だれがコンピュータを開発したか?----機械と論理とのかかわり」(内井)
11.3 京都哲学会講演「進化と種の分岐----ダーウィンとウォレスの違い」(内井)、楽友会館
11.20 日本科学哲学会<シンポジウム>現代進化論の理論的諸問題 「形質分岐の原理」(内井)、東京都立大学  
11. 内井「十九世紀イギリスにおける『科学的説明』の分析」『科学哲学』26、67-79  
 


編集後記 昨年は多忙のためニューズレターを発行できなかったので、先日の第1号に引き続いて第2号をお届けします。(94.5.2/文・カット:内井惣七)

Last modified, Nov. 29, 2008.