FINE KYOTO 3

道徳起源論から進化倫理学へ、内井惣七

12月18日講演の要旨

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2 ダーウィンの道徳起源論

記述倫理学において、進化倫理学が貢献できるのは、道徳起源論の部分です。ダーウィンの古典的な議論を次の図によって説明します。「相互利他性」は「条件つき利他性」と同義と理解していただいて構いません。ダーウィンの重要なメッセージは、道徳とは、一群の非-道徳的な要素が組み合わさって成立するものだ、という還元主義です。彼は自らを「唯物論者」とみなしましたが、この言葉より「還元主義」のほうが適切だと思います。

ダ−ウィンの路線は、現代の行動生態学によっても強化されています。世界的な霊長類学者、ドゥ・ヴァールの見解については後にふれます。

 


もう一つ注意したいのは、「利他性 altruism」という言葉です。進化生物学でのテクニカル・ワードとしての意味と、心理的あるいは倫理的意味とを区別してください。ただし、われわれが倫理的文脈でいう「利他性」の把握には進化生物学での意味が重要になってくる、というのが進化倫理学の主張です。


→ 3 道徳性とは?

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