ビッグマックが食べにくいという話は良く出ます。
巻き寿司にかぶりつく方向に関する議論も聞いたことがあります。サンドイッチもほぼ同様の主義主張があろうかと思います。これらの共通点は、如何にこぼさずに均質に噛みちぎり、渾然一体となった食材を最後まで楽しむかという点で苦労していることにあります。
これに対して、ソフトクリームはどんな食べ方をしてもこぼすようなことはない(ただし融けない限り)し、複数の食材を同時に咀嚼しなければ味わいが落ちるということもありません。
しかし、上品に食うじゃなくて、いただくのは結構難しかったりします。
もちろん、ここで言う「上品」とは、箸の先1cm以上濡らさずにお茶漬けを食べるような、マスターしても誰も気づかない実りの少ない高等テクニックを指すのではなく、「下品でない」程度のことを言います。
前置きが長くなりました。
さっそく、デパートへ出かけた時に、多くの人でにぎわうフードマートで観察し、まず、どんな食べ方があるのかを観察することにしました。
じろじろ見るのはいけませんので、一瞬のうちに目標を捕捉し、食べ方を見極め、記憶。視力の衰えていない今のうちでなければできない芸当といえます。真似してはいけません。そして、2週間に渡る情報収集の結果、以下のように分類できることが分かりました。
飲料型
(俗称ぺろりん型)舌を出してぺろりと舐める食べ方です。 人の積極的なクリーム分離作業によるのではなく、クリーム自体の持つ粘性により舌にくっついてくる分量ずつを食する手法であり、口の中では一瞬にして液単相となり、飲み込まれて行くという特徴から、飲料型として知られています。
食べるという表現さえ似つかわしくないこの手法は、ソフトクリームを食べ物ではなくジュースの延長としての存在価値しか認めないのでしょうか?
女性に多く見られるパターンですが、食べ方によっては卑猥な印象さえ受けることがあります。
フルーツ型 このタイプは、バナナを食べるように真上からアタックし、大きく開けた口で覆うようにかぶりつきます。 クリームの本体からの引き離しが、歯で行われるのか唇で行われるのかが分からないのを特徴としますが、唇で行われる場合には分離する量が少ないため、飲料型として分類されることがあります。
口を大きく開く必要があるためか、女性には少数派といえます。
せん断型 柔らかい(←ソフトクリームの定義である)クリームを歯で削ぎ落とすようにかきとります。 小分類として上の前歯で削ぎ落とす場合、りんごをかじるのと類似しておりフルーツ型と間違われるケースが希にありますが、はっきり歯で削ぎ落とすことが分かる場合には、せん断型に分類します。
実際には下の前歯で削ぎ落とす場合の方が多く見られますが、動作としては舌で舐める代わりに歯を使うタイプと分類され、舌を使うのをためらった人から徐々に広がったと見られています。
男性に多く見られますが、女性にも普通の食べ方として認知されています。
スコップ型 舌をスコップのように硬く保持して、クリームを掘り出すようにすくう食べ方です。 クリームが柔らかい場合にのみ通用する手法ですが、80年代後半以降ジェラードが人気を呼ぶようになってからは減少の一途をたどっています。
これはソフトクリームとジェラードで食べ方を同じにする人が多いのですが、ジェラードが比較的硬いためこの食べ方が通用しないことから、ソフトクリームを食べる時にも徐々に使われなくなったと考えられています。
ハイブリッド型 上記の4手法の合わせ技です。 たとえば、フルーツ型とスコップ型のハイブリッドでは、かぶりついた口の中で、舌がスコップ型の動作をしているケース、フルーツ型とせん断型のハイブリッドでは、下唇と上の前歯で分断するケース、などがあります。
スプーン利用型 スプーンなどの食器を使うケースです。 これは、ソフトクリームの食べ方としては反則であり、コーンを手に持って食器を使わずに食べることができるというソフトクリームの尊厳を踏みにじる行為といえます。
小さな子供に食べさせる場合など、限られた場合にのみ許容されます。
さて、上品ないただき方の検討にお役に立てたでしょうか?
このHPではあえて解答は出しませんので、御家族での団欒に、職場での議論の中で一人一人に合った気持ちよい食べ方を見つけていただければと思います。
このプロジェクトは、あなたのプロジェクトです。
こんな食べ方になった、こんな食べ方もある、などありましたらぜひお知らせください。
取り入れて更新していきたいと思います。
なお、これらの考察、観察の中には想像が多く含まれているのは言うまでもありません。