低音を伸ばしたいという欲求、ホームセンターでは丸穴あけをやってくれないという環境、自在錐を使って自力できれいに空けられる丸穴は12cmまでという制約、2個ユニットを使うと干渉によるハイ落ちの心配。音場型は望むところではなかったものの、諸々の事情により、とても趣味とは思えない妥協の産物となりました。
オリジナルバックロードホーンの第1作。
設計開始当初、FE-108ESの限定発売前であったため、FE-108Σ用として設計。
スロートの絞りも相応となりました。
15mmの栂集成材で、板の厚さを利用した階段構造で、比較的スムーズな音道を構成できました。
スリット型の偏平なスロートはいかにもロスが多く、音にも悪そうなので却下。「10cmユニットといえど2発使えば30cmくらいの幅にはなるから」と、幅方向に2分割した音道レイアウトを設計。
正方形に近い音道の連続となり、それなりに音にも良い方向で働いたように思います(確認不能、そう信じたい。)左図の左上が空気室、12cm角で高さ約30cmの角柱形状、空気室も偏平より球に近い方が音には良さそうです。
スロートは奥へ走って、右へ折り返しフロントに戻ります。その後、空気室の横をバッフルに沿って下降、後半は一般的なCWホーン同様の形状となります。
CWホーンとのつなぎが不連続になりやすく、全体のバランスを取るのに試行錯誤を繰り返した結果、このサイズバランスしかありえないという寸法に落ち着きました。10cm×2発でなければできないホーンレイアウト。
1820×450の集成材の板取、15mm厚を使用。
余った板を補強に使うようにしましたので、一見、無駄無く見えます。
空気室周りでの小さな板が多く、サイズの割に枚数は多いです。CWホーンと異なり、等幅でないと隙間ができる板があっちこっちに出現し、絶対隙間はできます。
これを素人が鉋がけでの調整は困難です。柄の付いた木工ヤスリでラフに調整した後、接着時にコンクリメントをたっぷり塗って、ボンドで隙間をなくすのが合理的。
木材どおしをできるだけ密着させるために、重量級の重し、接着部まで押さえられるように工夫した上で端金、あるいは、木ネジで押え込まないと、うまくいきません。
(私は鉋で修正に挑戦しましたが、結局うまくいかず、ボンドに頼りました。)準備を怠らないようにすることが肝心ということを思い知った次第です。
塗装は音にいいと信じて、音道の中をニスで3回重ね塗りしました。
鳴きの多かった出口付近の5, 6, 7の板には、前代未聞!、余った木工ボンドで3mm厚のコーティング?をしましたが、良かったのかなぁ。
当初、FE-108ESを2発ずつ使っていましたが、新作の方を気に入ってしまいましたので、そちらにユニット2個を取られました。
現在は、正面がFE-108ES、側面がFE-108Σとなっています。側面は横向きで、低音だけもらっているのだからFE-108Σなら十分使える、と思ったら大間違い。
確かに、かなりのパフォーマンスで鳴ってみせますが、低音にある若干の癖は、ユニット混成が原因と思います。もともと、FE-108Σを想定してのホーン設計なので、最終的にはFE-108Σで統一し、スーパーツィーターを追加してみたいと思います。
余ったFE-108ESでもう一丁作るか?