The Rules of Analysis
厳密な規則に従った分析
『真理・証明・計算』31ページ、分析の規則とそれらを使ったトートロジー判定法などを理解していない人たちが毎年半数以上にのぼるので、補足説明。
「まえがき」でも述べたように、この教科書の一つのねらいは「機械的手続き」でいったい何ができるか、という問いに立ち入ることである。すでに話を終えた「分析的推論」の一つの大きな特徴は、推論やトートロジーかどうかの判定が一定の機械的手続きでできる(簡単に言えば、確実に答えを出せるコンピュータのプログラムとして書ける)ようにすること。 これらの分析規則を適用して式を分解していくだけで、確実に求める結果にたどり着くことができる。この分析に加えて、よけいな推論はいらない(これがこの方法の値打ち)ことを認識せよ。例えば、
と分析が一つの枝で終わったなら、最初に与えられた二つの式を同時に真とするような、具体的な条件が分析過程ですでに得られているのである。すなわち、○のついた枝に現れるもっとも短い式、下からCとA、を拾って、「AもCもともに真」という真理表の条件が得られている。
与えられた規則しか使ってはいけないので、勝手に推論を補った人は即0点。例えば、 分析の枝分かれは、上の図で示したように必ず2つ。一気に4つもの枝分かれをやった人は、分析規則に従っておらず、「厳密な分析」ではない推論や手続きを勝手に導入しているので、即0点。
枝分かれの上にある式は、下方のどの枝にも共有されるが、たとえば左の枝ででてきた式は、右の枝では共有されない。これを忘れると、どこかの枝で分析未完のまま結果を読みとろうとするアホな解釈がでてくる(だから、枝を分ける縦線はしっかりと下まで引こう!)。これも即0点。例えば、
において、左の枝では矛盾が生じているが、右の枝ではまだ分析が終わってない。従って、このままでは分析未完了で、なにも判定結果がでない。きちんと分析完了にするためには、次図のようにする。
今度は、すべての枝で矛盾が生じたので、「与えられた二式をともに真にすることは不可能である」と判定できる。自分のアホさ加減をしっかりとわきまえて、「いっときに一つの分析しかやらない」ことを心がけよう。「生兵法と我流は即0点!」
追加練習問題 次の各々の前提群からどのような結論が出るか。分析の規則を使って示せ。分析過程を明記し(分析の図を省略なしで書く)、使用した規則をすべて断ること。
(1) A⊃C, 〜B∨〜A
(2) A⊃B, 〜C⊃A, 〜(B⊃A)
(3) (A⊃B)⊃〜C, C⊃〜A
(4) 〜(A&B), C⊃A, 〜B⊃C
Uchii, S. (1989) 『真理・証明・計算』ミネルヴァ書房、1989。