小手先プロジェクト
(10)コーヒーカップの気持ちになって

あっ、暖かくなってきた。エアコンが入ったみたいだ。
今日は何杯コーヒーを飲んでくれるのかなぁ。

はコーヒーカップ。名前を付けてもらってないのがちょっと寂しいコーヒーカップ。
色は黒くて、ちょっと小さ目。

小さいせいか、ご主人様はいつも1日に5杯以上もコーヒーを飲むんだ。

僕は自分のことを気に入ってるんだけど、実は150円で山積みにされて売られてたんだ。

ご主人様が買ってくれたのは3年前。それからは、毎日事務所でコーヒーを飲むのに使ってくれている。
散らかった机の上はとても狭いけど、やっぱりコーヒーを飲むのに使ってもらってるときが一番うれしい。

でも、一つだけご主人様に不満があるんだ。
それは、あんまり洗ってくれないことなんだ。いつも熱湯でゆすぐだけ。

この前、給湯室でゆすがれている時、ご主人様が誰かと話をしているのが聞こえてきたんだ。

「洗う必要なんてないんよ。」
「熱湯を流して流されない分は、コーヒーを飲んでいる間に溶け出すことはないし。」
ほんとかな?

僕はコーヒーの匂いが大好きだからずっとコーヒーがくっついてるのはいいんだけど、他のコーヒーカップたちがきれいに洗われて食器棚並んでいるのを見ると、ちょっとうらやましくなるときもある

ご主人様はわかってくれてるのかなぁ、、、、、


今日は、仕事納め。明日からはお正月休みらしい。杖の上を掃除しているみたい。
こんな日にもご主人様は、コーヒーを飲んでくれる。暖まるね。

いつも書類がいっぱいの机の上は、どんどん片付いていく。

あっ、、、。僕は引き出しの中へ入れられたようだ。
掃除するのにじゃまだし、休み中に埃か積もるといけないからね。

でも、今日は洗ってくれるんでしょ?

‥‥


静かになったなぁ、エアコンが止まったみたいだ。
引き出しの中で良くわからないけど、蛍光燈も消えたみたい。

僕も休むことにしよう。

来年までおやすみなさい。

良いお年を、、、

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