幼稚園へ行くくらいになると、子供用の教材もいろいろあるようで、
うちにも絵本や工作教材とともにCDやカセットテープが毎月送られてきます。

大人がかわいく歌う楽しい歌に子供は無邪気に喜びますが‥‥


小手先プロジェクト
(16) 「うさぎとかめ」の正しい解釈

教材に入っていた歌を元に、物語をたどってみましょう。

カメとウサギが仲良く話をしています。

いきなり無理がありますが、ここは良くある例え話と余裕で読み流します。

ウサギが、
「僕って走るのがとっても早いんだ」
と自慢します。

カメを相手に何を言っているのでしょう。

するとカメは何を思ったか、
「僕だって負けないよ。」

軽率です。
カメは泳ぎが得意なのだから、無理に相手の得意分野で勝負する必要もありません。
こういう言動はろくな結末を迎えないはずなのですが‥‥。

さあ、いよいよ競争です。向こうの木の下まで。向こうの木の下!

そう、彼らにはゴールが見えているのです。

当然ウサギは山に住んでいると見られます。
凹凸のある山岳地帯で、しかも背の低いカメにもはっきり1本の木を認識できる、
ということは、距離にしてせいぜい数百メートルと思われます。
ウサギにとっては数分の距離といって良いでしょう。

さて、ウサギはあっという間にカメを引き離して有利にレースを進めますが、なんと、途中で昼寝をしてしまいます。

おかしくありませんか?
たった数分の距離を走り切らずに、途中で昼寝。
しかも、後で目覚めたウサギが、保護色で見えにくいはずの小さなカメ
ゴールに到着しかけているのを見わけることができたということは、
ゴールまで100メートル足らずと思われます。

このような場所で仮眠を取ったのは本当に油断なのでしょうか?

仮に、ゴールまでを500メートルとします。
亀の速度を秒速5cmとすると500メートル先のゴールに達するまでは
3時間近くかかる計算になります。

ウサギは圧倒的に速いですから、スタートから眠り始めるまでの時間を無視すると、
ほとんど3時間も眠りつづけたことになります。
でも盛られれば別ですが、普通はこんなに寝られません。どうにも胡散臭いのは確かですが、
これ以上根拠のない邪推はやめることにして、続きを見てみましょう。

よいしょ、よいしょ。
数時間かけてウサギに追いついたカメは、ウサギに気づかれないように、そっと追い抜いていきます。

嗚呼、子供のうちからこんなにシビアな競争社会を刷り込む必要があるのでしょうか。
ウサギを起こしてあげて潔く負けるほうが美しいではありませんか!

カメは勝つために容赦なく相手のミスにつけ込む方を選んだのです。

さて、この結末から何をどう子供に説明すれば良いのでしょうか。
「カメさんのようにがんばらないといけませんよ」、などとはとても説明できません。


やはり見習うべきはウサギであり、

  • 得意なフィールドで勝負しなさい。
  • でも、注意しないと足元をすくわれることがありますよ。
と現実の厳しさを説いてあげましょう。


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