Comments on the Second Assignment (2000)
第2回課題、「特殊相対論でのマイケルソン−モーリー実験(M-M実験)結果の説明」についてのアホ解答の例
(1)「特殊相対論では、この結果はミンコフスキー空間を使って説明される」
バカタレ、特殊相対論は1905年、ミンコフスキー空間が提唱されたのは1907年。アインシュタインは、一体どうやってまだ知らない「ミンコフスキー空間」を使って説明するねん?
(2)「特殊相対論での説明の数学的道具立ては、ローレンツ-フィッツジェラルドによる説明のものと同じ」
アホか、そもそも特殊相対論でのM-M実験結果の説明に、ローレンツ短縮も、ローレンツ変換も必要ないだろうが。
(3)「特殊相対論では、エーテル静止系と、それに相対運動する実験室系とで、光の行程が・・・」
ナニ?何で、この問題について二つの慣性系の間での変換を論じる必要があるねん?何もわかっとらん!
(4)「特殊相対論では、まず同時性の定義が次のように行なわれ・・・」
M-M実験結果の説明に、まず同時性の定義から説き起こさなあかんかったのか?しらんかったなあ!
諸君、そもそも特殊相対論の基本原理はどのように設定されたのじゃ?これさえ確認したら、答えなんかメチャ簡単やないの。
・・・電気力学の現象は力学の現象と同様に、絶対静止という考えを立証するような性質をもっていないように見える。むしろこれらの事実から、力学の方程式が成り立つすべての座標系に対して、電気力学や光学の法則がいつも同じ形で成り立つと考えられる。・・・ このような推測を第一の要請と見なして、相対性原理とよぶことにする。 さらに次のような第二の要請をつけ加えよう。
光は常に真空中を一定の速さcで伝播し、この速さは光源の運動状態には無関係である。
(アインシュタイン「運動している物体の電気力学について」中村誠太郎訳、共立『アインシュタイン選集1』)
第二原理は、もちろんすべての慣性系について成り立つと仮定されている。したがって、M-M実験で前提されたように、実験室系が慣性系だと見なせば、実験結果(光の速度は系に対する光の進行方向に依存せず一定となるように見える。より正確には、速度が違えば出るはずの干渉縞の変化が見られない)は第二原理からの直接的な帰結にほかならない。
教訓。科学について論じるときは、生半可な知識は役に立たない。本質的なところを正確に理解し、それに基づいて議論を組み立てよう。ソーカル−ブリックモンの『知の欺瞞』でポスト・モダンの旗手たちの半可通ぶりが暴かれているが、諸君らの半可通ぶりは、それに勝るとも劣らない!See 5 Commandments!!
Last modified March 27, 2003. (c) Soshichi Uchii